下痢の原因は7つもあった!
お腹が痛くてトイレに行ってみたら下痢だったという経験はあると思います。
でも、そんなときになんで下痢になったかわからないということも多いのではないでしょうか。
今回はそんな下痢の原因を説明していきたいと思います。
下痢の原因
そもそも下痢とはなんでしょうか。
通常の便が水分を70-80%ほどしか含んでいないのに対して、下痢は水分を90%以上含んだほぼ液状の便です。
それほど水分が多くなる原因は、便が腸内を十分に水分を吸収されないまま通過してしまったか、腸内で異常な分泌がされたかのどちらかです。
では、なぜそういった状態になってしまったのかという原因を見ていきます。
生理によるホルモン量の変化
生理のときに下痢になってしまう人も多いのではないでしょうか。
生理の下には主にホルモンのバランスが変化することによって起こります。
排卵から生理が始まる前までの期間で、黄体ホルモンと呼ばれる子宮の収縮を抑える役割があるホルモンが多く分泌されます。
黄体ホルモンは基本的には妊娠を助けるような働きをするのですが、この収縮を抑える役割が原因で、腸の収縮運動も抑えられます。
なので、このホルモンが分泌されている間は便秘になりやすいです。
そして、生理が始まると黄体ホルモンは減りますが、今度はプロスタグランジンが分泌されます。
プロスタグランジンは子宮の収縮を促す作用があり、黄体ホルモンのときと同じように、腸の収縮も促されます。
これによって、腸が普段より活発に収縮し、消化が充分でないまま排泄されてしまうのです。
ほかにも、生理時のストレスから下痢になることもあると言われています。
生理中の下痢を予防するには、この後説明するような下痢になりやすい食べ物を避けたり、お腹を冷やさないようにすることが大切です。
腸内環境
腸内には善玉菌・日和見菌・悪玉菌という三種類の菌が住んでいます。
悪玉菌は有害物質を出したり、増殖したりして、腸や身体に悪影響を与えます。
それに対し、善玉菌は腸内の環境を整えて消化を促すとともに、悪玉菌の働きを抑える役割を持っています。
そして、日和見菌は善玉菌か悪玉菌の優勢な方に味方して働きます。
この三つの菌が良いバランスを保っている状態のとき、腸は健康的に働くことが出来るのです。
もしこのバランスが崩れて悪玉菌が優勢の腸内環境になると、お腹を壊したり、様々な病気や不調の原因になるといわれています。
このバランスは様々な要因で変化するので、日頃から善玉菌を意識して摂取して、腸内の環境を整えようとすることが大事です。
善玉菌は、腸内にいる善玉菌にエサを上げて活性化させるか、生きたまま腸内に善玉菌を届けるか、どちらかの方法で増やすことができます。
乳酸菌やビフィズス菌などを代表とする善玉菌は、納豆・ヨーグルト・チーズなどの食べ物や乳酸菌サプリメントを食べることで摂取することができます。
また、善玉菌のエサはオリゴ糖や死んだ乳酸菌などなので、善玉菌を摂取すれば、腸に届くまでに胃酸や熱で死んでしまったとしても、腸内環境が改善されます。
納豆・ヨーグルト・チーズなどを毎日食べるようにしたり、それらが苦手な方はサプリメントを利用したりすると良いのでしょうか。
腸内環境は短期間で簡単に変えることが難しいので、毎日の朝食に納豆を取り入れてみるといったような継続できるやり方がおすすめです。
食中毒
食中毒が原因で今までなんともなかったのに、急に激しい下痢などの症状が出ることがあります。
そこで、下痢をおこす主な菌やウイルスの特徴や予防法を紹介していきます。
サルモネラ属菌
鶏肉などの生肉や卵にいることが多く、食後6時間から72時間で発症します。
下痢・腹痛・嘔吐・発熱などの症状がでます。
肉や卵を75℃以上で一分以上加熱することで予防できます。
黄色ブドウ球菌
握り飯や乳製品・卵製品・肉や魚の加工品等さまざまな感染源があり、食後1時間から5時間で発症します。
下痢・腹痛・嘔吐などの症状がでます。
膿んでいる傷がある手で絶対に食品に触れないようにして、調理した料理は早めに食べるようにすることなどで予防できます。
熱には強く、加熱して殺菌することは難しいです。
腸炎ビブリオ
魚介類が感染源で、食後8時間から24時間で発症します。
下痢・腹痛・嘔吐・発熱などの症状がでます。
魚介類を流水でよく洗って、冷蔵庫で保管することで予防できます。
