おなかのはり・腹部膨満感は病気?原因は便秘だけじゃない
腹部膨満感(おなかがはって辛い)の時、2~3日なら「食べたものや便秘が原因かな?」と考えて、様子を見ますよね。
長引くようなら病気の可能性もありますので、病院で見てもらうという判断が必要になります。
原因も多様ですが、主に以下の3つに大別されます。
- ガス(おならやゲップのもと)
- 腹水(お腹がちゃぽちゃぽいう感じがする)
- しこり(腫瘍)
腹水やしこりは、病気の影響と考えられますが、ガスが原因の場合は食事や生活スタイルの工夫で改善可能なケースもあります。
腹部膨満感の症状とはどんな感じ?
まず腹部膨満感とは、病気の名前ではありません。「吐き気」や「めまい」と同じく症状の名前です。書いて字のごとく「おなかがはった感じ」のことをいいます。
自覚症状にはこんなものが
腹部膨満感に伴ってよく出る症状としては以下のようなものが挙げられます。
- たいして食べていないのに、すぐお腹がいっぱいになる
- げっぷをすると少し楽になるが、繰り返すことになる
- お腹がゴロゴロと鳴る(消化の際に発生する音が増える)
腹部膨満感の原因
人間の体内のガスは、90%が口から取り入れる空気で、残りの10%が腸内細菌の活動に伴い発生するものです。
ガスの量ですが、成人なら1日に1.5Lも体内で作られ、通常はおならやゲップ、あるいは呼気として体外に出ていきます。
10%の腸内細菌由来のガスについては、食物繊維を多く摂った際にさかんに産出され、おなかのはりにつながりますが、通常は一過性のものです。
関連記事では、ガスが出やすい食品について紹介していますので、食から見直しをする場合は、参考にしてください。
では一過性ではなく、慢性的にお腹にガスがたまってしまう時とはどんなケースでしょうか?
ガスを排出できない時
人間の体内のガスは、10%が腸内細菌の活動に伴い発生するものと上述しましたが、この腸内環境も大きなカギとなってきます。
腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌による独自の菌のバランスがあり、7:2:1の割合がベストとされています。
ところが何らかの原因でこのバランスが崩れると、悪玉菌が増殖して腸内環境が悪化します。腸内環境の悪化で便通が悪くなると、ガスも排出されにくくなります。
更に長期間、便が腸内にあることで便が発酵し、ガスがおならとなって外界へ出てきた際の臭い自体も、キツくなります。
原因としては、食生活の乱れ(食物繊維の不足・あるいは過剰摂取、肉などの動物性タンパク質に偏った食事)や、慢性便秘による悪循環などが挙げられます。
腸内環境によいとされる善玉菌(ヨーグルトなどの発酵食品等)を摂ることで、腸内環境の正常化を図ることが重要です。
関連記事では、発酵食品の例や、また、合わせて摂ると良い食材も紹介しています。(他の病気の影響がある時の対策は、この限りではありません。)
ガスが過剰に発生している時
上述の90%を占める空気由来のガスは、食事やおしゃべりの最中に吸い込んでしまうものです。早食いや、すすり込むような食べ方が原因の一つと言われています。
「呑気症」「空気嚥下症」とも呼ばれ、無意識のうちにガスのもとをとりこんでしまっています。
また、ストレスとも無縁ではありません。人は緊張したりすると、奥歯を噛み締めたり、ゴクッとだ液を飲み込んだりします。同時に空気を飲む回数が増えてしまうのです。
これらは長年の癖になっているものですので、一朝一夕には改善が難しいのですが、心当たりがあるなら「口呼吸を改める」という意識を持っておくことが必要です。
過敏性腸症候群(ガスに下痢・便秘を伴う場合)
過敏性腸症候群はストレスによって下痢を起こすものとして知られていますが、便秘型、混合型、ガス型も存在します。ガス型では、おなかのはりや、おならが出やすいと言った悩みを伴います。
ストレスを除くことができれば一番良いのですが、ガスを少しでも抑えるため腸内環境を整えることにも着目しましょう。
運動や食事(サプリメント含む)、整腸剤などから改善を試みることになります。また、病院では食事・運動・薬物療法が主ですが、心理療法が用いられることもあります。
胃腸の病気が原因になることも
心身に強いストレスがかかると胃腸の機能が低下し、消化液の分泌が少なくなります。本来の消化活動ができないため、腸内の内容物が長くとどまり、悪玉菌が繁殖し、ガスが発生しやすい環境となります。
つまりは胃腸の働きが滞ることが原因で、ガスが滞留してしまうのです。
一方で、病気が原因で腹部膨満感の症状が現れることがあります。腹部膨満感と合わせて以下のような症状を自覚している場合は、早期に受診しましょう。
腸閉塞(嘔吐を伴う場合)
腸のねじれや腫瘍で塞がれるなど、何らかの原因で腸の一部が極端に狭くなることで、突然胃から腹部にかけて膨らみます。
次に強い痛み、吐き気と嘔吐が起こります。激痛が続く、あるいは弱まったり強まったりを繰り返します。
腹部膨満感も顕著で、痛みも強いことから、様子を見ているような余裕はありません。直ちに受診することになります。
大腸がん(血便を伴う場合)
ポリープ(良性の腫瘍)ががん化するケースと、大腸の粘膜から直接ガンが発生するケースがあります。腸内環境が悪化し、腹部膨満感を伴います。
大腸がんは、早期には自覚症状がないこと多いですが、肛門に近い場所にガンが発生していると、血便などで気づくことがあります。
血便の他にも、肛門からの出血・便が細くなる・おなかのはり(腹部膨満感)・体重の減少などが自覚症状として現れます。
最後に
腹部膨満感には、ガス・腹水・しこりが原因になっているケースがあり、主にガスが原因のケースについてみてきました。
ガスが過剰に発生する・あるいは出ていかないのには腸内環境の悪化が影響していることが考えられますので、まずは食生活や生活スタイルの見直しを行いましょう。
その上で、腹部膨満感でも、吐き気や嘔吐・血便を伴うケースには上述のように大きな病気が隠れていることがあります。
腹部膨満感が長引くようであれば、自己判断に頼り切らず、速やかに受診するようにしましょう。
参考:ガス・おなら恐怖症からの脱出 日本自然療法研究会編/日正出版