腸内環境と漢方の関係についてまとめました【下痢・便秘】
漢方は科学的な根拠がない、おまじないレベルの薬だと思っている方も多いです。
しかし、漢方は「科学的な根拠がない」というよりは、「様々な要因が関係しているため作用の因果関係が完全には解明できていない」と言ったほうが正しいです。
近年では作用の研究も進み、医療現場で使われるケースなども出てきているそうですよ。
今回は、そんな漢方と腸内環境についての情報を紹介していこうと思います。
漢方薬の仕組みと腸内環境は相性が良い
一般に漢方に科学的な根拠がないと言われる理由は、薬が作用する因果関係が西洋医学的な観点から1対1で結びつけられていないためです。
例えば、西洋医学では下痢になったときは下痢止め、便秘になったときは便秘薬、お腹が痛いときは痛み止め、といった形で、因果関係がハッキリしている薬で個々の症状を抑えこんでいきます。
一方で、漢方のアプローチは体全体の調子を良くして症状を改善するというものです。
根本的な腸の調子を良くして症状を改善させるので、西洋医学的なアプローチとは異なり、個々の症状に一つの漢方で対応することができます。
これは漢方が複数の生薬を混ぜあわせて作られているためで、漢方の効き目の解明を複雑にしている要因でもあります。
腸内環境の不調は下痢や便秘など相反する働きから精神的な要素まで絡んでくるので、個々の薬を必要としない漢方薬と相性が良いのです。
漢方薬は不安定になっている腸の調子を元に戻し、便秘と下痢の両方に効かせることができます。
「体の調子を良くして症状を和らげる」という仕組みを持っているので、即効性というよりは、長期的な体質改善に適していますね。
漢方薬は症状の改善効果だけでなく、自然治癒力を高め、病気になりにくい身体をつくることができます。
腸内環境に効果のある漢方薬
腸の調子を整える働きのある主な漢方薬と、その作用を紹介していきます。
ただ、紹介こそするものの漢方は個人の症状によって相性が大きいので、薬局の方などにアドバイスをもらってから試すのが良いと思います。
漢方薬は漢字ばかりなので全然名前が覚えられないですしね笑
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
下剤の成分である「大黄」が含まれていて、腹痛を伴う下痢や便秘に有効です。
過敏性腸症候群に効果がある漢方薬では代表的なものです。
センナ茶
センナ茶に含まれている「センナ」も、下剤と同じ成分です。
含まれているセンナの量は便秘薬と比較するとわずかなので刺激を受けにくく、量を調節しやすいという特徴もあります。
一般的な便秘薬より、飲んで下痢になってしまうことが少ないです。
中健中湯(ちゅうけんちゅうとう)
下痢と便秘をくり返し、腹痛を感じる場合に効く薬です。
下痢、便秘、精神的な疲労などに効果のある小建中湯と、お腹の冷え、痛み、腸の動きの自覚を抑える大建中湯を合わせた薬です。
逍遥散(しょうようさん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)
イライラや不安など神経的なものから来る過敏性腸症候群に効き目があります。
腹痛を伴う下痢や便秘、便の形状が良くない場合に使います。
漢方薬を利用する場合の注意点
下痢に対して服用する場合は、あまり即効性は期待できないので、数週間程度の服用が必要です。
一方で、便秘薬の成分でもある「大黄」や「センナ」が含まれる漢方薬には即効性があります。
腸を刺激して無理に便を出すので、下痢や腹痛、吐き気などを催すことがあります。
また、漢方は基本的に長期的な改善を目指すものですが、便秘用の漢方は症状があるとき以外の日常的な服用を控えましょう。
日常的な摂取を続けていると有効成分に耐性を得てしまい、効き目が悪くなって薬を増やさないと便意を感じない体質になってしまいます。
便秘を予防するつもりでもこういった本末転倒な結果になりかねないので、用法用量は守って使用しましょう。
漢方便秘薬は妊婦さんは服用できない
また、大黄やセンナには子宮を収縮させる作用があり、妊婦の方が服用すると流産・早産の危険が高まります。
授乳中も漢方が母乳にまで届き、赤ちゃんが下痢を起こすことがあるので控えるのが良いです。
漢方薬と同様の効果を持つのは乳酸菌
漢方は身体に優しいものが多いですが、上記のように特定の成分が含まれる漢方薬は少し注意点が多いです。
一般的な漢方は長期的な視点で身体の調子を整えていくのですが、便秘用の漢方は即効性があるので、西洋的な薬に近い働きがあるのです。
短期的な摂取ならメリットも多いのですが、上にも書いたように長期的に多くの量を使用するのはあまり身体に優しくありません。
便秘の長期的な改善に関しては、乳酸菌の摂取がおすすめです。
即効性が必要な場合は漢方に頼り、長期的な腸内環境改善には乳酸菌を摂取するという形がとれれば一番ですね。
ゆくゆくは、薬に頼らずに快適な生活が送れるようになると思います。
乳酸菌の摂取に関して詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧下さい。