胃腸に良い食べ物・悪い食べ物とは?
「下痢のときは胃腸に良い食べ物を食べなさい」とか
「ダイエットには消化の悪い食べ物が良い」なんて話はよく聞きますよね。
ただ、私はこういったことを聞く度に疑問に思うのですが、
- そもそもどんな食べ物が消化に良いのか
- 一般的に「消化が良い」とされている食べ物にどういった根拠があるのか
っといった部分を、みんなぼんやりとしか話していないような気がしませんか?
今回の記事を執筆するにあたって他サイトなども見て回ったのですが、根本的な部分から消化の良さについて解説をしているところは無いように感じました。
理系的な方だと、いきなり胃腸に良い食べ物を列挙されたって論理がなきゃ納得いかない!なんて思いますよね。
そこで今回は、「そもそも消化の良さって何なのか」といったところから、胃腸に良い食べ物・消化の悪い食べ物の紹介をしていこうと思います。
胃腸に良い食べ物の定義
消化の良さは減点方式
私達が普段食べている食べ物のほとんどは、きちんと体内で消化されて便になります。
そのため、食べ物の消化の優劣ってイメージしにくいんですよね。
そこで、消化の良さについて考えるときは、どちらかというと加点方式よりも減点方式で考えたほうが楽です。
消化の良さについて考えるとき、私達はどうしても100点以上に目が向きがちなのですが、実際は「いかに50点や60点を避けるか」といったレベルの戦いをしているんですよ。
40点の大便は想像できても、150点の大便って想像できないですよね笑
「消化の悪さ」とは? 消化の悪い成分は主に2つ
言葉遊びのようになってしまいましたが、上記のように胃腸に良い食べ物を判断するときは「どれだけ消化に悪くないか」という基準で判断したほうが良いです。
私たち人間の身体は、大体の食べ物を消化できるように作られているのですから、その身体の仕組みと相性の悪い成分を避けるだけで良いのです。
そして、人間の消化酵素と相性の悪い成分は、大きく分けて以下の2つになります。
- 脂質
- 食物繊維
脂質
まずは脂質に関して。
昔中学校などで習ったと思いますが、三大栄養素に対する消化液の役割は以下のようになっています。
炭水化物(糖質) | タンパク質 | 脂質 | |
だ液(口) | ○ | × | × |
胃液(胃) | × | ○ | × |
胆汁(肝臓・胆のう) | × | × | ○ |
すい液(すい臓) | ○ | ○ | ○ |
腸液(小腸) | ○ | ○ | × |
他の栄養と比べて、脂質だけ消化の工程が一つ少ないのが分かると思います。
また上記の消化液の中で、胆汁は消化の補助はするものの実際に脂肪を消化する消化酵素を持っているわけではないので、実質すい液だけで脂肪を消化しているようなものです。
他の栄養素が3つも消化の過程を経ている中で、皆んなが使っている消化液1つしか使わせてもらえない脂肪の消化されにくさが何となく分かると思います。
脂質は、その消化しにくさから体内での滞在時間が長くなっています。
脂肪分の多い食べ物を食べると腹持ちが良いのは、脂質が消化されにくいからなんですね。
食物繊維
脂質は消化しにくい栄養素でしたが、食物繊維は消化「されない」成分を総称していいます。
食物繊維という言葉自体は普段から使っていても、それが消化されない成分の総称名だということは知らなかった方が多いのではないでしょうか。
野菜や果物に多く含まれていて、具体的な成分にはペクチンやアルギン酸ナトリウム、セルロースなどがあります。
腸内の悪玉菌を減らしてくれるなど身体に良い面も持っているのですが、消化という観点からはあまり良くないのです。
ピーナッツなんかは油分と食物繊維の塊なので、消化されずに便に残っているのを見たことのある方も多いと思います。
その他、食物繊維の中にも水溶性のものと不溶性のものがあって、両方を摂れば便秘には良くて…など、細かい情報は色々とありますが、話がそれてしまうので深入りしないことにします。
とりあえず今回は、脂質や食物繊維が多く含まれるものは消化に悪いという点だけ抑えておきましょう。
その他:消化器官に影響を及ぼす食べ物
- 冷たすぎ、熱すぎ
- 辛い、酸っぱい
- カフェイン
- アルコール
- 炭酸
などの刺激のある飲食物は、消化器官の機能を弱めてしまうので間接的に消化の悪いものと言えます。
胃腸の調子が良くないときは、これらの飲食を控えたほうが良いです。
胃腸に良い食べ物、悪い食べ物
上記を踏まえて、胃腸に良い食べ物を具体的にみていきましょう!まずは一覧表です。詳しく後述していきます。
胃腸に良い食べ物 | 胃腸に悪い食べ物 | |
主食 |
