不眠と腸内環境セルフチェック【眠れないなら腸を整えよう】
夜、なかなか寝付けなかったり、熟睡できなかったりと、眠りに関する悩みは尽きないものです。
不眠を感じた時、あなたはどんな解決方法を思いつきますか?ストレスの除去?適度な運動で、寝付きを良くする?どれも体に良さそうですね。
でも、もしあなたが「便秘」や「おなかの不調」を感じているなら、腸内環境を整えるというアプローチ方法もあります。
腸内環境のセルフチェック
おなかの不調が、不眠の症状とつながりがあるという話の前に、まずはあなたの腸内環境の状態をチェックしてみましょう。
腸内環境を決定づけるのは、腸内細菌のバランスです。腸内には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌と呼ばれる独自の菌叢があります。
善玉菌は、有用菌とも呼ばれています。食べ物の消化吸収をスムーズにし、便を作り出した、免疫力を高めて病気を防ぐなどの腸の本来の働きをサポートする性質があります。
一方で悪玉菌は、善玉菌の反対の性質があり、有害菌とも呼ばれています。何らかの原因で腸内で悪玉菌が増殖すると、消化不良や便秘、様々な病気や体調不良を引き起こします。
善玉菌・悪玉菌・日和見菌は2:1:7の割合で存在するのが理想とされ、健康を維持するには常にこのバランスを保っておく必要があります。もちろん、睡眠にも影響します。
腸内細菌のバランス、すなわち腸内環境を知るには、病院での検査や、自宅での検査キットの活用という方法もありますが、便の状態からある程度推し量ることができます。
まずは、トイレの後、便の様子を観察して以下の項目をセルフチェックしてみます。以下は理想的な便の状態です。
- 便は便器の水の中で浮く
- 便はバナナ状をしている
- 便の色は黄色っぽい
- 臭いはするが悪臭ではない
いかがでしょうか。運動や栄養・休養(睡眠含む)がバランスよく取り入れられている時、このような便になります。
しかし、腸内環境が悪化すると、形・色・臭いに以下のような変化がおきます。
形
硬い場合
便秘で体内に長く便がとどまり、水分量が減って、コロコロしてくる
柔らかい場合
消化不良や下痢などで、水分量の多い状態。形を留めない場合も
色
病気や食べたものなどが原因で赤・黒・緑・白・灰色っぽい色をしている
悪臭
タンパク質のとりすぎなどが原因で、キツい臭いがする
睡眠ホルモンを作るのも腸内細菌
不眠の原因は様々で、一概にこれだと断定することはできません。しかし、腸内環境の悪化が、不眠の一因となっていることは確かです。
なぜなら睡眠に関わるホルモン「メラトニン」のもとは、脳と腸で作られるからです。
また、そのメラトニンの材料は、腸内で作られるセロトニンです。更にセロトニンは肉や魚に含まれるトリプトファンからつくられます。
流れを整理しますと…
肉や魚などに含まれるトリプトファンを摂取する→腸内細菌の活動によりセロトニンが作られる→夜になると睡眠のためのメラトニンになる
…となります。(厳密に言うと、脳で作られたセロトニンが直接脳で働くわけではありませんが、ここでは解説をわかりやすくするため、説明を簡略しております。)
もう少し詳しくみていきましょう。
メラトニン
朝起きてから14~16時間後に分泌される睡眠ホルモンです。そのため、メラトニンが働くには、休日でも出来る限り規則正しく寝起きする必要があります。
セロトニン
別名「幸せホルモン」と呼ばれます。精神を安定させ、攻撃的になるのを抑える働きがあります。夜にはメラトニンとして働きます。
腸で作られたセロトニンが血液を介して脳に届けられるためには、やはり腸内環境が整っている必要があります。
トリプトファン
トリプトファンは、人間が生命活動を行う上で必要な必須アミノ酸のひとつです。ただし、体内で自然に作られるものではないので、食べ物から取り入れる必要があります。
食事から取り入れた後、腸でセロトニンとなって働きます。トリプトファンを含む食材については、次項でご紹介します。
不眠を改善する食べ物
トリプトファンはタンパク質に含まれます。身近な食品として、代表的なものをいくつか挙げてみます。
- 肉類:牛・豚・鶏(特にレバー)
- 魚介類:(特にまぐろ・かつお)
- 豆類:豆乳
- 乳製品:ヨーグルト・牛乳・チーズ
- その他:バナナ
特に肉や魚などに多く含まれます。また、摂取量としては、成人であれば500~600mg(体重による)程が必要になります。
ただし、肉ばかりを食べていては、悪玉菌の増殖を招き、かえって腸内環境を悪化させかねません。炭水化物やビタミンなどと組み合わせたバランスの良い食事を目指しましょう。
不眠を招く生活習慣
ここまでに、腸内環境と睡眠が関連しあっていることや、トリプトファンのもたらす作用についてみてきましたが、食事以外の生活習慣も見直してみましょう。
ここでは、腸内環境と自律神経に注目してみます。
腸内環境の悪化を招く生活習慣
前項でも述べましたように、腸内環境は睡眠ホルモンにも関係してきます。腸内環境を悪化させる生活習慣が定着していないかチェックしてみましょう。
- タンパク質に偏った食事:悪玉菌の増殖を招きます
- 食物繊維の不足:便の量が減って、結果的に便秘を招きます
- 抗生物質:腸内の善玉菌も排除してしまうデメリットがあります
- 運動不足:筋力不足が、腸のぜん動運動を鈍らせます
- 過度なダイエット:食べる量を減らすだけだと、便秘になってしまいます
- 不規則な生活:自律神経の働きを乱します(詳細は後述)
自律神経のバランスを乱す生活習慣
睡眠は、自立神経の働きとの関わりが大きく、これを無視しては安眠を得ることはできません。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、互いにバランスを取り合いながら、どちらかが優位になった時に、特定の生理現象を起こしています。
睡眠を司るのは、副交感神経。そして、日中いきいきと働くには交感神経。どちらが良いと言うわけではなく、時間帯や必要に応じて神経の切り替えが必要なのです。
話を睡眠のことに戻しますと、睡眠を司る副交感神経は、通常午前0時がピークとなります。安眠のための理想としては、この時間にはすでに床に入っておく必要があります。
また、人間の体内の時計は、少しずつズレていくため、定期的に時計合わせをする必要があります。
朝日を浴びる、食事をを摂るというアクションは、交感神経優位のスイッチとなるため、時計合わせに役立ちます。
つまり、不規則な生活や、無計画に食事を抜くことは、自律神経を乱れさせ、上述の腸内環境の悪化を招きかねません。
さいごに
睡眠ホルモンには、腸内環境や自律神経が深く関わっていることについてみてきました。
メラトニンの産生にはトリプトファンが良いとされますが、単に食事やサプリメントから摂れば良いということではなく、規則正しい生活や腸内環境への配慮も必要です。
生活が乱れているという自覚がある方は、まずは休日でも朝起きる時間をできるだけ一定にしてみたり、3食規則正しく摂るなどができているか、見直すことから始めてみましょう。
参考
「ウンチのうんちく 大便・おなら・腸内細菌のはなし」左巻健男 著/PHP研究所
「便活ダイエット」小林弘幸 著/ワニブックス
http://shokumaru.jp/luvtelli/20140327_1.html