なぜ腸が活性化しないのか。間違った方法を検証してみる
美容や健康のために腸を活性化しようと思って整腸剤やサプリメントを摂っているのに、効果が感じられない。
相変わらず便秘や下痢に悩まされている…そんな方は、以下のような点にも心当たりはありませんか?
- 食物繊維を意識的に摂っているのに便秘。むしろひどくなっているかも。
- 便秘解消に運動が良いと効いて、ウォーキングを始めたけど、変化なし。
- 腸に負担をかけないように、食べてすぐに寝ないようにしているが、翌朝おなかは不調。
当てはまる場合は、腸のために良かれと思ってやっていることに、思わぬ盲点がひそんでいることも。
腸の活性化をあきらめる前に、その方法が間違っていないか、NG例をもとに検証してみましょう。
①食事の見直しをしていない
腸の活性化には、まず腸内環境を整えることが必須条件です。腸内環境を整えるには、善玉菌という腸内細菌を取り入れる必要があります。
善玉菌は食事から取り入れることが理想とされています。しかし、サプリメントや薬(整腸剤)に頼り過ぎて、食事をおろそかにしていませんか?
サプリメントや薬(整腸剤)は、善玉菌を効率的に摂取する方法ではありますが、一方で効果には個人差があります。
なぜなら善玉菌には多くの種類があり、合う合わないはその人の腸内環境によるものの、サプリメントや薬が全種類を網羅しているわけではないからです。
本当に自分に合ったものを見つけるまでは、ひとつに絞って最低でも3~4週間は試す必要があり、効果が実感できないならまた別の物へチャレンジすることになります。
サプリを試している期間中も、食事からは様々な食材から善玉菌を摂取すべく、メニューを工夫しながらまんべんなく食べたいものです。
善玉菌摂取には、ヨーグルトを代表とした発酵食品が良いとされています。
関連記事では、発酵食品の例も紹介しています。
②体に良さそうなものを過剰摂取している
食物繊維の種類に注目
食物繊維が便通改善に良いと効いて、積極的に取り入れている人も多いと思います。
食物繊維と言えば、ごぼうやさつまいもが代表的な食材として浮かぶでしょう。
しかし、既に重度の便秘をしている場合は、これらの食材が逆効果になるケースもあります。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、腸内環境のためには2:1の割合で摂ることが推奨されます。
不溶性食物繊維はその名の通り溶けないため、便のかさ増しにつながり、排便を促進します。(ごぼうやさつまいもに多く含まれます。)
しかし、既に慢性便秘のサイクルに入っている場合は、不溶性食物繊維を摂りすぎることで便が固くなり、排出されにくくなります。
一方で、水溶性食物繊維は、便自体をゲル状にして、柔らかく排泄しやすくするので、便秘症の方は意識的に摂る必要があります。
一つの食品に不溶性食物繊維だけ、あるいは水溶性食物繊維だけということはなく、含有率はものによって異なります。
水溶性食物繊維が多く含まれるおすすめ食材としては、リンゴや海藻などが挙げられます。
関連記事では、身近な食材について不溶性・水溶性それぞれをどのくらい含んでいるか、解説しています。
カフェインは両刃の剣
コーヒーやお茶になどに含まれるカフェインは、適量なら大腸のぜん動運動を促進し、排便につながりやすいと言われています。
しかし、過度に摂ると利尿作用が働き、便の水分が不足して固く排出されにくくなり、結果的に便秘に偏ります。
つまり良くも悪くも作用するため、飲み過ぎは禁物なのです。1日2~3杯程度に留めましょう。
③運動の習慣もなく、便秘がち
腸に刺激を入れるという視点
便秘解消は、腸の活性化の必須条件です。排便に必要な腸のぜん動運動のためには、外部からの刺激も有効ですので、運動が推奨されます。
しかし、何となくやっていても効果は薄いでしょう。ウォーキングなど軽い運動から始めたい場合も、「腸に刺激を届ける」という視点が必要です。
運動の前後に、上半身をねじるなどのストレッチを取り入れてみる、歩く際もお腹に軽く力を入れながら歩いてみるなどの工夫をしてみましょう。
腹筋を鍛えるという視点
排便の際には腹筋が関係してくるため、筋力不足で便秘に陥るケースもあります。
男性よりも女性・成人よりも高齢者や子どもに便秘が起こりやすいのはそのためです。
腹筋を鍛えるというとハードな筋トレというイメージですが、簡単ものを紹介します。
1、仰向けになり、両膝を立てる。膝の角度は90度。足は肩幅に開いておく。手は頭の後ろに添え、アゴを引く。
2、腹筋を意識しながら、おへそを覗き込むように少し上体を起こす。
3、2の状態を3秒~10秒キープ。1~3を1セット10回として、数セット繰り返す。
起き上がることが目的ではなく、腹筋を意識してキープすることに集中しましょう。
④腸の活動時間を無視している
「食べてすぐに眠ると腸に負担をかける」と言われますが、だからといって深夜まで起きていると本末転倒です。
腸は通常、深夜0時をピークとして、活動を活発化させます。
腸の活動をスムーズにするためには、自律神経のうち副交感神経が優位になっている必要があります。
副交感神経が優位な状況を作るためには、この時間には既に眠っているのが理想です。
どうしても遅い時間にしか食事ができない場合は、せめて消化に良いメニューにしましょう。
自立神経と腸との仕組みについては、関連記事でも詳しく紹介しています。
さいごに
NG例を見ながら食事や生活サイクルの見直し、運動の工夫などの方法を見てきました。
全部一気にやろうとすると、難しく感じるかもしれませんが、総合点が腸の活性化につながります。
サプリメントや整腸剤と並行して取り組むようにしましょう。