腸内環境を整える野菜【食物繊維の種類と色、温度】
みなさんは、野菜には水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の2種類あることを知っていますか?
この2つの違いを理解せずに食物繊維を摂取すると、逆に腸の状態を悪くしてしまい、便秘を悪化させてしまうことがあります。
今回は腸内環境を整える野菜について詳しく見ていきます。
記事の目次
大便の殻は食物繊維などの繊維質
食物繊維がなぜ腸にいいのか、理由は3つあります。
食物繊維が腸に良い理由
- 善玉菌を活性化させる
- 腸内の有害物質を体外に排出する
- 便をかさ増しする
小腸で消化・吸収されずに大腸に送り込まれる食べカスは、実は大半が繊維質(食物繊維などです)でできているそうです。
その食べかすが大便として排出され、うんちとして地上に出てくるのです。
したがって、大腸に送り込まれる食べカスに、食物繊維が不足していると、大便の殻が十分に生成されません。
大便の殻がないと、腸も必要以上に頑張る必要が出てきます。
腸の蠕動運動(腸が大便をだそうとする動きのことと考えてください)が強い人だと、殻が不十分な状態でも大便をだすことができるかもしれません。
しかし、大抵の人は大便を排出することができず、腸内に滞留させてしまいます。
また、腸を必要以上に頑張らせ続けると、腸の壁がどんどん厚く硬くなってしまい、蠕動運動が日常的に弱くなってしまいます。
そして、冒頭でも述べたように食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
不溶性食物繊維は便のかさを増やす
よく知られているのが、不溶性食物繊維のほうです。
「不溶」ですから、水に溶けません。
不溶性食物繊維は、水分を吸収し便のかさを増やすことで、便の排出を助けてくれます。
ただし、便秘で便が詰まっている際に不溶性食物線を摂取すると、便がさらに詰まり、便秘が悪化する可能性があるので注意が必要です。
以下は、不溶性食物繊維を多く含む食材の一覧です。
不溶性食物繊維を多く含む食材
食品名 | 食品繊維量 (g/100g) |
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | エネルギー (g/100g) |
---|---|---|---|---|
枝豆(ゆで) | 4.6g | 0.5g | 4.1g | 134 |
大豆(ゆで) | 7.0g | 0.9g | 6.1g | 180 |
いんげん豆(ゆで) | 13.3g | 1.5g | 11.8g | 143 |
モロヘイヤ(生) | 5.9g | 1.3g | 4.6g | 38 |
にら(ゆで) | 4.3g | 0.8g | 3.5g | 130 |
トウモロコシ | 3.1g | 0.3g | 2.8g | 99 |
さつまいも(焼き) | 3.5g | 1.1g | 2.4g | 163 |
きのこ類全般 | 不明 | 不明 | 不明 | – |
かぼちゃ(ゆで) | 3.6g | 0.8g | 2.8g | 80 |
※参考:五訂増補日本食品標準成分表
※参考:日本食品標準成分表2010(文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告)
水溶性食物繊維は便を柔らかくする
もうひとつは水溶性食物繊維です。
こちらの食物繊維は水に溶ける食物繊維です。
水溶性食物繊維は、腸内で水分を引き込んで、便を柔らかい状態にしてくれるんです。
ですので、便秘の際はこちらの食物繊維を摂るようにしてください。
また、下痢の時に水溶性食物繊維を摂取すると、症状が悪化する可能性があるので注意してください。
以下は、水溶性食物繊維を多く含む食材の一覧です。
水溶性食物繊維を多く含む食材
食品名 | 食品繊維量 (g/100g) |
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | エネルギー (g/100g) |
---|---|---|---|---|
きな粉 | 16.9g | 1.9g | 15g | – |
にんにく(皮むき生) | 2.5g | 2.3g | 3.4g | 65 |
アボガド | 5.3g | 1.7g | 3.6g | 187 |
切り干し大根 | 20.7g | 3.6g | 17.1g | 279 |
煮干しこんぶ | 34.2g | 不明 | 不明 | 142 |
わかめ(戻し) | 5.8g | 不明 | 不明 | 17 |
こんにゃく | 2.2g | 0.1g | 2.1g | 5 |
かんてん(戻し) | 1.5g | 不明 | 不明 | 3 |
イチゴ | 1.4g | 0.5g | 0.9g | 34 |
大便博士、辯野義巳さんのオススメ
40年間、世界中から集めて6000人分の大便と向き合ってきたといわれる、辯野義巳さんは『食物繊維が大便をちょうどいい硬さにする』とおっしゃっています。
大便は、腸内に長く滞留し過ぎると水分を失って硬くなり、滞留時間が短すぎると下痢になるそうです。
そこで食物繊維をたくさん食べると、大便の滞留時間がちょうどよくなり,いい具合の大便が誕生する、とのこと。
辯野義巳さんが快便のために1番オススメをしているのは『ヨーグルトをトッピングしたサツマイモ』だそうです。
ヨーグルトで乳酸菌を摂取しつつ、サツマイモでヨーグルトには欠けている、ビタミン類、食物繊維を補給することができます。
またサツマイモは、ナトリウムの抑制作用もあるみたいで、高血圧の予防にも役に立つみたいです。
辯野さんの本はためになるのはもちろんですが、読み物としてもかなり面白い(大便とのエピソードがいっぱいあります)のでぜひ一度読んでみてください。
※参考:『大便通(辯野義巳)』
食物繊維は2:1の割合で
この不溶性食物繊維と水溶性食物繊維ですが、2:1の割合で摂取するのが、1番便の排出によいといわれています。
不溶性物繊維分の不足 → 便のかさは増えず,大便が出にくい。
水溶性食物繊維の不足 → 便が硬いままで,便が出にくくなる。
この二つのバランスが快便・便秘解消には重要になってくるんです。
ただ,継続して食物繊維を摂取していくためにはおいしいというのも重要な要素ですよね。
以下の表と、前述の表を参考に,あなた好みのメニューを作ってみてください。
水溶性食物繊維、不溶性食物繊維をバランスよく含む食材
食品名 | 食品繊維量 (g/100g) |
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | エネルギー (g/100g) |
---|---|---|---|---|
納豆 | 5.9g | 2.0g | 3.9g | 194 |
ごぼう(生) | 5.7g | 2.3g | 3.4g | 65 |
ごぼう(ゆで) | 6.1g | 2.7g | 3.4g | 58 |
オクラ(生) | 5.0g | 1.4g | 3.6g | 30 |
ライ麦パン | 5.6g | 2.0g | 3.6g | 264 |
また、野菜の中でも抗酸化や腸の動きを活発化させるという意味において、腸内環境に良い野菜があります。
赤い野菜と緑色の野菜がいいといわれております。
野菜の色と効果について
みなさん野菜を食べる時には、どのような点に気をつけていますか?
