整腸作用がある食べ物で下痢・便秘を解消する方法
便秘や下痢に悩まされている方は、整腸剤やサプリメントを使って症状の改善を目指すこともあるでしょう。
しかし、整腸作用がある食べ物や飲み物を摂取することも、便秘や下痢の解消につながります。
腸内環境の悪化が原因となっているお腹の不調を根本的に解決するには、日頃の食生活の改善が必須なんです。
今回は、整腸作用のある食べ物や飲み物を紹介しながら、便秘や下痢を解消する方法についてお話します。
整腸とは
具体的な食べ物や飲み物の紹介に入る前に、整腸とは何を意味するのか確認しましょう。
整腸とはお腹の調子を整えることですが、何がお腹の調子の良し悪しに影響を与えているかご存知ですか?
それは、私達の腸内に棲みつく腸内細菌のバランスであり、そのバランスに影響を受ける腸内環境なんです。
腸内環境を整える
腸内細菌は、複数の菌が集まって腸内フローラという独自の生態系を形成しており、それらの菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3タイプに分けられます。
この3タイプの菌は常に勢力争いをしていて、その割合が善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7のとき最も理想的な腸の状態になるとされています。
このバランスが崩れて悪玉菌が増殖すると有害物質が多く生成されたり、腸のぜん動運動が鈍くなったりして、お腹の不快感や、便秘や下痢といった症状を引き起こします。
ですので、整腸作用がある食べ物や飲み物とは、腸内環境を整える成分が含まれているものを指すのです。
では、腸内環境を整えるには、どのような成分が役立つのでしょうか?
整腸作用がある成分
腸内環境を整える、つまり整腸作用のある成分は、大きく分けると以下の3つです。
整腸作用がある成分
- 乳酸菌(善玉菌)
- 食物繊維
- オリゴ糖
乳酸菌は腸内の糖を分解して乳酸を生成し、腸内を酸性の状態にします。
腸内が酸性の状態だと悪玉菌の増殖が抑えられ、腸内環境を良い状態に保つことができます。
食物繊維は乳酸菌のエサになるほか、排便に必要な腸のぜん動運動を促したり、便のかさ増しをしたりして便通を改善します。
また、オリゴ糖には、乳酸菌のエサとなって増殖や活性化を促すという作用があります。
このような整腸作用がある成分を摂取して腸内環境を整えると、どのような効果があるのでしょうか?
得られる効果
整腸作用がある成分を食べ物や飲み物から摂取して、腸内環境が整うと以下のような効果が期待できます。
- お腹の不快感や便通・下痢の改善
- 免疫力の向上
- 肌トラブルの改善
- 口臭・体臭の改善
- アレルギー症状の緩和
- ガンなど重大疾病の予防
腸内環境の良し悪しは腸の活動に影響を与えるほか、免疫力などにも影響を与えています。
また、悪玉菌が腸内で生成した有害物質は、血液に溶け込んで全身を巡ります。
そのため、腸内環境を整えて悪玉菌の増殖を抑えることで健康に様々な良い影響を与えることが出来るのです。
便秘・下痢を改善する方法
先述したように、腸内環境を整えることによって得られる効果に、便秘や下痢の改善が挙げられます。
しかし、全ての便秘や下痢が、整腸作用がある食べ物や飲み物で改善できるわけではないので注意してください。
腸閉塞や細菌感染による便秘や下痢、腸内に便がつまりきっている重度の便秘などは、医療機関で治療を受ける必要があります。
食べ物や飲み物で改善できる便秘や下痢は、腸のぜん動運動に問題があるタイプです。
このタイプの便秘や下痢は、先ほど紹介した3つの成分を食事で意識的に摂取することで、症状を解消できる可能性があります。
もちろん普段の生活習慣などにも気を配る必要がありますが、食事でどのような食べ物を摂取するかが大きなカギを握っています。
それでは、具体的にどのような食べ物を摂取すればよいかご紹介します。
おすすめの食べ物
整腸作用がある食べ物とは、さきほどご紹介した3つの整腸成分を含んだ食べ物です。
ここでは、具体的にどのような食材を使用すればよいかについて、ご紹介します。
乳酸菌は発酵食品で摂取
乳酸菌などの善玉菌を多く含む食べ物に発酵食品があります。
発酵食品は製造の過程で、菌による発酵が行われるので、有用な菌が含まれているのです。
具体的に以下のような発酵食品に乳酸菌などの善玉菌が含まれています。
- 発酵型乳製品:ヨーグルト,チーズ,発酵バターなど
- 発酵型調味料:醤油,味噌,酢など
- 発酵食:漬物,キムチ,納豆など
こうした発酵食品を摂取することによって、乳酸菌をはじめとする善玉菌を摂取できます。
続いてご紹介する食物繊維は、野菜に多く含まれる成分です。
食物繊維が含まれる野菜
食物繊維は野菜に多く含まれており、普段の食事でそうした野菜を摂取することが大切です。
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。
水溶性食物繊維は水に溶けやすく、水を含むことで便を柔らかくする(下痢には逆効果)作用があります。
不溶性食物繊維は、便のかさ増し(重度の便秘には逆効果)をしたり、腸のぜん動運動を促したりします。
食物繊維は次のような野菜に含まれています。
野菜 | 水溶性食物繊維量 | 不溶性食物繊維量 |
枝豆(ゆで) | 0.5g | 4.1g |
大豆(ゆで) | 0.9g | 6.1g |
ごぼう(生) | 2.3g | 3.4g |
