炭水化物を抜くとダイエットに失敗する?腸内環境に良い摂り方
近年、ダイエットのために炭水化物を控えたり、抜いたりする「低炭水化物ダイエット」「炭水化物抜きダイエット」が知られるようになりました。
しかし、炭水化物は3大栄養素でもあり、体には必要とされているはず。摂取が不足することで、体に害はないのでしょうか?
体験者の中には「おならが臭くなった」「おなかに張りを感じる」という声もあり、腸内環境の悪化も懸念されます。
炭水化物とダイエット、そして腸内環境の関係についてみていきましょう。
炭水化物摂り過ぎの害
炭水化物は体のエネルギー源です。何でも摂り過ぎは良くないですが、ダイエットの際には炭水化物の摂取量に気をつけたいものです。
1日に必要な摂取カロリーは、年齢や性別・運動強度によって異なりますが、そのうち50%以上は炭水化物からとることが望ましいとされています。※「日本人の食事摂取基準(2015年版)」厚生労働省
炭水化物は、ご飯やパン、麺などの主食というイメージがありますが、イモ類や豆類などにも含まれます。
中でも白米や食パン、うどんなどの柔らかいものは、すぐにエネルギーとなる反面、摂りすぎると脂肪となって蓄えられてしまうという性質があります。
腸に炭水化物は必要
炭水化物は3大栄養素の一つです。摂取してから分解されることでブドウ糖となり、体を動かすエネルギー源となります。
特に脳はブドウ糖を必要としているため、摂取が不足すると、集中力が低下したりすることで知られています。
更に、腸内でも、腸内環境をよくする重要な働きがあることが分かっています。では、腸内でどう働くかをみていきましょう。
腸内環境において注目したいのは、善玉菌の活躍です。善玉菌とは、腸の働きをサポートする菌のことで、消化や排泄などを円滑にする性質があります。
食物繊維の働き
炭水化物の多くは、食物繊維を含みます。食物繊維は大腸で善玉菌のエサとなり、さらに善玉菌を増殖させるという好循環を生み出します。
食物繊維は白米や食パン、うどんなどの柔らかいものよりも、精製されていない玄米やライ麦パン、イモ類・豆類に多く含まれます。
炭水化物を抜く、あるいは極端に控えると、食物繊維も少なくなるため、結果的に腸が本来の働きを発揮できず、便秘などの不調を引き起こします。
難消化性でんぷんの働き
一度炊いたご飯(でんぷん)は、冷やされると難消化性でんぷんとなります。でんぷんはご飯の他にもじゃがいも等のイモ類、大豆などの豆類に含まれます。
難消化とはその名の通り、消化されにくいでんぷんのこと。消化されにくいため、エネルギーにはなりにくいのですが、その分腹持ちが良く、ダイエット向きと言われています。
食べ方の例としては、冷まして食べるという簡単なもの。代表的な食べ方としては
- ポテトサラダ
- 冷製パスタ
- 冷ましたおむすび
- コーンフレーク
- 煮豆
などがあります。
難消化性でんぷんは、消化酵素の影響を受けないため、体内で食物繊維として働き、大腸にて腸内細菌で分解され、善玉菌の栄養となります。
炭水化物を抜いたり、控えたりするのが難しいという場合も、ご飯をおむすびにして冷まして食べるだけで、脂肪に変わりにくくなるため、安全かつ手軽なダイエット方法と言えます。
ただし、冷めたものばかりを摂り続けると、腸の動きも鈍くなってしまいますので、温かい汁物などと合わせて摂るなどの工夫をしてみましょう。
炭水化物抜きダイエットのデメリット
炭水化物抜きダイエットの方法論の多くは、脂肪に変わりやすい炭水化物を極力避け、代わりに肉などのタンパク質の摂取を推奨しています。
専門家による栄養指導がある場合を除いて、自己管理で行うには難しい部分があります。では、仮にタンパク質過多に陥った場合は腸内環境にはどのような影響があるのでしょうか。
繰り返しになりますが、腸内環境において注目したいのは、善玉菌の活躍、および悪玉菌の存在です。
善玉菌が消化や排泄などを円滑にするのに対し、その反対の働きをする大腸菌などは悪玉菌と呼ぶのです。
悪玉菌について
肉などの脂分の多い動物性タンパク質を摂りすぎると、悪玉菌の増殖を促し、腸内環境を悪化させる傾向があります。ガスでお腹が張ったり、便通に問題が出るなどの影響が出ます。
ただし、悪玉菌は、ゼロを目指すものではありません。
善玉菌・悪玉菌、そして日和見菌と呼ばれる菌の割合は、2:1:7が理想とされます。悪玉菌は善玉菌を活躍させる言わば必要悪であり、バランスを摂ることが大切です。
そのためには食事などから善玉菌を常に取り入れつつ、善玉菌を優勢にしておく必要があります。
主食などに含まれる炭水化物の食物繊維は、善玉菌の貴重な栄養となり、腸の働きをサポートしますので、むやみに断つのではなく、摂りすぎを控えるくらいにしておきましょう。
炭水化物を控える際のおすすめ食材
肉などの動物性のタンパク質が悪玉菌の増殖をつながることについて述べましたが、肉そのものが悪いのではなく、あくまでバランスの問題です。
上述のように、善玉菌と悪玉菌のバランスを2:1に近づけることを目的として、善玉菌を多く含む食材や、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖をあわせてとるようにしましょう。
善玉菌の摂取
善玉菌は、発酵食品に多く含まれます。乳酸菌やビフィズス菌・納豆菌などがよく知られています。関連記事では、善玉菌の効率的な摂り入れ方について紹介しています。
オリゴ糖
食物繊維と同じく、善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖に貢献します。オリゴ糖は、シロップや粉末などの特定の商品だけではなく、様々な食品に含まれています。
関連記事では、オリゴ糖の効率的な摂り入れ方について紹介しています。
難消化性でんぷん
前項でご紹介した難消化性でんぷんを、ダイエットのためにあえて取り入れるという考え方もあります。
腹持ちも良く、食物繊維がとれることから、安全なダイエット方法と言えます。
さいごに
ダイエットにおいて、炭水化物は敬遠されがちな存在ですが、その中に含まれる食物繊維は腸内環境に貢献し、ダイエットをサポートしてくれます。
脂肪になるのが気になるという場合は、冷まして食べることで、難消化性でんぷんのメリット(消化されにくく、腹持ちが良い)を活かすようにしましょう。
http://www.glico.co.jp/navi/e07.html
http://www.glico.co.jp/navi/e06.html
ttp://www.j-oil.com/biofiber/about_rs.html