スーパーで買い物をするときには、価格、鮮度などを気にされる方もいらっしゃるでしょう。
また、料理をする際には、野菜の色は料理の彩りを豊かにすることに役立ちます。
世の中には、様々な色の野菜がありますが、その色によって野菜のもつ特性が異なることをご存知ですか?
野菜の色は、おおまかに、赤、黄色、緑、紫の4色に分けられます。
これらの色ごとに、野菜は異なった特徴を持っているのです。
具体的には、以下の表を参考にしてください。
食べ物の色と効果について
色 | 成分 | 主な食べ物 | 効果 |
赤色 | リコピン | トマト、 | 抗酸化作用、美肌 |
黄色 | カロテン | パプリカ | 目の健康、美肌効果 |
緑色 | クロロフィル | キュウリ | 消臭・殺菌、デトックス効果 |
紫色 | アントシアニン | ブルーベリー | 視力改善、抗炎症作用 |
このうち、腸内環境を整えることに関わっているのは、ビタミンCが豊富な赤い野菜と、緑の野菜です。
赤い野菜は抗酸化。腸を活発にする
まずは赤い野菜から。
赤い野菜といったらトマトやにんじんを思い浮かべるかと思います。
これらはビタミンC、ビタミンE、カロテノイドなどの抗酸化成分が豊富です。
「抗酸化」って覚えていますか?以前以下の記事で紹介しました。
カラダの中にある悪者「活性酵素」が細胞を酸化させていく(破壊していく)のを防いでくれるものでしたよね。トマトなどの野菜に多く含まれます。
「抗酸化」成分を頻繁に取ることで腸が受けるダメージ、シミやたるみと、ガンなどの病気の予防にもなりました。
ビタミンCが腸を活発にする
さて話は戻ります。ビタミンCは抗酸化のほかにも、腸の動きを活発にしてくれる力があります。
ですので、ビタミンCは腸のために美容にためにも、補給が必要になってくるのです。
ちなみに、赤い野菜と書きましたが、赤い果物でもいいんです。(赤い色のもとであるリコピンに抗酸化作用があるため)
赤い野菜 | 赤い果物 |
みょうが、パプリカ、トマト 唐辛子、赤ピーマン、にんじん 赤キャベツ |
グレープフルーツ、りんご、もも さくらんぼ、いちご、すいか 柿、ラズベリー、アセロラ |
緑の野菜は血管を保護する
次は緑の野菜です。
緑の野菜も赤い野菜と同様に、ビタミンCで・ビタミンEなどのなどが多く入っています。
また緑の野菜には葉酸成分が含まれており、これは血管を保護する効果があります。
血管が丈夫であればなにがいいかというと、栄養や酸素の運搬、老廃物の排出もスムーズに行うことができるそうです。
詳しくはサントリーのこちらの記事をご確認ください。
「健康と若々しさを決めるのは、実年齢より、むしろ”血管年齢”」
緑の野菜 | 緑の果物 |
モロヘイヤ、ニラ、アロエ、アボカド ハーブ、カボス、すだち、さんしょう ちんげんさい、そら豆、枝豆、さやえんどう セロリ、おくら、レタス、きゅうり |
メロン、すいか、キウイ、ライム マスカット、洋なし、シークヮーサー グアバ、ゆず |
腸を冷やす野菜、腸を温める野菜
東洋医学の観点からすると、野菜でも体(腸)を冷やす野菜と温める野菜が存在します。
しかし、冷やすから食べてはいけない、というわけではありません。
冷やす食べ物を摂取する際は、温める食べ物を摂取するとバランスを整えることが大事だということです。
腸を冷やす野菜 | 腸を温める野菜 |
キュウリ、トマト、ナス ほうれん草、セロリ、ハクサイ ゴボウ、レンコン、サツマイモ |
玉ねぎ、ネギ、ニンニク ラッキョウ、キャベツ、ニラ ピーマン、かぼちゃ |
※「腸の大掃除で病気は勝手に治る」より引用
東洋医学からみた食事をより知りたい方は田中保郎先生の著書を読まれるといいです。
まとめ:食物繊維もバランスよく
腸内環境と野菜の関係性について長々と書きましたが、
腸内環境を整える、という観点だと水溶性食物繊維、不溶性食物繊維のバランスだけに気を付けていればいいと思います。
赤色、緑色の野菜、腸を冷やす、温める野菜を意識することも大事ですが、
全ての要件を満たす野菜は多くなく、それに縛られると食事をするのも億劫(おっくう)になってくるかと思います。
8割程度実行する、という割り切る気持ちで、ぜひ参考にしていただければと思います。
また、腸内環境を整える食事については、以下の記事で紹介していますので、参考にしてください。