また、60℃で10分以上加熱することで死滅します。
ウェルシュ菌
煮込み料理が感染源になることが多く、食後6時間から18時間で発症します。
主に下痢や腹痛の症状がでます。
カレーなどの煮込み料理をできるだけ早く食べるようにして、再加熱をしっかりとすることで予防できます。
セレウス菌
食肉・野菜・作り置きした食品などが感染源で、下痢の場合、食後8時間から16時間で発症します。
下痢や腹痛を発症する場合と嘔吐を発症する場合があります。
穀物由来の食べ物を作り置きしないようにしたり、保存するときは8℃以下にして早めに食べることで予防できます。
カンピロバクター
生肉や動物の糞便で汚染された水が感染源で、食後1日から7日と発症が遅めです。
下痢・腹痛・発熱・頭痛・血便などの症状がでます。
熱に弱いので65℃以上で数分間加熱すれば予防できます。
赤痢菌
感染者の糞便で汚染された手や食品などが感染源で、食後1日から7日で発症します。
下痢・腹痛・発熱などの症状がでます。
手洗いをしっかりして、十分に加熱して調理することで予防できます。
ノロウイルス
カキを代表とする二枚貝が感染源であることが多いが感染者からの二次感染などもあります。
食後1日から2日で下痢・腹痛・嘔吐・微熱などの症状がでます。
カキを食べるときは85℃以上で一分半以上加熱し、手洗いを徹底することで予防できます。
アルコールでは効果がないので殺菌する際は煮沸消毒などが有効です。
腸管出血性大腸菌
レバーや生肉などが感染源で、食後4日から9日で発症します。
腹痛や下痢、血便などの症状がでます。
手洗いをしっかりして、調理の際に75℃以上で一分以上加熱することで予防できます。
食中毒にならないためには
食中毒は感染を避け、増殖を抑えて、しっかり殺菌することである程度予防できます。
厚生労働省の食中毒予防に関するサイト(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html)の内容を大まかにまとめると、次のことに気をつければ予防できるそうです。
・肉・魚・野菜は購入したらできるだけすぐに冷蔵庫で保管しましょう。
・冷蔵庫は詰めすぎないようにして、冷蔵庫の温度を10℃以下、冷凍庫の温度を-15℃以下になるようにしましょう。
・肉や魚の水分は他の食品にかからないようにしましょう。取り扱った前後に手を洗うことも大切です。
・生肉や魚を切った包丁やまな板でそのまま生で食べる野菜や調理済の食べ物を切るのは避けましょう。
・冷凍してある食品を室温で解凍するのは避け、必要な分だけ解凍するようにしましょう。
・加熱調理が必要なものはしっかりと十分な熱を加えましょう。
・料理や食品を室温で長い間放置するのは避けましょう。
・危ない気がしたり、時間が経ちすぎたものは口に入れる前に捨ててしまいましょう。
ストレス
日常の不安や緊張などからくるストレスは自律神経の働きに影響を与え、それが腸の働きを悪くすることで下痢になることがあります。
交感神経とは体の働きを調整するためにある神経のことです。
自律神経には身体を動かしている時に活発になる交感神経とリラックスしている時に活発になる副交感神経があります。
腸は副交感神経が活発なときに、腸内の環境を整えたり、食べ物を消化したりします。
しかし、過度のストレスを受けると、自律神経のバランスが崩れ、腸がの働きが不安定にってお腹を壊します。
悩みを抱え込まずに誰かに相談したり、リラックスできる時間を増やしたり、ストレスを発散する機会を増やすなどしてストレスを貯めすぎないようにしましょう。
カルシウムやビタミンを摂取することもストレスの抑制に効果があります。
このストレスによるお腹の不調が慢性的に続いていたら、過敏性腸症候群の疑いがあります。
過敏性腸症候群とは、身体的異常が特に認められないにも関わらず、下痢や便秘を繰り返す病気です。
気になる方は病院で相談してみると良いかもしれません。
食べ物
食べ物は下痢のきっかけになりやすいです。
ですが、基本的には食べ過ぎに気をつけてバランスの取れた食生活をしていれば問題ないものが多いです。
暴飲暴食
消化器官が消化できる量を超えて、飲み食いしてしまうと消化しきれないまま排泄されてしまいます。
できるだけ適度な量を食べるようにしましょう。
刺激の強いもの
