胃腸を強くする3ステップ
頻繁にお腹を壊してしまい、自分は胃腸の弱い体質だからと諦めかけている人もいらっしゃると思います。
そんな人でも日々の生活で気をつければ、丈夫な胃腸を手に入れられるかもしれません。
今回は胃腸への負担を減らし、食生活に気をつけて、生活習慣を身につけるという3つのステップで胃腸を強くする方法を紹介します。
胃腸に負担をかけない方法
お腹を壊さないためにまず大事なことは胃腸の負担を減らして、余裕を持って消化出来るようにしてあげることです。
そこで、胃腸の負担を減らすポイントをまず見ていきたいと思います。
腹八分目の食事
「腹八分目」という言葉を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
満腹まで食べてしまうと胃腸はその分を消化し続けることになり、負担が増えます。
暴飲暴食はもちろんですが、普段の食事も少し控えめに食べることを心がけてみてはどうでしょうか。
無理に食事を制限するのは良くないので、あと一口食べたい、というくらいの控え方がちょうどいいです。
バランスの取れた食事
食事はできるだけバランスを取って、偏食を避けるようにしましょう。
高脂質・高タンパクなものや炭水化物などに偏らないように気をつけることが大切です。
これらのものは食べ過ぎると消化に負担がかかったり、悪玉菌という有害物質を出す菌の大好物であったりします。
よく噛んで食べる
よく噛むと二つの良いことがあります。
一つはよく噛んで時間をかけて食べることで、満腹中枢が刺激されて、食べ過ぎを防ぐことができます。
そして、もう一つはよく噛むと食べ物と唾液がよく混ざって嚥下しやすくなったり、胃腸で吸収しやすくなったりすることです。
理想は一回口に入れたら30回噛むと言われていますが、それが厳しい方でも一口食べるごとに少し箸を置くなどしてゆっくり食べてみてはどうでしょうか。
食事の間をしっかり空ける
一日の食事のリズムをしっかり作って、前に食べたものが消化されてから次の食事を食べるようにしましょう。
食べ物が完全に消化されて、少し空腹を感じるくらいで食べるのが食べすぎないようにする程よいタイミングです。
一般的には5時間前後空けると良いと言われています。
ただし、あまり長く空けてしまうと太る原因や病気の原因になってしまうので程よいタイミングで食べるようにしましょう。
また、規則正しい時間に食事をとるようにすると、身体がその時間に食べ物を消化する準備をするようになり、安定して消化できるようになります。
お腹を冷やさないようにする
お腹が冷えると臓器や酵素の働きが低下してしまいます。
理想的なお腹の中の温度は37℃くらいと言われてますが、その温度を保つためにお腹を冷やさないように気をつけましょう。
冷たい飲み物を避けたり、腹巻きや軽い運動でお腹を温めたりしましょう。
胃腸を強くする食事
胃腸に負担をかけない方法は色々ありましたが、普段少し気をつけるだけで出来ることも多かったのではないでしょうか。
ここからは、様々な方向から胃腸を強くできるような食べ物について説明していきたいと思います。
腸内細菌を整える食べ物
腸内には大きく分けると有害物質を生成する悪玉菌、悪玉菌の働きを抑えて腸を整える働きをする善玉菌、悪玉菌と善玉菌のどちらか強い勢力に味方する日和見菌という三種の菌がいます。
それらの菌が上手くバランスを保つことで健康的な消化ができるのですが、このバランスは日々のちょっとしたことで変化します。
なので、善玉菌優勢な状況を維持するためには、日頃から善玉菌を増やす工夫を意識してした方がいいです。
ただ、この腸内細菌を整えるという方法は効果が出るまでに時間がかかることが多く、始めてから二週間以上しないと効果がわからないことも多いです。
そのため、長い間続けられるような自分に合ったやり方で腸内細菌を整えていくのがおすすめです。
そこで、どういった食事をとれば善玉菌を増やせるのかを紹介します。
発酵食品
発酵食品には善玉菌の一種である乳酸菌が多く含まれています。
具体的な食品としては、キムチなどの漬物・味噌・納豆・チーズ・ヨーグルトなどがあります。
