腸をケアするマッサージ
腸をケアして腸内環境を整えることは、便秘の解消のほかに肌荒れの改善やダイエットの効率化など美容への効果も期待できます。
日頃から美容に気を使いたいという方におすすめなのは、毎日腸をケアするマッサージを行うことです。
しかし、マッサージにどのような効果があって、どのように行えばよいのかなど分からないことも多いと思います。
そこで今回は腸をケアするために行うマッサージについてご紹介します。
腸をケアする美容効果
腸をケアするマッサージをご紹介する前に、なぜ腸内環境を整えることが美容に良い影響を与えることにつながるのかについてご説明します。
腸内環境が乱れは便秘などの症状を引き起こして、腸内の悪玉菌が増殖します。
悪玉菌は様々な有害物質を生成し、それらは腸内から血液に溶け込んで全身を巡り、肌荒れを引き起こしたり体臭を悪化させたりします。
また、腸内環境が悪化していると腸内に棲む有用菌の働きが鈍くなってしまいます。
腸内細菌の中には、肌の状態を良くする「エクオール」や肥満の予防につながる「短鎖脂肪酸」といった成分を生成する菌もいますので、こうした菌の活性を高めておくことが大切です。
このように、日頃から腸をケアして腸内環境の乱れを防ぎ、便秘などを予防・改善することは美容に良い影響を与えるのです。
では、腸をケアするマッサージをすることは、どのように腸内環境の改善につながるのでしょうか?
腸をケアするマッサージとは
腸をケアするマッサージをすると、腸の働きが活性化されたり排便が促されたりして、便秘を防ぐことにつながります。
便秘を防ぐためのマッサージは、目的別に大きく分けると3種類あります。
腸をケアするマッサージの3つの目的
- 副交感神経を刺激する
- 腸のぜん動運動を促す
- ねじれ腸や落下腸を改善する
腸の働きは、副交感神経が優位の時に活発になるので、副交感神経を刺激するマッサージは有効です。
また便秘の原因として有名な腸のぜん動運動の不足を解消するマッサージは、排便を促すのに効果的です。
さらに、ねじれ腸や落下腸によって便が詰まっている場合には、それらの状態を解消するマッサージが有効です。
・ねじれ腸:横行結腸や下行結腸、S字結腸など腸の曲がり角などでねじれが発生すること。便が詰まりやすくなるので便秘の原因になる。
・落下腸:腸は通常左胸の下から体に左端に固定されているが、落下腸は大腸が骨盤の内側まで落ち込んでいる状態を指す。便の通りが悪くなり便秘の原因になる。
※『女はつまる男はくだる お腹の調子は3分でよくなる!』 水上健 あさ出版 参照
このように腸をケアするマッサージには大きく3つの目的があり、それぞれの目的を理解した上で行えると良いでしょう。
こうしたマッサージを行う場合には、専門知識を持ったスタッフがいる美容サロンや整骨院などを利用する方法と、自分でセルフマッサージをする方法があります。
腸セラピーを受ける
最近は腸をケアすることによる美容効果に注目が集まっていることもあり、腸マッサージや腸セラピーを実施する美容サロンや整骨院があります。
美容サロンや整骨院を利用するメリットは、専門知識を持ったスタッフから安心して施術が受けられることです。
腸マッサージは簡単なものであればセルフマッサージでも十分ですが、せっかくなら専門知識を持ったスタッフに施術してもらいたいという方もいらっしゃるでしょう。
ただし、注意してほしいのですが腸マッサージを行うために必要な資格はありません。そのため、ブームに便乗して腸に関する知識がないスタッフが施術している場合がゼロではありません。
その点をしっかり認識した上で、サロン紹介サイト等で「腸もみ」や「腸マッサージ」などをキワード検索して、お店の評価を把握しておくことをおすすめします。
このように美容サロンを利用する方法以外にも、簡単なものであれば自宅でセルフマッサージをすることもできます。
セルフマッサージ
ここでは、自宅で出来る腸をケアするマッサージの方法や実施する上での注意点などをご紹介します。
誰でも簡単に行うことができますので、注意点をしっかり確認した上で実施してみてください。
今回は、先程あげた腸をケアするマッサージの3つの目的に分けて具体的なマッサージ方法をご紹介します。
副交感神経を刺激する
副交感神経を刺激するマッサージは、頭と顔を指で軽く押します。
人差し指・中指・薬指の3本を使い、ほんのわずかな力で特定の箇所を刺激していきます。
最初に、頭の前方から後方を刺激し、次に頭の側面を上から下に刺激します。
それが終わったら今度は顔で、眉毛の間、眉毛、目の周り、鼻の下と降りてきて、最後にアゴの下を刺激します。
ほんのわずかな力しか加えなくてよいので、準備運動の感覚で実施してみてください。
この方法は「読む便秘外来 小林弘幸 集英社」で紹介されているので、詳しく知りたい方は購読してください。