刺激の強い食べ物を食べると腸を刺激して、腸の運動が活発になって消化が充分でないのに排泄されてしまいます。
辛いもの・酸っぱいもの・熱いもの・アルコール・カフェインなどが刺激の強いものです。
少し食べるくらいであればもちろん大丈夫ですが、食べ過ぎたり、調子の悪いときに食べたりしないように気をつけましょう。
冷たい食べ物
アイスや冷えた飲み物は暑い季節には欠かせないものです。
ですが、あまり冷たい食べ物を食べすぎると、お腹が冷えて消化器官の機能が低下します。
腸の水分調整機能が十分に働かなくなる原因になるので、食べ過ぎには気をつけましょう。
人工甘味料
低カロリーやシュガーレスを掲げているお菓子に入っていることが多いのが人工甘味料です。
人工甘味料と言っても色々ありますが、その中でも糖アルコールに分類されるものは消化しにくいという特徴を持ち、腸内で浸透圧をあげて、腸壁から水分を出させてしまうことがあります。
代表的な糖アルコールには、還元水飴・マルチトール・キシリトールなどがあります。
食べるときは適量を心がけましょう。
乳糖
牛乳などの乳製品に含まれる乳糖という成分は、人工甘味料と同じように、浸透圧をあげて腸内の水分が増やす原因になります。
乳糖を分解するにはラクターゼという酵素が必要なのですが、成人してもこの酵素を持っているかはその人の遺伝子によって異なります。
日本人は遺伝的に成人でこの酵素を持っている人の割合が少なく、牛乳を飲むと乳糖を分解できずにお腹を壊す人が多いです。
ただし、ヨーグルトやチーズに関してはその生産過程において乳糖の量が減っていたり、含まれている乳酸菌がラクターゼを持っていたりします。
なので、牛乳を飲めない人でも、ヨーグルトやチーズはある程度食べられるということが多いようです。
硬水やサプリメント
硬水やサプリメントの飲み過ぎは、乳糖や人工甘味料と同じような浸透圧による下痢を引き起こす原因となります。
硬水とはマグネシウムを多く含んだ水のことです。反対にマグネシウムをそれほど含んでいない水のことを軟水といいます。
水にどれだけのマグネシウムが含まれているかは地域によって異なります。
基本的に日本は軟水の地域が多いですが、ヨーロッパなどでは硬水の地域が多いです。
海外旅行などで飲み慣れない海外の水を飲んでしまうとそれが原因で下痢になってしまうことがあります。
海外に行った際は軟水器を使ったり、市販の軟水を買ったりして地元の水を飲むことは避けたほうがいいかもしれません。
抗生物質
抗生物質が腸内に住んでいる細菌を無差別に殺してしまうことで、腸内環境が悪化して下痢になることもあります。
腸内には三種類の菌がいることはすでに説明したとおりですが、抗生物質の強い殺菌作用は悪玉菌以外の善玉菌や日和見菌も多く殺してしまいます。
それが原因で腸内細菌のバランスが崩れて、お腹を壊すのです。
対策としては、日頃から善玉菌を積極的に摂取して腸内の善玉菌が増えるように働きかけましょう。
アレルギー
アレルギーが原因で下痢になることもあります。
身体がアレルギーの原因のものを早く排出してしまおうとするためです。
アレルギーにはすぐにアレルギー症状の出るものと、しばらく経ってからアレルギー症状が出るものがあります。
もし後者の場合、アレルギーが原因で下痢になっていても気づけないことも多いです。
気になった方は自分がどういうものにアレルギーを持っているのか、医療機関で調べてもらうといいかもしれません。
偏った食生活
高脂質・高タンパクの食事や無理なダイエットによる偏食が原因でお腹を壊すこともあります。
高脂質・高タンパクな食事は腸内に住む悪玉菌の大好物です。
そういった食生活を続けていると悪玉菌が増殖して、有害物質が増え、下痢になってしまいます。
また、ダイエットで栄養が偏ったり、断食してから急に食べたりすることも下痢の原因になります。
病気
もし発熱・嘔吐・体重減少といった症状を伴っていたり、二週間以上にわたって下痢になっていたりした場合は病気を疑う必要があります。
下痢は慢性膵炎・潰瘍性大腸炎・大腸がんなどの重大な病気の症状でもあるからです。
もう少し後で説明する便の色も病気を発見出来る兆候の一つです。
素人判断で、病気でないと決めつけるのは危険なので、病気かもしれないと思ったときは病院に行くようにしましょう。
生活リズム
生活リズムが崩れている人は下痢になりやすいです。
