腸内環境を整える料理
腸内環境を整えることは、便秘の改善や、病気の予防など日々の健康維持に大切です。
腸内環境は、日頃の食生活や生活習慣に大きく影響を受けています。
つまり、日々の食事を工夫することによって腸内環境を整えることができるのです。
腸内環境を整えるためには、腸内細菌のバランスを善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7にすることが大切です。
バランスを整える方法には、善玉菌を育てたり、善玉菌そのものを摂取したりするものがあります。
そうした観点を踏まえて、今回は腸内環境を整えるのに有効な料理をご紹介しようと思います。
記事の目次
腸内環境を整える料理は3種類
腸内環境を整える料理として、考えられるものは主に3つあります。
腸内環境を整える3つの料理
- 食物繊維が豊富な料理
- オリゴ糖が豊富な料理
- 善玉菌が含まれている料理
食物繊維・オリゴ糖と善玉菌は、それぞれ違った形で腸内環境を整えるのに役立ちます。
食物繊維・オリゴ糖は、腸内細菌の餌になることで、善玉菌の活動を活性化します。
また、善玉菌そのものを摂取することで、腸のぜん動運動が促され、排便がスムーズになります。
結果的に、腸内は善玉菌優勢の状態になり、腸内環境が整うのです。
ここからは、この三種類が豊富に入った料理を種類ごとにご紹介します。
食物繊維が豊富な料理
食物繊維には、不溶性食物繊維と、水溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ腸内での役目が異なります。
・不溶性食物繊維:腸の掃除役、腸で水を吸うことにより便のかさを増やしてくれる。結果的に排便がスムーズになる。
・水溶性食物繊維:善玉菌のエサ役、善玉菌の餌になることで腸内の善玉菌量増加に役立っている。
食物繊維を使った料理は、だいたい不溶性、水溶性のどちらの食物繊維も含んでします。
しかし、どちらか一方の食物繊維が豊富な場合がほとんどですので、ここではそれぞれ分けてご紹介します。
ちなみに、不溶性食物繊維1:水溶性食物繊維2のバランスで摂取することが理想とされています。
<不溶性食物繊維が豊富な料理3品>
第一位:ライ麦を使った料理
ライ麦は穀物の中でも、不溶性食物繊維の量が豊富です。
ライ麦を使った料理といえば、代表的なものはライ麦パンでしょう。
その他では、シリアルの中にライ麦が含まれている場合もあります。
第二位:アーモンドを使った料理
ライ麦に次いで不溶性食物繊維の量が多いのがアーモンドです。
アーモンドは、工夫することによって様々な形で料理に使うことができます。
そのままのアーモンドをチョコレートと一緒に食べることもできますし、サラダに入れたりでもできます。
第三位:切り干し大根を使った料理
先に上げた2つには劣りますが、切り干し大
根にも不溶性食物繊維が含まれています。
また、切り干し大根は古くから日本で食べられてきた食材であり、ライ麦やアーモンドよりも日本人の体にあっているといえます。
<水溶性食物繊維が豊富な料理3品>
第一位:大麦を使った料理
大麦が含む水溶性食物繊維の量は、他を寄せ付けないほどです。
大麦には性質上、もち性、うるち性の二種類があり、食物繊維を多く含んでいるのは、もち性の大麦です。
オススメは、スープやサラダに具材としていれることや、主食として炊き上げて食べることです。
大麦には血糖値の上昇や脂肪の吸収を抑えます。
第二位:ニンニクを使った料理
ニンニクには、水溶性食物繊維であるイヌリンが豊富に含まれています。
ニンニクを大量に摂取することは難しいでしょうが、刻んだり、すりおろしたりして料理に使えます。
ニンニクをそのまま食べるのであればシンプルにホイル焼きがオススメです。
他には、パスタに味付けとして刻んだニンニクを使ってみるのもありでしょう。
第三位:海藻を使った料理
昆布やワカメなどの海藻類には、水溶性食物繊維であるアルギン酸が豊富に含まれています。
昆布やワカメを食べるときにネバネバを感じたことがあると思います。
実は、あのネバネバ成分が、水溶性食物繊維なのです。
昆布やワカメ料理は、海洋資源が豊富な日本では昔から食べられてきました。
昆布巻きやワカメの和物、味噌汁の具材としてなど料理の幅は非常に広いです。
昆布・ワカメ料理は日本人にはうってつけの料理と言えます。
オリゴ糖が豊富な料理
オリゴ糖は腸内にいいる善玉菌のエサになることで、善玉菌の活動を活発にします。
オリゴ糖の中にも様々な種類のものがあり、それぞれ異なった特徴を持っています。
1日の摂取量の目安は10グラムですので、大量摂取する必要はありません。
ここでは、腸内環境を整える効果がある3種類のオリゴ糖を使った料理をご紹介します。