腸のぜん動運動を促す
腸のぜん動運動を促すマッサージは、両手を重ねてへその左下に置きそこから「の」の字を描くように軽く刺激を与えていきます。
へその左下はS字結腸といって大腸の後半部分にあたり、便が詰まりやすい箇所です。
便が詰まりやすい箇所から「の」字を描くようにして少しずつ手を移動させ、一箇所につき数回軽い刺激を与えていきます。
出来るようでしたら、大腸の形を頭に思い浮かべながら、大腸に沿うように手を移動させていきます。
これを10回程度繰り返すことで腸を刺激し、ぜん動運動を促します。
この方法は「腸の不調便秘・下痢 山口トキコ 学研パブリッシング」で紹介されているので、詳しく知りたい方は購読してください。
ねじれ腸や落下腸を改善する
ねじれ腸や落下腸を改善するマッサージは、上体、左腹、下腹部、大腸全体と刺激箇所に合わせて4つのステップがあります。
それぞれのステップで刺激を与える箇所が異なるので、4ステップすべてを行ってください。
ステップ1 上体ひねり
まず直立した状態で肩幅より少し広く足を開き、両手を矢印の先っぽのように左右に広げます。
そして肩や腕の力を抜いて上体を左右90度に捻るという、マッサージというよりもストレッチに近い動作です。
横行結腸と下行結腸という肋骨に守られ手で刺激を与えられない箇所に、刺激を与えることができます。
ステップ2~4までの基本姿勢
ステップ2からステップ4までは以下の姿勢が基本姿勢です。
腰の下に5cmほどの高さのマットを引いた上体で仰向けになります。
この姿勢でマッサージを行ってください。
ステップ2 左腹トントン
両手の指をピンと伸ばして右手をへその左下に、左手を脇腹にあてます。
このとき両手が離れすぎないようにしてください。両手の指先の間隔は1~2cm程度です。
準備が整ったら、両手を下から上に移動させながら、片手ずつ交互にトントンと刺激していきます。
大腸の上の部分まで到達したと思ったら、今度は上から下に向かって同じように刺激を与えていきます。
このマッサージは下行結腸という部分に刺激を与えることができます。
ステップ3 下腹部トントン
まず、両ももの付け根に両手を添えます。
お腹がほんのわずかにへこむ程度の圧力をかけながら、腸を揺らすイメージで刺激を与えながらへその下まで手を移動します。
両ももの付け根の次は、左ももの付け根から、次は右ももの付け根からというように位置を変えながら1分間ほど繰り返します。
このマッサージはS字結腸に刺激を与え、腸のねじれの改善を目指します。
ここまで、ステップ1からステップ3は腸のねじれが起きやすい箇所に刺激を与えて、ねじれを改善させることが目的です。
ステップ4 腹押し上げ
最後のステップ4は、落下腸を正常な位置に持ち上げることが目的です。
まず、股の少し上、恥骨のあたりに両手を添えます。
お腹がほんのわずかにへこむ程度の圧力で、落ち込んだ腸を押し上げるのをイメージしながら、ゆっくりと揺らします。
この方法は「女はつまる男はくだる お腹の調子は3分でよくなる! 水上健 あさ出版」で紹介されているので、詳しく知りたい方は購読してください。
これらのセルフマッサージは簡単に行うことができますが、実施する上でいくつか注意していただきたい点があります。
実施する上での注意点
これらの腸をケアするマッサージを行う場合に注意していただきたいのは以下の点です。
実施上の注意点
- 必要以上に強い力で押さない
- 太い血管は避けて刺激する
- 妊娠中や持病がある場合はやらない
- 温かい手で行う
- 時間を決めて行う
手で圧力を加える場合には痛みを感じない程度にし、手にコリコリした太い血管の感触がある箇所は避けてください。
また、妊娠中であったり持病がある場合は、必ずかかりつけの医師に相談してから実施してください。
冷たい手で腹部を触ると腸の機能が低下する可能性があるほか、飲酒後や食後など内臓が活発に動いてる時は気分が悪くなるおそれがあるので避けてください。
行うタイミングは就寝後や起床時がおすすめで、なるべく毎日同じタイミングで行うと良いでしょう。
まとめ
今回は、腸をケアすることを目的に行うマッサージについてご紹介しました。
日頃からマッサージによって腸をケアすることは便秘の予防や解消につながり、美容にも良い影響を与えます。
腸マッサージは、美容サロンなどで施術を受けることができますが、簡単なものであれば自宅でセルフマッサージを行うこともできます。
自宅でセルフマッサージを行う場合には、今回紹介した実施上の注意事項をしっかり確認してください。
また、腸をケアするためには普段の食事や生活を工夫することも効果的です。
食事や生活の工夫によって腸をケアする方法については、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。