腸内環境を調べる方法は3つ
内臓の1つである腸の状態は「目に見えないので、どうやって調べれば良いのか?」と思われる方も多いです。
また、腸内環境の重要性が分からずに病院等での検査も後回しという方も多いようです。
ここでは腸と腸内環境の概要について少しお話してから、腸内環境を調べる方法をいくつかご紹介します。
腸の役割と腸内環境
人は胃で食べたものを分解、消化した後、主に小腸で栄養分を、そして大腸にて水分を吸収します。吸収されなかった食べ物の残りは便として体外へ排出されます。
このように腸は身体に栄養分や水分を供給する役割を担っているほか、身体の免疫機能をコントロールする大きな役割も持っています。
腸内には免疫細胞が数多く存在し、腸内環境が良いと免疫機能も活発に作用するので健康な状態を維持できますが、逆に腸内環境が悪化すると免疫力が低下し、病気になりやすくなったり、アレルギー等の症状に悩まされることになります。
私たちの心身両面に大きな影響を及ぼすからこそ、腸内環境を調べて把握し、常日頃から整えておくことはとても大切なことなのです。
腸内環境を調べる方法
腸内環境を調べる方法として代表的な3つの方法をご紹介します。
- 病院で検査してもらう方法
- 検査キットを使用して調べる方法
- 日常生活に基づくセルフチェック
の3つです。
いずれも腸内環境のバランスを判断する上で重要になるのが、腸内細菌です。腸内細菌がどのような割合で存在しているかを調べることで、腸内環境の状態を検査することができ、今後どのように改善していけば良いかが分かるのです。
私たちの体内に生息する腸内細菌の種類は数百種類、数は数十兆個から100兆個に上ると言われており、重さにして1キログラム以上。
これらの腸内細菌は腸内で同じ細菌同士が大小の群を作って腸の壁面に生息しており、集合している様子が「くさむら(叢)」に似ていることから「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」、または「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内細菌の種類は主に善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類。善玉菌には代表的なビフィズス菌・乳酸菌をはじめ100種類以上が存在し、私たちの身体の健康維持に欠かせない働きをする菌。
一方、悪玉菌は悪臭の元となる腐敗物質を産生する菌で、これらの腐敗物質は善玉菌により分解されたり、ガスや排泄物として体外に排出されます。
悪玉菌がまったく無くなってしまうと一部の善玉菌が作用しなくなってしまうため悪玉菌は必要悪と考えられますが、増殖しすぎると体内に悪影響を及ぼします。
健康な腸内環境の維持には、この2つの菌のバランスと割合が大事なのです。そして、そのバランスをコントロールするのが日和見菌。
日和見菌は腸内細菌の中で1番多くの数を占める菌で、その時々の腸内環境に応じて善玉菌としての役割を果たしたり、悪玉菌として作用したりといった性質があります。
腸内環境を調べる場合、何れにしてもこの3種類の細菌の割合を調べることがまず最初の目的になります。
①病院で検査
まずは病院での検査ですが、胃腸科や皮膚科、美容外科などのクリニックで「腸内フローラ検査」と呼ばれる検査を受けることができます。
具体的には便を採取し調べる方法ですが、便からDNAを採取・分析し、腸内細菌の生息割合、つまり善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合を調べるという方法です。
主に、それぞれの代表菌である、善玉菌のビフィズス菌・乳酸菌、悪玉菌のクロストリジウム菌などの割合を調べます。
腸内細菌の割合以外にも、便のpH(水素イオン指数)を測定します。健康な腸内環境は弱酸性の状態にあるので、もし便のpHが低ければ腸内環境は良く、悪玉菌による腐敗物質は少ないと考えられます。
逆にpHが高くアルカリ性であれば、腸内環境が乱れており、悪玉菌が優勢な状態にあると推測できます。また、便の中で悪玉菌のエサになる腐敗物質がどの程度存在するかも調べることができます。