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主菜 |
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副菜・果物 |
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飲み物 |
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胃腸に良い悪いは、消化に良いか悪いかで考えていきます。
消化の良い主食
- お粥
- うどん
- パン
主食は基本的に炭水化物(糖質)を中心にしたものにすると消化が良いです。
お粥なんかは食べる前から既に消化される直前のような状態なので、消化には最高の状態ですね。
うどんと同様にそばも消化が良いのですが、余分な物が含まれていないという意味ではうどんのほうがオススメできます。
パンについては、脂質が多く含まれる菓子パンなどは薦められません。
消化の悪い主食
- 玄米
- コーンフレーク
- スパゲッティ
- ラーメン
- 焼きそば
玄米やコーンフレークは食物繊維、スパゲッティなどの麺類は脂っこいものが多く含まれているので消化にはあまり良くないです。
主菜
消化の良い主菜
- 鶏肉
- 白身魚
- 焼き魚
- 豆腐
- 納豆
やはり、脂肪分の少ない食べ物が消化に良いですね。
魚は焼くことで余分な油を落とすことができます。
消化の悪い主菜
- 脂肪の多い肉
- 脂肪の多い魚
- 貝
- イカ
- タコ
さばやマグロ(トロ)など、脂肪が多い刺し身は実は消化が悪いです。
貝、イカ、タコなどは繊維が強力なので、よく噛んで食べないと消化に悪くなります。
副菜
消化の良い副菜・果物
- キャベツ
- ほうれん草
- 大根
- 人参
- じゃがいも
- 里芋
- りんご
- メロン
- もも
上記のような野菜や果物は食物繊維が少ないので消化に良いです。
果物は柔らかいものが良いですね。
消化の悪い副菜・果物
- ごぼう
- コーン
- たけのこ
- きのこ
- こんにゃく類
- 海藻類
上記は食物繊維が豊富な野菜・副菜です。
先ほどの野菜に対して、固いものが多いのが分かると思います。
こんにゃくや海藻は柔らかいイメージがありますが、繊維の塊なので消化しづらいです。
形状的に消化液が絡みづらいのもありますね。
飲み物
消化に良い飲み物
- 白湯
- 常温の経口補水液
カフェインや人工甘味料入りのものは避けましょう。経口補水液は腸で吸収しやすいため、おすすめの飲み物です。できれば常温で飲みましょう。
また、いずれの飲み物も一気に大量に飲むのではなく、数回に分けて少しづつ体になじませるように摂るようにしましょう。
消化に悪い飲み物
- 冷たいもの
- コーヒー
- 炭酸
- アルコール
いわゆる刺激物です。前項でも触れましたが、カフェインや人工甘味料も避けた方が良いでしょう。
下痢の時に気をつけること
飲み物について少し補足します。下痢の時、便が水っぽくなりますが、これは体に吸収されるべき水分が便と共に排出されている状態です。
下痢が続くと脱水症状のおそれがあるので、普段より意識的に水分補給をするようにしましょう。
さらに人工甘味料入りの飲み物は、飲みすぎると下痢の症状を加速させてしまいます。
関連記事では、下痢の原因や、下痢と人工甘味料の関係についても解説しています。
胃腸に良いレシピ・悪いレシピ
前項では、胃腸に良い食材などを見てきました。次にカギになってくるのはレシピ(調理法)です。
胃腸に良いレシピ | 胃腸に悪いレシピ |
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胃腸の調子が悪い時、ついおかゆ一辺倒になってしまいがちですが、栄養を補給するという意味合いでは、白粥に梅干し一個というのはおすすめできません。
調子がわるいからこそ、不足している栄養素を積極的にとる必要があります。野菜や肉、魚も火を通すことで柔らかく消化しやすくしましょう。
肉であれば、ひき肉は、もとの肉よりずっと消化に良くなります。さらに蒸しシュウマイにするなどの工夫をすると変化も楽しめます。
まとめ
消化が良い・悪いといった言い方をしてしまうと、あたかも消化の良いほうだけ食べれば健康に良いように聞こえてしまいますが、決してそういうわけではありません。
それぞれ効果が異なる食品なので、胃腸の調子が悪いときや下痢に悩まされているときは消化に良いものを食べ、便通を良くしたいときは食物繊維を多く摂るなど、自分の体調に合わせた選択をしていきましょう。
参考:胃腸の弱い人の食事 成美堂出版