顔の吹き出物(ニキビ)は腸内環境が原因だった?

仕事が忙しくなったり、帰りが遅くなったり、生活が不規則になると出てきがちな大人のニキビ。しかも年齢を重ねるほどに顔にできたニキビの跡が消えにくくなる、そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

なぜ、生活が不規則になると顔の吹き出物ができるのでしょう。それには腸内環境が深く関係しているのです。

睡眠時間を多く取ったり、十分な休息をとってリラックスしたり、腸内環境を改善すれば、自然と吹き出物・ニキビも消えてなくなるのです。

たとえ忙しい毎日であっても、お肌の美容のために、少しでも腸に優しい生活を始めてみませんか。

ニキビができるのはなぜ?

(1)腸内で産生されるビタミンとニキビの関係

腸内環境が悪くなると肌荒れや顔への吹き出物、ニキビなどが起こりがち。顔への吹き出物やニキビは、皮脂が過剰に分泌されてしまい毛穴が詰まってしまうことで発生する炎症の一種です。

これらの炎症の原因の1つとして、腸内環境が悪化し、肌の調子を整えるためのビタミン群が産生されにくくなることが挙げられます。

肌の調子にも深く関連があるビタミンB群は、腸内で腸内細菌の作用により産生されるのですが、腸内環境が悪化するとビタミンの産生が滞ります。

ビタミンB群の主な役割には、皮脂の分泌を抑える働きがあり、ビタミンB群が減少すると、食事により摂取した糖質や脂質が皮脂として過剰に分泌されてしまい、結果として顔への吹き出物やニキビができてしまうのです。

また、ビタミンB群には便通を良くする作用があり、便秘を防止する役割があります。中でもビタミンB1には自律神経を整える効果があり、副交感神経を活性化して、腸のぜん動運動を促す働きがあります。

便秘になると腸内環境はさらに悪化することになるため、ニキビや吹き出物を減らすためには便秘にならないようにすることも重要です。

(2)免疫力の低下とニキビの関係

私たちの身体の免疫機能を担う免疫細胞は、その大部分が腸内で産生されています。腸内環境が悪化すると免疫細胞の産生が抑制され、結果的に免疫力が低下します。

腸内環境が悪いと風邪を引きやすくなったり体調不良を引き起こすのはこのためで、また吹き出物やニキビにもこの免疫力の低下が関与しています。

吹き出物やニキビは、皮脂の過剰分泌により発生する毛穴の炎症により引き起こされるのですが、この炎症にはアクネ菌という細菌が関与しています。

アクネ菌はもともと私たちの身体の体内に存在している常在菌と呼ばれる最近の一種で、健康な状態の時には特に身体に悪影響をもたらす菌ではありません。

ところが、アクネ菌は通気性が悪く、脂肪分が多い環境下で増殖するため、皮脂が過剰に分泌された毛穴はまさに格好の繁殖場所となるのです。

体内の免疫力が全般的に低下しているとアクネ菌の繁殖を防ぐことができず、増殖したアクネ菌は皮脂を分解して遊離脂肪酸と呼ばれる有害な物質を産生し、炎症を引き起こすのです。

顔への吹き出物やニキビのない美しい肌を保つには、免疫力を保ち、アクネ菌などの常在菌をコントロールすることが必要なのですが、これにも腸内環境の良し悪しが深く関連しているのです。

(3)腸内の活性酸素増加

吹き出物やニキビの原因としてもう一つ挙げられるのが活性酸素。

活性酸素とは私たちの身体の細胞を傷つけ、老化させてしまう恐ろしい物質で、皮膚の細胞に作用すると顔のニキビだけでなく、肌のしみや肌荒れなども引き起こすのです。

この活性酸素もまた腸内環境が悪化し、腸内細菌の1つである悪玉菌が増殖することで私たちの体内で大量に生産されてしまいます。

悪玉菌が増殖した腸内では有毒なガスや物質が生成され、これらの有害物質への防御反応として私たちの身体は活性酸素を産み出すのですが、この活性酸素が体内を循環すると防御だけでなく、健康な細胞までも傷つけてしまうのです。

活性酸素はニキビや吹き出物など肌のトラブルだけでなく、細胞のがん化にも関与するなど私たちの健康にとっては大敵。

活性酸素をできるだけ発生させないように腸内環境をバランスの良い状態に保つことは、健康的な身体を維持するためにとても重要なことなのです。

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腸内環境が悪いと、ニキビ跡まで消えづらくなる!

顔への吹き出物、ニキビはできれば避けたいですが、例え一度できてしまったとしても、早く治ったり跡が残らなければまだ良いほう。実際には、顔にできたニキビ跡がなかなか消えなくて困っている方も多いようです。

実はこのニキビ跡が消えるかどうかにも腸内環境の良し悪しが関係しているのです。と言うのも、吹き出物の跡やニキビ跡の解消には肌の新陳代謝が大きく関係しています。

前述の通り、腸内環境が悪化して活性酸素が多く存在すると肌の正常な新陳代謝が行われにくくなり、ニキビ跡がなかなか消えないことになります。

また、善玉菌よりも悪玉菌が優勢な状態の腸内ではさまざまな有害物質が産生されるのですが、これらの物質は腸壁から吸収され、血液に入ってしまいます。

腸で産生された有害物質が血流を通して全身へと運ばれることになり、肌の新陳代謝を阻害したり、肌荒れなどを引き起こします。

このような状態になってしまうとニキビ跡が消えづらいばかりか、そもそものニキビが悪化してしまったり、治りにくくなってしまうため、腸内環境には一層のケアが必要なのです。

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腸内環境を良い状態に保ち、顔への吹き出物やニキビを防ぐには?

