腸内環境とは大腸内部の環境のこと
腸内環境とは主に大腸内部の環境のことをいいます。
この大腸内部の状態が私たちの健康を維持するのにとても重要な役割を担っているのです。
大腸は、医学的には6つの部位に分類され、小腸から繋がる盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸までの5つの部位(総称して結腸と呼ばれます)と肛門に繋がる直腸をにより構成されています。
大腸は食物の消化、吸収をする過程の中で、特に糞便を作りだす役割を担っています。
口から摂取した食べ物は、胃や小腸を通り抜ける間にドロッとした液状に変わり、大腸で内部の水分が吸収されて固まり、糞便に変わっていくのです。
大腸を通り抜けた糞便が直腸に達すると神経が刺激され、直腸から糞便が送りだされます。
このような排便に大腸が深く関わっているため、大腸が上手く働かなくなることは、多くの人を悩ませる「便秘」の原因になるのです。
よい腸内環境に必要な「腸内細菌の絶妙なバランス」
大腸内部には非常に多くの腸内細菌が生息していて、その種類は数百種類、数は数十兆個から100兆個に上ると言われています。
それらは、腸の壁を覆い尽くすように集まっており、その様子が花畑に見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内フローラを構成する腸内細菌は、大きくわけて善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類され、それぞれ20%、10%、70%といった割合で存在している状態が良い状態とされています。
菌の分類 | 菌の種類 | 働き |
---|---|---|
善玉菌(20%) | ビフィズス菌や乳酸菌 | 身体の健康維持に貢献している |
悪玉菌(10%) | ウェルシュ菌や大腸菌 | 腐敗物質を産生して健康に害を与える |
日和見菌(70%) | 善玉菌でも悪玉菌にも該当しない菌 | 腸内環境によって働きが変わる |
これら善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合、つまり腸内細菌のバランスが健康的な身体の維持に重要で、このバランスが崩れた状態がいわゆる「腸内環境の乱れ」と言えます。
腸内環境を整えるとは、先ほどご紹介した、腸内フローラを善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の理想のバランスにするという意味です。
こうすることによって、善玉菌が活発に活動するようになり悪玉菌<善玉菌の状態を維持できます。
善玉菌が悪玉菌に対して優勢であれば、日和見菌は善玉菌の味方となります。
腸内環境がそのような状態である場合は、腸内の異常発酵や便秘といった問題を避けることができます。
しかし、腸内環境は普段の生活習慣や、加齢の影響とともに自然と悪化していくものです。
意識的に腸内環境を良い状態に整えることをしない限り、腸内環境は乱れていく一方なのです。
では、腸内環境を整えるとは一体何を意味しているのでしょうか?
腸内環境を整える意味とは?
腸内フローラの状態のことを腸内環境といいますが、 腸内フローラは私たちの健康と密接に関係しています。
具体的には、以下のような点で私たちの健康と関わりがあります。
腸や腸内フローラと健康の関わり
- 腸は脳と迷走神経でつながっており、脳と大きな関わりを持っている。
- 腸内で発生した毒素は、血液に溶け込み全身を巡るため、全身に不調が現れる。
- 腸内フローラを構成する腸内細菌の中には、脂肪を付きにくくする菌が存在する。
- 腸内フローラ構成する腸内細菌の中には、大腸がんの原因物質を生成する菌が存在する。
- 腸は免疫機能が集まる器官であり、その働きに腸内フローラが関わっている。
このように腸や腸内フローラと、私たちの健康は密接に関係しており、腸内環境を整えることは、健康へ近づくことを意味しています。
逆に、先ほどご紹介した腸内フローラのバランスが崩れると、様々な健康被害のリスクが高まります。
近年では、重大な病気との関連も指摘されているので気をつけなければなりません。
腸内環境が乱れると、私たちの健康にどのような影響が出るのか、代表的な5つの影響をご紹介します。
腸内環境の状態は”便の形状”と”おならの臭い”でチェックする
自分自身で、「腸内環境、悪化しているかも」と気づくための方法は大きく分けて2つあります。
便の形状を確認してみる
1つは「便の形状」を確認することです。分かりやすいのは下痢をしている場合。
大腸の働きが悪くなり、便の水分を吸収できずに排便されてしまう下痢は、腸内で悪玉菌が優位になっているときに発生する症状です。
逆に、水分量が少なくて硬く、黒みがかっている便の場合も悪玉菌が優位であり、腸内環境が悪化、便秘を併発気味の状態と考えられます。
腸内環境が良いと判断できる理想的な便は、適度な水分を含み、バナナのような形状で排便される便です。
色味も黒すぎず、また臭いもきつくなければ、腸内の有害物質は少なく、健康的な状態であると判断できます。
おならの臭いを確認してみる
自分の腸内環境を知る上でもう1つ手がかりとなるのは、「おならの臭い」です。
おならは腸内細菌が食物を分解するときに発生させるガスで、臭いおならは、悪玉菌が増えて腸内環境が乱れている証拠となります。
なぜなら、悪玉菌は腸の中を腐敗させて、有害物質だけでなくアンモニア、スカトールといった悪臭のある気体を生み出すからです。
逆に、善玉菌が多い腸内環境の時には、臭いのないおならになります。
善玉菌は腸内の食べ物の消化、吸収を促進したり、腸内の蠕動運動を促すなどの働きがあり、臭いのないおならは、善玉菌が活躍するキレイな腸内から発生する良いおならと考えられます。