特に植物由来のものは酸や菌に強い植物性乳酸菌が含まれているため、生きたまま腸に届きやすいという特徴があります。
ですが、乳酸菌は腸にたどり着くまでに死んでしまっても、腸内にいる善玉菌のエサとなり、善玉菌を活性化させるので、チーズやヨーグルトなどの動物由来の乳酸菌でも十分効果があります。
オリゴ糖
オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサであり、善玉菌にエサを与えて活性化してもらうことで腸内環境の改善ができる糖です。
大豆由来の食べ物・蜂蜜・ごぼう・バナナなどに多く含まれています。
オリゴ糖シロップなどの形で摂ることもできますが、大事なことはとりすぎるのも良くないということです。
一般的に一日10gくらいまでが摂取の目安と言われています。
また、一度に摂るよりも少しずつ摂ったほうがより効果的なようなので、日々の食事に少し意識して取り入れてみるのがいいと思います。
食物繊維
食物繊維は大きく分けて水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の二種類があります。
その中で水溶性食物繊維は、オリゴ糖と同じように善玉菌のエサとなって腸内環境を改善できます。
また、不溶性食物繊維に関しても、腸内で水分を吸収し、便のかさを増すことで排便を改善します。
なので、この二つの食物繊維をバランスよく摂っていくと良いです。
水溶性食物繊維は大麦・ライ麦・にんにく・生のらっきょうなどに多く含まれていて、不溶性食物繊維はライ麦・アーモンド・豆類などに多く含まれています。
下痢のときなどは不溶性食物繊維が症状を悪化させることもあるので、一時的であれば摂取を控えるのも良いでしょう。
サプリメント
外食が多いなどの理由で日々の食事を変えることが難しい人は、サプリメントを試してみると良いかもしれません。
乳酸菌サプリメントという種類のサプリメントは腸内環境を整えるのに有効です。
様々な種類があってどれを選べばいいか戸惑うかもしれませんが、自分に合った菌が入っていて、継続して使用できそうな価格のものを探してみてください。
アレルギーを持っている方は、アレルギーの原因物質が含まれていないか注意してください。
粘膜を保護する食べ物
胃の粘膜が弱まると、胃液などの影響を受けやすくなり、胃が不調になりやすくなります。
そこで、ここからは胃の粘膜を修復したり、保護したりするのに効果のある食べ物を見ていきましょう。
ネバネバした食べ物
納豆・山芋・海藻などのネバネバした食品にはムチンという成分が含まれています。
ムチンには粘膜保護・タンパク質の分解促進・腸内環境改善という三つの働きがあります。
粘膜の保護には、体の外から侵入してくるウイルスに対する免疫を高める効果と刺激の強い胃酸から自らの胃を守る効果があり、強い胃腸を作る上で欠かせません。
また、タンパク質の分解促進やムチンが含む水溶性食物繊維による腸内環境の改善は胃腸の働きを助けてくれます。
ただ、ムチンは熱に弱く、水に溶けやすいという特徴があります。
なので、できるだけ加熱しすぎないようにしたり、水に溶け出したムチンを摂取できるような汁物などにして食べると良いです。
キャベツ
キャベツにはビタミンUと呼ばれる成分が含まれています。
ビタミンUはキャベジンともよばれ、キャベツから発見された物質です。
潰瘍に効果が認められることから、潰瘍を意味するulcusの頭文字をとり、ビタミンUと名付けられました。
胃潰瘍や胃炎などの病気にも予防・回復の効果が認められ、医薬品にも配合されています。
この物質は胃粘膜の新陳代謝を促し、ダメージを受けた粘膜の修復を助けるほか、胃酸の分泌を抑えて粘膜へのダメージを減らす働きがあります。
キャベツ以外でもブロッコリー・レタス・アスパラガス・パセリなどの食品に含まれています。
ただ、こちらも熱には弱いので生で食べたり、短時間の加熱で食べるのが効果的でしょう。
うなぎ
うなぎは粘膜を強化するのに必要なビタミンAを豊富に含んでいます。