特に睡眠リズムが乱れていると、ストレスのところでも説明した自律神経のバランスが乱れてしまう原因になります。
また、食事の時間が一定でないと、腸の働くリズムが乱れて、きちんと消化できなくなることがあります。
生活リズムはできるだけキチンと整えるように気をつけましょう。
腸機能の低下
暴飲暴食などで腸に負担がかかっていたり、高齢になっていたりしていると腸機能が低下して、お腹を壊しやすくなったりします。
食事量を考えてみたり、刺激の強い食べ物を控えてみたりすると良いかもしれません。
お腹の冷え
冷房が効きすぎていたり、夜寒い格好で寝たりしてお腹を冷やしてしまったりすると、消化器官の機能が低下し、下痢になりやすくなります。
冷たい食べ物を食べるのと同じように、腸が上手く水分を調整できなくなるためです。
身体はあまり冷やさないように気をつけましょう。
下痢の色がおかしいとき
普通の便の色は明るめの黄色からこげ茶色です。
しかし、病気などによって便の色が変わることがあります。
あくまで目安の一つに過ぎませんが、便の色を見ることで病気の兆候が捉えられるかもしれません。
もしハッキリとした覚えがないのに今から紹介するような便が出たときには早めに病院を受診するようにしましょう。
便が白いとき
便が白かったり灰色だったりするときには幾つかの原因が考えられます。
一つ目は人間ドックなどでバリウムを飲んだとき、もう一つは何らかの病気の時です。
バリウムのときは別に気にする必要はありませんが、病気のときはウイルス性腸炎やコレラなどが考えられます。
幼児であれば、ロタウイルのに感染しているケースもあります。
また、胆管や肝臓などに異常があるときも胆汁の分泌が上手くできずに白っぽい便が出ます。
便が黒いとき
便か黒っぽい便は黒炭のようにも見えることからタール便と呼ばれたりします。
黒くなっている原因は血液が酸化して黒ずんでいくからです。
この便が出たときは食道や胃などから出血している可能性があります。
便が赤いとき
便に血が混ざると便が赤くなります。
いわゆる血便と呼ばれる状態です。
大腸が何らかの原因で出血を起こしていることが多く、食中毒・潰瘍性大腸炎・大腸がんなどの重大な病気の可能性があります。
痔であることが多いですが、痔だと思っていて重大な病気を見逃していたら大変なので、早めに病院に相談をしましょう。
下痢対策と応急処置
下痢にならないためには
下痢予防には、まずこれまで説明してきた原因をできるだけ避けることが大切です。
下痢は一つの原因だけでなく、複数の原因が重なって起こることもあります。
また、慢性的に下痢になりやすい人は腸内環境を整えて下痢になりにくい腸を作っていくといいかもしれません。
また、海外に行くときは、行先の衛生環境や食事について、あらかじめ調べたり、病院で相談したりすることも大切です。
海外には日本ではあまり流行っていない病気があったり、食事の内容が変わることでお腹に負担がかかったりします。
慣れない海外で下痢になってしまわないように、事前の準備はしっかりしていきましょう。
下痢になってしまったときは
下痢のときは脱水症状になる可能性があるので、水分補給をするように心がけましょう。
ただし、水分補給にも幾つか注意点があります。
冷たいもの・コーヒー・炭酸・アルコールなど腸に負担をかける飲み物は避けるようにして下さい。
おすすめなのは常温の経口補水液です。
経口補水液は腸で吸収しやすいため、効率よく水分が補給できます。
あまり大量に飲まないときはスポーツドリンクでも大丈夫です。
また、食べ物は消化に良い物を食べるようにしましょう。
脂肪分の多いものや生野菜・海藻、玄米などは避けましょう。
おかゆやうどん、すりおろしたリンゴや煮込み料理が良いです。
下痢になってしまったときに下痢止めを使う方もいるかもしれませんが、原因が食中毒や細菌感染の疑いがあるときは使わないほうが良いです。
ウイルスや細菌による下痢は、腸内の異物を早く排出してしまったほうが良いので、脱水症状にならないように気をつけながら、下痢止めの使用は控えて早めに病院に行きましょう。
また、普段飲まない薬を飲むときは、副作用のような症状が出たら、飲むのをやめて病院を受診するようにしましょう。
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