オクラ(生) | 1.4g | 3.6g |
とうもろこし | 0.3g | 2.8g |
にんにく | 2.3g | 3.4g |
アボガド | 1.7g | 3.6g |
※食物繊維量は100gあたりの量
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は2:1の割合で摂取すると良いです。
詳しいことは以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
続いてご紹介するオリゴ糖にはいくつかの種類があります。
オリゴ糖はシロップなどで摂取
オリゴ糖は原料によって様々な種類に分けられますが、基本的にどのオリゴ糖にも整腸作用があると考えて良いです。
野菜の中にはオリゴ糖を含んでいるものもありますが、量が少ないので粒状やシロップの状態で売られているものを食べると良いでしょう。
種類 | 原料 |
ガラクトオリゴ糖 | 乳糖 |
フラクトオリゴ糖 | 砂糖 |
パラチノース | |
乳果オリゴ糖 | 乳糖+砂糖 |
グリコシルスクロース | 砂糖+デンプン |
イソマルトオリゴ糖 | デンプン+酵素 |
大豆オリゴ糖 | 大豆 |
キシロオリゴ糖 | 綿実殻+食物繊維 |
てんさいオリゴ糖 | 砂糖大根 |
オリゴ糖の摂取量は1日10gが目安ですが、野菜などの食材に含まるオリゴ糖は多くないため、オリゴ糖シロップなども併用することをおすすめします。
オリゴ糖シロップは、スーパーのヨーグルト売り場の近くに置かれていることが多いので、買い物の際に探してみてください。
続いては整腸作用のある飲み物についてご紹介します。
おすすめの飲み物
飲み物についても、さきほどご紹介した3種類の整腸成分が含まれた物が良いです。
また、普段の飲んでいる水については、水道水よりも整腸作用が期待できる水があります。
整腸成分を含んだ飲み物
- 甘酒:甘酒には食物繊維とオリゴ糖が含まれています。
- 牛乳:牛乳には乳酸菌のエサになる乳糖が含まれています。
- 野菜ジュース:野菜を原料にして作るので主に水溶性食物繊維が含まれています。
- 飲むヨーグルト:飲むヨーグルトには、乳酸菌が含まれている場合があります。
これらの飲み物を食事に取り入れることは、腸内環境を整えることにつながり整腸効果が期待できます。
ところで、みなさんが普段飲んだり料理に使ったりしている水は、水道水でしょうか?
水にもこだわると良い
実は、整腸効果を求めるのであれば水道水よりも、優れた水があります。
それは、「ナチュラルミネラルウォーター」と呼ばれる水です。
ナチュラルミネラルウォーターとは以下の3つの条件に当てはまる水のことです。
3つの条件
- 天然の生水
- 鉱泉水,鉱水,温泉水のいずれか
- アルカリ性
こうした水にはミネラル分が多く含まれており、これが腸内環境に良い影響を与えます。
例えばマグネシウムは便を柔らかくする作用がありますし、カリウムは排便を促す筋肉や腹圧を維持するのに役立つ成分です。
腸内環境に良い水や摂取方法については、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
ここまで整腸効果が期待できる食べ物や飲み物について紹介してきましたが、腸内環境を整えるには普段の生活も見直す必要があります。
整腸につながる生活
食事を改善できたら、ぜひ生活習慣にも目を向けてほしいです。
せっかく食生活を工夫しても、不規則な生活を送っていては、食事による整腸効果を弱めてしまいます。
腸の働きは、食事以外に普段の生活に大きく影響を受けます。
具体的には、睡眠や運動とともにストレスなどから影響を受けることがあり、これらの点に気を配ると良いです。
なぜなら、腸の働きは自律神経によって制御されているのですが、自律神経は生活リズムやストレスに影響を受けるのです。
どのような工夫をすれば良いのかについては、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
また、根本的な改善にはつながりませんが日々の健康増進やすぐに症状を和らげたいと言った場合にはサプリや整腸剤を利用しても良いでしょう。
サプリメント・整腸剤
サプリや整腸剤には先ほど紹介した成分が含まれている製品が多く整腸効果が期待できます。
お腹の不調を根本的に解決するには、食生活や生活習慣を改善する必要であることを踏まえた上で利用するとよいでしょう。
医薬品に分類される市販の整腸剤は、軽い便秘や下痢の症状を改善するのに効果的です。
サプリには整腸効果が期待できる成分が意図的に含まれていますので、日々の食事の補助として役立ちます。
以下の記事でサプリと整腸剤の違いや、使用上の注意点、おすすめの商品を紹介していますので参考にしてください。
まとめ
整腸作用が期待できる食べ物や飲み物には、乳酸菌(善玉菌)、食物繊維、オリゴ糖などの成分が含まれています。
毎日の食事でこのような食べ物を摂取することは、便秘や下痢の症状を解消することにつながります。
発酵食品や野菜、オリゴ糖製品を摂取して、腸内環境を整えられるようにしましょう。
サプリメントは、こうした成分を効率的に摂取するのに役立ちますので、補助的に使ってみてください。
なかなか症状が解消しない場合は、食べ物での改善が難しいタイプの便秘や下痢である可能性があります。
その場合には、医療機関を受診して治療を受けるようにしましょう。