ビタミンAは粘膜を作る材料の一つでこれが不足すると胃や腸の粘膜が弱まってしまいます。
また、抗酸化作用のあるビタミンEも含んでいて、粘膜に有害な活性酸素という物質から粘膜を守ることができます。
うなぎ以外にもレバー・かぼちゃ・にんじんなどにビタミンAは含まれています。
消化を助ける食べ物
山芋
山芋には消化を助けるジアスターゼという酵素が含まれています。
この酵素は炭水化物の消化を助け、胃もたれや消化不良に効果があります。
また、山芋はすでに説明したムチンという物質を含んでいるので、粘膜保護にも役立ちます。
山芋以外にもジアスターゼは大根に多く含まれています。
調理の際は、すりおろすなどして加熱せずに食べるのが良いです。
玉ねぎ
玉ねぎやニラなどには硫化アリルという成分が含まれています。
この成分は胃液分泌を促したり、がん予防に効果があると言われています。
食べ過ぎると良くないのですが、食欲がなかったり、疲れているときには効果があります。
白湯
白湯というのは少し冷ましたお湯のことですが、胃腸を温めるのには有効です。
体から毒素を排出するいわゆるデトックス効果があるとされることもありますが、その根拠はまだ薄い気がします。
しかし、胃腸を中心とした身体を温めることは、血行を良くしたり、消化酵素の働きやすい環境を作ったりする上では大切です。
胃腸を強くする習慣
ここまで食事の話をしてきましたが、日常の習慣に気をつけることでも、胃腸を強くすることはできます。
ストレスを減らす
ストレスは胃腸の働きに強く影響を与えます。
人の体には交感神経と副交感神経で構成される自律神経というものがあり、その自律神経が胃腸をはじめとする臓器の働きを制御しています。
過剰なストレスがかかるとこの自律神経のバランスが崩れて、上手く機能しなくなり、それが身体の不調となって現れます。
ストレスによる胃腸の不調は長期間続くことも多く、機能性胃腸障害という病気として診断されることもあります。
日頃から、前向きに考えたり、誰かに悩みを相談したりとストレスを和らげる工夫をしてみるのも良いかもしれません。
また、リラックスできる時間を作ったり、軽い運動をしてみたりとストレスを発散できる時間を作るのもいいです。
睡眠を十分に取る
睡眠のリズムは生活リズムの中でも大事なものです。
人は睡眠をしている間に副交感神経を活発にさせます。
この副交感神経というのはリラックスしているときに活発になる神経で、この神経が優勢なときに胃腸は消化をしたり、消化に備えて胃腸の中を整えたりします。
質の良い睡眠を一定のリズムでとれないと、副交感神経が優勢になれる機会が減り、胃腸が活発に動く時間が損なわれてしまいます。
なので、一日のサイクルの中に睡眠の時間をしっかりと確保してあげるだけでも胃腸を強くすることが出来るのです。
運動して筋肉をつける
年齢や運動不足などでお腹周りの筋力が弱まると胃下垂などの原因になったりします。
胃下垂というのは胃が正常な位置よりも下にいってしまう状態で、この状態になると食べ物を消化しにくくなります。
適度に運動をして、お腹まわりの筋力をつけると内臓の周りにある筋力をつけることができ、胃の位置をあげたり、消化に必要な蠕動運動を助けたりすることができます。
また、運動することによって、お腹を温めて冷えを避けることができたり、血行が良くなって必要な栄養分が身体にきちんと行き渡るようになると言うような効果も期待できます。
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/cabbage/
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=jiritsumidare
http://www.sciencecomlabo.jp/alternative_medicine/detox.html
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
http://toyooka1.co.jp/column/120910/