名称 | 特徴 | 料理 |
ガラクトオリゴ糖 | ビフィズス菌を増殖させることによって腸の調子を整えます。 | クリームソース、牛乳プリン |
キシロオリゴ糖 | オリゴ糖の中でも特に整腸作用が優れており、カルシウムの消化吸収を高めるなどの作用もあります。 | タケノコの料理、トウモロコシ料理 |
イソマルトオリゴ糖 | 調理のしやすさが他のオリゴ糖よりも優れています。熱に強いので味噌汁や煮物といった料理で食べることができます。 | 味噌汁、醤油を使った料理 |
オリゴ糖の摂取方法については、以下の記事を参考にしてください。
善玉菌が含まれている料理
ここまでご紹介したのは、善玉菌のエサとなる成分が含まれる料理についてでした。
ここでは、善玉菌そのものが含まれているオススメの料理を3つご紹介します。
善玉菌は体の外から摂取しても、ほとんどは2,3日で排出されてしまいます。
しかし、摂取した善玉菌は発酵することで有機酸を作り出し、腸内を酸性の状態にしてくれます。
腸内が酸性の状態であれば、悪玉菌の増殖が抑えられ、結果的に腸内環境が良くなるのです。
1、ヨーグルトを使った料理
ヨーグルトは、乳酸菌やビフィズス菌と言った善玉菌を多く含んでいることで有名です。
ヨーグルトはソースや漬け置きの汁として利用したりと用途が豊富です。
また、凍らせてシャーベット状にして食べると非常に美味しいです。
ヨーグルト料理のレシピは、ヨーグルトを販売している会社がweb上で公開していることも多いので調べてみてください。
また、ヨーグルトの摂取方法について詳しく知りたい方は、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
2、漬物料理
漬物は、野菜などを発酵させて作る料理ですが、発酵は菌によって行われています。
そのため漬物には、腸内で働く有益な菌が多く含まれているのです。
以下のような漬物料理がオススメです。
オススメの漬物料理
- 水キムチ:韓国の伝統食、つけ汁もまるごと飲める
- ピクルス:旬の野菜を使う楽しさがある
- ぬか漬け:短期間で作ることができるのが特徴
- べったら漬け:麹を使って発酵させる和づくしの漬物
これらの料理は、いずれも発酵させて作るので、腸内で有益な菌が多く含まれているのです。
3、ザワークラウトを使った料理
ザワークラウトとは、ドイツ原産の料理で、キャベツの葉を発酵させたものです。
乳酸菌を使って発酵させるため、腸内環境に良い影響を与えます。
使い方としては、漬物として食べたり、スープに入れて食べるそうです。
こうした料理を食べることで腸内の環境を整え、便秘やその他の病気などを改善・予防ができます。
ちょい足し料理で腸内環境を整える
忙しい人にとって、腸内環境を整えるために料理を工夫することは、なかなか難しいと思います。
そこで、ここからは普段の食事に付け足すことで、腸内環境を整える方法をご紹介します。
1、オリゴ糖をちょい足し
オリゴ糖は、ビフィズス菌のエサになることでその活動を活発にします。
ヨーグルトなどビフィズス菌を含んだ料理に付け足すのが基本です。
付け足しの組み合わせとしては以下の様なものが考えられます。
オリゴ糖の付け足し組み合わせ
- ヨーグルト+オリゴ糖シロップ
- ヨーグルト+はちみつ
- ヨーグルト+バナナ
- ヨーグルト+てん菜糖
2、発酵食品が入った料理をちょい足し
発酵食品には、乳酸菌などの善玉菌が豊富に含まれています。
普段の食事に以下のような発酵食品を付け足してみてください。
善玉菌が含まれる発酵食品
- キムチ:発酵キムチと書かれているもののみ有効です。
- チーズ:免疫力を高めてくれる効果もあります。
- 納豆:納豆菌は腸内に滞在できる時間が長いです。
- メンマ:竹の一種を発酵させているので有効です。
- 漬物:日本人の腸にピッタリの食品です。
- 甘酒:そのまま飲んでも、料理に使っても良いです。
3、食物繊維が入った食品をちょい足し
食物繊維が入っている食品は手軽に取れるものが多いです。
毎日の料理に付け加えたり、材料にしてください。
以下のような食品の付け足しが考えられます。
食物繊維が豊富な付け足し料理
- ごぼうの煮物:ごぼうには水溶性食物繊維が豊富です。
- オクラの味噌汁:オクラのネバネバも食物繊維です。
- きな粉餅:きなこには食物繊維が多く入っています。
- アボガドサラダ:アボガドはカロリーが高めなので取りすぎないでください。
- わかめの和物:海藻類にも食物繊維は豊富です。
料理と一緒にサプリメントを摂る
どうしても普段の料理からでは十分な栄養素を取ることができない方には、サプリメントがおすすめです。
最近は、非常に多くのサプリメントが販売されており、腸内環境を整えることを目的としたものも多いです。