吹き出物やニキビのない健康的な肌を維持するためには腸内環境を良い状態に保つことが必要です。

良い腸内環境には、腸内細菌である善玉菌、悪玉菌、日和見菌がそれぞれ20%:10%:70%という割合で存在する絶妙なバランスが必要なのですが、このバランスはちょっとした生活環境の変化でも崩れがちであることも事実。

このバランスを崩さないことも重要ですが、例え一度腸内環境が乱れてしまったとしても、それをすぐに元に戻せるように対策することも重要です。

ここでは吹き出物やニキビを増やさない、また例え一度できてしまったとしてもすぐに治すことができるような食生活のポイントをいくつかご提案します。

便秘になりにくい食事を!

腸内環境が悪化すると便秘になりがち。また便秘になって腸内に長く便がとどまる状態が続くとさらに腸内環境を悪化させてしまうことが知られています。

吹き出物やニキビを防ぐためにも、まずは便秘にならないように工夫することが大切。

まずは野菜や果物など胃や腸が消化・吸収しやすい食品を多く摂取することが大切で、肉類や揚げ物を中心とした動物性タンパク質や動物性脂質に偏った食事は便秘になりやすくなるため注意が必要です。

また排便を促し、便秘を防いでくれるのは何と言っても食物繊維。

ごぼうやサツマイモなどの根菜類、昆布やワカメなどの海藻類に多く含まれる食物繊維は、直接便の量を増やすことで排便を刺激し、便秘になりづらい腸を作り出してくれます。

一度崩れた腸内環境のバランスは「乳酸菌」で取り戻す!

腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優勢に、善玉菌が劣勢になったような腸内環境をもとに戻すためには、直接外部から摂取して善玉菌の量を増やすというのが手っ取り早い方法の1つ。

中でも、善玉菌の1種である「乳酸菌」は普段の食品から摂取しやすい善玉菌です。

乳酸菌と一口に言っても非常にさまざまな種類の菌が発見されており、乳酸菌飲料などに含まれる「乳酸菌シロタ株」やヨーグルトなどに含まれる「LG21乳酸菌」など、耳にしたことがある方も多いのではと思います。

一般に乳酸菌を多く含む食品としては、ヨーグルトをはじめとする乳製品や、漬物、味噌・醤油、納豆などの発酵食品が挙げられ、これらの食品を積極的に摂取することで一度崩れてしまった腸内環境のバランスを取り戻す効果を期待できます。

吹き出物・ニキビを防ぐには「ビタミン」摂取も欠かせない!

腸内環境の悪化によってビタミンB群の産生が抑制され、結果として皮脂の過剰分泌と吹き出物やニキビが発生します。

悪化した腸内細菌のバランスをもとに戻すことも重要ですが、吹き出物やニキビを早く治すためはビタミンB群を食事で補うことも効果的。

ビタミンB群が多く含まれる食品としては、胚芽米や玄米などの穀物、うなぎ、卵、納豆、マグロの刺身、バナナ、鳥レバー、牛乳などが挙げられます。

特にビタミンB1は、精白米が主食になるようになって以降、日本人にとって不足がち。普段の食事の中で、精白米と玄米とを半々にしてみるなど工夫することで、無理なくビタミンB群の摂取量を増やすことができそうです。

また、同じくビタミンAも肌の新陳代謝を促進するビタミンとして知られています。

シソ、人参、ほうれん草、春菊、かぼちゃなどに多く含まれるビタミンAを積極的に摂取することで、顔の吹き出物やニキビを改善したり、ニキビ跡が残りにくい状態にすることができそうです。

そもそも肌の老化を防ぐため「抗酸化作用」のある食品を!

活性酸素もまた吹き出物やニキビの原因となったり、肌荒れやしみを引き起こしますが、この活性酸素の働きを抑えるのが「抗酸化作用」のある食品。

例えば、リコピンが含まれるトマトやスイカ、さくらんぼ、ポリフェノールが含まれるカカオ、赤ワイン、ブルーベリー、イソフラボンが含まれる大豆、豆乳、豆腐などが挙げれられます。

これらの食品には活性酸素による肌や私たちへの身体への悪影響を抑える役割があり、健康的な生活に欠かせない食品として注目を集めています。

顔にできた吹き出物やニキビは、外出するのを憂鬱にさせたり、大袈裟に言えばせっかくの楽しい毎日を台無しにしてしまうもの。

これらの吹き出物やニキビを治したり、そもそもできるのを防ぐためには肌のケアだけでなく、私たちの体内、特に腸内のケアも重要であること、お分かりいただけたでしょうか?腸内環境は毎日少し意識するだけでも、改善されたり、良い状態に保てるもの。

腸内環境のバランスを保って、健康的な肌を維持できるようにしましょう。

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この記事の筆者

腸内細菌博士
1977年生まれ。京都大学・大学院にて分子細胞生物学を専攻。腸による脂質代謝や栄養吸収を細胞レベルで研究、また腸に関連する疾患の予防、治療方法の基礎研究に従事。

ほか、腸の働きと関連性のある自律神経系や免疫システムについては、現在も米国科学雑誌等で最新研究動向をウォッチ中。現在、米国にてMBA留学中。

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