腸内環境を病院で調べることの良い点としては、自分で何も行う必要がないので楽に検査を受けることができるということと、上記以外にもオプションとしてさまざまな検査結果を知ることができるという点が挙げられます。
ただし、病院で検査を受けるデメリットとして、一回の検査あたり数万円の費用がかかるため、日常的に何度も受診することが難しい点が挙げられます。
絶えず変化し続ける腸内環境を常に病院での検査で把握することは難しいですが、身体に異変を感じたり、大きく生活環境が変化した時など、数年に1度でも病院で詳しく調べてみることは価値があると考えられます。
②検査キットを使用する
病院で高額な費用を払って検査を受けなくても、比較的簡便に腸内環境を自分で調べる方法が、この検査キットを使用した方法。腸内環境の検査キットは、各メーカーから複数の種類が販売されており、金額は1万円前後で購入ができます。
具体的にな検査方法は、自分で便を採取して専用のキットにいれて郵送するという方法でおよそ1ヶ月ほどで検査結果が分かります。
分析結果はインターネットのウェブサイト上で簡単に確認することができるため、「忙しくて、なかなか病院に行く時間が無い」という方にもおすすめ。
検査キットを使用したチェック項目は、病院での検査と同様で、便から採取できるDNAから腸内細菌の割合を調べるといった内容が主。
改良が進み手を汚さず簡単に便を採取できるようになっており、検査にかかる費用も病院に比べて手頃ですので、腸内環境を調べるのは初めて、という方でも始めやすい方法かと思います。
インターネット上で確認できる検査結果では、結果の数値だけでなく、腸内環境の改善に必要な生活習慣の見直しポイントであったり、サプリメント摂取による善玉菌の増加方法など、さまざまな提案やコンテンツが含まれています。
③自分でセルフチェック
腸内環境の判断に必要なセルフチェック項目を活用することで、自分自身でも、自身の腸内環境の状態を調べることができます。例えば下記のような項目でチェックすることができます。
みなさんもいくつ当てはまるか試してみましょう。
- 毎日便が出る
- 便の形状はバナナ状だ
- 決まった時間にトイレや便をしている
- おならが毎朝出る
- 口臭はない
- 体臭も気にならない
- アレルギーはあまりない
- 肌荒れはあまりない
- 胃腸の重さを感じることはあまりない
- 原因不明の体のだるさなどはあまり感じない
この10項目に当てはまる数が多いほど、腸内環境は良好だと言えます。1から10の項目は腸内環境が良い時の状態、つまり腸内細菌がバランスよく存在し、腸の機能が正常に保たれている状態を表しています。
それでは、このような状態を維持するためには何が必要なのでしょうか?次の項目は腸内細菌をバランスよく維持するために必要な食事や睡眠など、ライフスタイルにかかわるチェック項目です。
- 朝ごはんを必ず食べる
- 3食しっかり食べる
- 良く噛んで食べる方だ
- 生野菜が好きだ
- ヨーグルト・キムチ・納豆などの発酵食品が好きだ
- 肉より魚派だ
- 魚は刺身が好きだ
- 和食派だ
- 食事は寝る2時間前にはすます
- 睡眠時間は6時間以上だ
どうでしょうか。どのくらい当てはまりましたか?こちらの項目も当てはまる数が多いほど、良い腸内環境を維持できていると考えられます。腸内細菌をバランスよく保つための方法としては、上記の10項目はあくまで一例。
自分で腸内環境をチェックしたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
この他にも腸に優しい食生活や生活スタイルのヒントは数多くあります。自分の生活に取り入れやすいものから始めてみませんか。全部をやらなくては、と思ってストレスを溜め込むのは逆効果ですのでご注意。
ストレスは善玉菌の最大の敵の1つなのです。
ここまでにご紹介した方法で腸内環境を調べることができ、また毎日の生活の中で少しだけ腸内環境を意識することで今日から改善することもできます。いつ始めても遅くないので、できることから心がけてみてください。