生理前の便秘は当たり前?【腸内環境と女性ホルモンのバランス】
女性が何らかの体の不調を感じる時、「ホルモンバランスのせいかな?」と考えるのは自然なことです。
妊娠・出産に関わる女性ホルモンは、生理周期に応じてバランスが変わりますし、閉経が近くなると更にそのゆらぎは大きくなります。
生理前にお腹が張る・便秘がちになると言うのは良く聞かれる話です。また更年期には、ほてり・情緒不安定・だるさなどの症状もみられます。
いずれもホルモンの働きによるもので、誰もが多かれ少なかれ経験することなのですが、少しでも軽くしたいですよね。
運動や休養など、様々なアプローチ方法がある中で、実は腸内環境や、その環境をサポートする腸内細菌がこれらの緩和に役立つことが分かってきています。
生理と便秘と腸内環境
女性ホルモンは約ひと月を1周期として、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が、バランスを取りながら分泌されるものです。
生理前(排卵から生理までの期間)に便秘がちになるのは、プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響であることが分かっています。
プロゲステロンには「妊娠した時に子宮を安静に保つために腸の働きを弱め、水分を体内にとどめておく」働きがあります。この働きが、便秘やむくみにつながるのです。
生理前の便秘には食事で対策
毎回、便秘になるのが分かっているなら、その予防に努めたいものですね。それにはまず自分の生理周期を把握して、食事の改善をしてみましょう。
食事の量
生理前は、ホルモンの影響で食欲が増しますが、腸の働きそのものは活発とは言えない状態です。そのため、消化不良と便秘を招きやすいのです。
生理前に食事の量を意識的に控えることで、少しでも便秘を緩和するようにしていきましょう。
水分摂取
生理前には体に水分を留める傾向があることから、本来便にとどまるはずの水分が体に吸収されてしまい、便の水分も不足しがちです。便が水分が不足すると、硬く、便秘しやすくなります。
少しでも便通を改善するために、普段より多めの水分補給をしましょう。その際、ガブガブと一気に飲むのは、お腹を冷やしたり、尿として排出されやすくなるのでNGです。
少量ずつ、こまめに摂ることで、体になじませるようにして、水分補給していきましょう。関連記事では、質疑応答形式で、水分摂取について詳しく解説しています。
サプリメントの活用
よく、便秘対策には食物繊維を摂るのが望ましいという話を聞きますが、上述しましたように生理前はホルモンバランスの問題で腸が活発には動きません。
普段の食事の内容をを急に変えてしまうよりも、食事の量を控えめにして、サプリメントの活用を検討してみるのも良いでしょう。
この場合のサプリメントとは、主に腸内の善玉菌の働きをサポートするものです。乳酸菌を代表とする善玉菌を効率よく摂取することで、腸内環境を改善する効果が期待できます。
善玉菌とは
乳酸菌やビフィズス菌・納豆菌などの、腸内環境を良くする「有用菌」の総称です。ヨーグルトなどの発酵食品などに多く含まれますが、毎日摂ることで、この腸内細菌を常に養う必要があります。
サプリメントは、この腸内細菌を摂ることに特化したものですので、食事の工夫と合わせて摂ることで、腸内環境改善の効率化が期待できます。
更年期と腸内環境
女性の閉経は平均で50歳と言われ、その前後10年の間に女性ホルモンのバランスは大きく変わります。
ここで注目したいのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)です。卵胞ホルモンは女性の美容や健康、また精神面の安定に深く関わっています。
個人差はありますが45歳前後からこの卵胞ホルモンが減少し始め、その減少の仕方のギャップが激しい人ほど、心身に不調を感じやすくなります。
ホルモンをお薬で補充するという治療方法もあるのですが、ずっとお薬を服用することに抵抗がある人もいれば、お薬自体が体に合わないと言う人もいます。そこで食事が重要になってきます。
大豆は、体内でエストロゲンに似た働きをすることが知られており、更年期に限らず女性の健康管理にはおすすめの食材とされてきました。いわゆる「大豆イソフラボン」です。
大豆イソフラボンが働くには腸内細菌が必須
日本人の食卓すなわち和食では、味噌やしょうゆ・納豆などの大豆製品を摂る機会に恵まれています。しかし、同じ食事をしていても、更年期の症状には個人差があります。
更年期の症状の個人差については、その人の生活環境なども含めると一概に「これが原因!」とは言えませんが、その一つに実は腸内細菌が関わっていることが分かっています。
それはなぜでしょうか。実はこの大豆製品、「エクオール」という成分になって初めてエストロゲン様の働きをするのです。
エクオールの産生には、実は独自の腸内細菌の働きが必要なのですが、この腸内細菌は日本人では、2人に1人しか持っていないと言われています。
エクオールを補うためのサプリメントがある
エクオールを産生するための腸内細菌をもともと持っている人は、大豆製品からエストロゲン様の効果を得やすく、更年期の症状が軽くなることが考えられています。
一方で、その腸内細菌を持っていない人はどうすればよいのでしょうか。実は近年、サプリメントが開発され、既に市場に出ています。
大豆製品は非常に身近で、食事に摂り入れやすい食品です。その恩恵にあずかるためにも、このエクオール産生のためのサプリメントの活用を検討してみても良いでしょう。
サプリメントが必要かどうかチェック出来る
自分がその腸内細菌を持っているか、いないかについては、自宅で簡易検査することが出来る様になっています。
関連記事では、「ソイチェック」の手順を詳しく解説しています。
肝臓と腸と女性ホルモン
ここまで、女性ホルモンと腸内環境について述べてきましたが、実はこのホルモンのバランスは、肝臓の影響も受けています。
実は肝臓には、エストロゲンを分解するという役割があり、肝臓の状態がホルモンバランスに直結していると言っても過言ではないのです。
肝臓の役割
肝臓は体の中で、解毒を行う器官です。「アルコールの摂り過ぎなどで、肝臓に負担がかかる」という話を良く聞きますが、他にも肝臓に負担をかける要因はたくさんあります。
例えば、お薬や食品添加物の含まれた食品を取ったときなど、その処理に追われます。
また、高タンパク・高脂質な食事は、肝臓から胆汁が出て消化に役立ちますが、これも大量かつ慢性的に摂り続けると、やはり肝臓のキャパシティを超えてしまいます。
加えて、便秘の際には、長期間便が腸に滞留することで有害なガスが発生し、その処理も肝臓が行うことになります。
このように、常にフル回転している肝臓は、その上にホルモンの分解も行っているため、食生活の乱れや便秘が、結果的にホルモンバランスを乱すことにつながりかねません。
サプリメントで腸内環境を改善することも大切ですが、肝臓を労る食生活も頭に入れておいた方が、より効率的と言えるでしょう。
さいごに
女性ホルモンのバランスは、生理周期や年齢によって絶えず変化していくものですが、症状を緩和するために腸から働きかけるという方法もあることをご紹介してきました。
また、サプリメントだけを摂っていれば良いというものではなく、肝臓を労るべく、生活の質を見直すことを同時に行っていきましょう。
参考
「消化管は泣いています」腸内フローラが体を変える、腸を活かす/内藤裕二 著・ダイヤモンド社
http://www.hamasite-clinic.jp/equol_lp/
https://www.otsuka.co.jp/product/equelle/
http://www.kanen-net.info/resource/1482552390000/kanennet/faq/faq_27.html