中には、料理に混ぜで服用できるタイプのものもあります。
これまでサプリメントを摂ったことのない方は、以下の記事を参考にしてみてください。
しかし、なるべくサプリメントを使用したくないという方もいらっしゃると思います。
サプリ以外の健康食品もおすすめ
サプリを使用したくない方は、サプリ以外の健康食品もあります。
以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
ただし、なるべく普段の料理で改善するのが理想ですので、さきほどご紹介した、ちょい足しの方法などを使ってみてください。
ヨーグルトとオリゴ糖の組み合わせを食べることは、すぐにでも始められると思いますので是非試してみてください。
オリジナル料理で腸内環境を整える
サプリメント摂る方法以外で、時間がない方にオススメしたいのは、手軽に作れる自分だけのオリジナル料理を一つ持つことです。
例えば、シェイカーで作るオリジナルジュースは短時間で作れますし、使う食材で味も変化するので飽きません。
腸内環境を整える、ヨーグルト、オリゴ糖、抹茶、きな粉などの材料をベースにして、様々な味を付け加える面白さがあります。
また、漬物は、自分の好きな野菜を使うことが出来ますし、種類によっては、一度に大量に漬けて長期間保存することも可能です。
このようなオリジナルメニューを一つ覚えておけば、何度も作ることで慣れて、作る時間を短縮することが出来るでしょう。
自分にあった菌を知ることが大事
オリジナルのメニューを決めるときに重要なことは、自分に最も適していると感じた腸内細菌が摂れるようなメニューにすることです。
いくら時間を短縮できて美味しいからと言って、効果を感じられないメニューを覚えても、腸内環境を整えるという観点では無意味です。
腸内細菌には様々な種類がありますが、自分の腸内に棲んでいる種類のものを摂取することが一番効果的です。
これまでに摂取してきた食材で、効果を感じることが出来ている食材を使ってオリジナルメニューを考えるようにすると良いでしょう。
ちなみに、漬物などの発酵食品を自宅で作る際に注意してほしいことは、雑菌対策と温度管理です。
発酵型料理を自作する際の注意点
オリジナルメニューとして作るのに最適なのは漬物などの発酵系料理です。
発酵型料理は、作るための手間がかあまりからない上、長期保存がしやすいからです。
ただし、発酵系食品を手作りする際に気をつけてほしいことが2つあります。
発酵系食品を作る際に気をつけること
- 温度管理
- 雑菌対策
一つ目は、発酵時の温度管理です。微生物の種類によって活発になる温度が異なる点に注意が必要です。
自分が作る発酵型料理にどのような微生物が関わっているのかを把握し最適な温度で発酵を促して下さい。
ちなみに比較的馴染みのある乳酸菌は35度前後、納豆菌は30~45度前後が適していると言われています。
もう一つは、雑菌が繁殖しないよう対策を施すことです。
料理をつくるときに、手や調理器具を消毒するのはもちろんのこと、保存容器もあらかじめ熱湯消毒などを施しておく必要があります。
また、発酵時の温度が適温より高いことも、雑菌繁殖の原因となるので注意が必要です。
これらのことに気をつけて発酵料理の手作りに挑戦してみて下さい。
Q&A
腸内環境を整える料理を意識的に普段の食事へ摂り入れることで便秘の解消が期待できます。
食物繊維やオリゴ糖は便のかさ増しが期待できますし、善玉菌そのものを摂取することは腸のぜん動運動を活発にします。
今現在、便秘に悩んでいる方は、ご紹介した腸内環境を整える料理を普段から摂るように意識して下さい。
お腹を冷やすと、胃や腸の活動が鈍くなると言われています。
世の中にある食材は、お腹を温めるもの、冷やすもの、どちらでもないもの、の三種類にわけられます。
お腹を冷やす食材として有名なのは柿、豚のラードです。
そうした体を冷やす食材を利用している料理はお腹を冷やすので注意が必要です。
まとめ
腸内環境を整える料理には、食物繊維、オリゴ糖、善玉菌が含まれています。
食物繊維とオリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサになり、善玉菌は、腸内を酸性にすることで腸内環境を整えています。
これら3つの成分が含まれた料理を食べることで腸内環境が整えましょう。
普段の食事に時間がかけられない方には、サプリメントの併用や、オリジナルメニューの作成などが時間短縮につながるのでオススメです。
また、発酵食品を自作する場合には、作る過程で温度調節や雑菌対策を徹底して下さい。
みなさんが腸内環境を整える料理を摂ることで、日々の健康が維持できるのを祈っています。