【老け腸かも?】腸内フローラは年齢で変化する
私たちの腸内には、約100兆個もの腸内細菌が棲みついています。
腸内細菌は、小腸や大腸の腸壁に集まり「腸内フローラ」とよばれる生態系を形成しています。
近年の研究で、腸内フローラが年齢とともに変化することが明らかになってきました。
変化するとは具体的言うと、腸内フローラを形成する菌の種類や量が変化するということです。
そこで今回は、腸内フローラについて、年齢との関係性に触れながらご紹介します。
腸内フローラの成り立ち
まず、腸内フローラがどのように形成されていくかについてご紹介します。
母親の胎内にいる、赤ちゃんの腸内は無菌状態で、この時はまだ腸内フローラが形成されていません。
腸内フローラを形成する腸内細菌と、はじめて接触するのは母親の産道です。
赤ちゃんは、出産時に母親の産道にいる腸内細菌とはじめて接触し、この菌が初期の腸内フローラを形成します。
その後、様々な菌との接触を経て、だいたい5歳までに腸内フローラを構成する菌の種類が決まります。
腸内フローラを構成する菌の種類は基本的に5歳までには決まりますが、年齢の変化の応じて、菌の量や勢力関係は変わり続けます。
年齢によって変化する
腸内フローラは、年齢に応じて菌の量や勢力関係が変化していきます。
腸内フローラの状態は、年齢の変化によって乳幼児期、成人期、高齢期の3つに分けられます。
それぞれの時期の腸内フローラの特徴についてご紹介します。
乳幼児期の腸内フローラ
出産時に接触した腸内細菌で形成された腸内フローラは、そのまま安定することなく変化します。
生後6ヶ月くらいの乳幼児の腸内細菌は90%がビフィズス菌です。
この時期に注意したいことは、なるべく母乳によって育てることです。
母乳によって育てられた乳幼児と、そうでない乳幼児の腸内フローラは異なっており、前者の場合には、腸の病気などを発症する確率が低くなります。
その後は、ビフィズス菌量が段々と減少し、様々な菌と接触して、腸内フローラに多様性が生まれ、成人期に移行します。
成人期の腸内フローラ
成人期の腸内フローラは、5歳ころに形成された腸内フローラとほぼ変わりません。
この頃になると、新たな菌種の腸内細菌が腸内に定着することもなくなり、菌量と菌の勢力が様々な要因で変化する状態になります。
菌量と菌の勢力は、加齢とともに変化しますが、その大きな要因の1つは食事です。
食事で摂取する栄養分は、腸内細菌の栄養分にもなります。
加齢に伴い、吸収する栄養素が変化していき、それに伴い腸内細菌の勢力や菌量が変化しているようです。
高齢期の腸内フローラ
高齢期の腸内フローラでは、ウェルシュ菌などの健康に害を及ぼす悪玉菌が増加していきます。
また、この頃になると善玉菌の1種であるビフィズス菌が便から検出されなくなってしまう人も出てきます。
腸内フローラを悪化させる悪玉菌が増加し、良好にする善玉菌が減少するため、健康への悪影響が出るリスクが高まります。
ウェルシュ菌に関しては、大腸がんの要因の1つとも言われているので、注意が必要です。
腸内フローラをチェックする方法
腸内フローラの状態をチェックすることで、自分の腸が良好な状態であるか確認することは重要です。
特に、成人期から高齢期にかけては、様々な要因で腸内フローラの菌量や菌の勢力関係が変化します。
この菌の量や、菌の勢力関係のことを腸内環境と言ったりしますが、腸内環境が悪化すると、健康に様々な悪影響が出ます。
腸内環境が良好であるとは、腸内フローラを構成する菌が善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7のバランスになっている状態のことです。
自分の腸内環境をチェックする方法は、主に3つあります。
腸内環境をチェックする方法
- 病院で検査
- 検査キットの使用
- セルフチェック
これらの方法については以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
実年齢より老けているかも
腸内環境を調べることによって、自分の腸内フローラの状態が把握できます。
また、近年の研究では、年齢ごとに標準的な腸内フローラのモデルが示されつつあります。
ですので、将来的には、自分の腸内フローラが実年齢に比べて老けているか否かが、分かるようになるでしょう。
腸内細菌のバランスが崩れ、腸内フローラが実年齢のモデルと離れていると、同年齢の周りの人に比べて、健康に悪影響が出やすくなります。
腸内フローラの老化を防ぐためにも、腸内細菌のバランスが崩れる原因を知っておいた方が良いでしょう。
ここからは、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内フローラが老化する原因についてご紹介します。
実年齢よりも老ける原因
腸内フローラが実年齢より老ける原因は、食生活や、生活習慣にあります。
腸内細菌のバランスは、主に食習慣によって変化します。
これは腸内細菌が、私たちが食事で取った成分を栄養源としているからです。
食習慣で老ける場合
腸内細菌のバランスを崩す最も大きな原因は、タンパク質の過剰摂取です。
タンパク質を過剰に摂取すると、腸内の悪玉菌が増殖します。
悪玉菌は、タンパク質から有害物質を生成し、さらに腸内をアルカリ性の状態にします。
アルカリ性の状態では、悪玉菌が増殖しやすく、これが負の連鎖となって腸内細菌のバランスが崩れるのです。
その他の習慣で老ける場合
食習慣以外では、運動不足、睡眠不足、ストレスなどが、腸内細菌のバランスを崩す原因となります。
これは、これらの原因によって便秘の症状が悪化するからです。
便秘の症状が悪化し、腸に便がたまると、腸内が腐敗します。
すると、悪玉菌の増殖しやすい環境ができあがり、さきほどご紹介した負の連鎖ができあがるのです。
腸内フローラの老化を防ぐ方法
腸内フローラを年齢相応の状態にしておくためには、食生活や普段の生活習慣を見直すことが必要です。
食生活では、タンパク質の過剰摂取を避けて、善玉菌を活性化させる成分を積極的に取りましょう。
生活習慣では、便秘の原因をできるだけ排除するように心がけてください。
ここからは、具体的な方法について簡単に紹介します。
善玉菌を活性化する食事
善玉菌を活性化する成分は、オリゴ糖と食物繊維です。
食事では、この2つの成分を積極的に摂取すると良いでしょう。
発酵食品には、この2つの成分が含まれていることが多いです。
また、食事を工夫する余裕が無い方は、サプリメントをりようするのも良いです。
食事を工夫するほど難しくなく、手軽に摂取できる点がメリットです。
善玉菌を活性化する食事については、以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
便秘を防ぐ生活習慣
普段の生活で、便秘を防ぐために工夫できる主なことは、食事、睡眠、運動、ストレス発散などです。
腸のぜん動運動が弱まることが原因である便秘には、普段の生活でこれらを工夫することが効果的です。
食事については、先程紹介したオリゴ糖と食物繊維の2つの成分が効果的です。
また、規則正しい睡眠や適度な運動、ストレスの発散をすることは、腸のぜん動運動を活性化することに繋がります。
詳しくは以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
まとめ
今回は、腸内フローラについて、年齢との関係性に触れながらご紹介しました。
腸内フローラの状態は、年齢に応じて乳児期、成人期、高齢期で異なっています。
腸内フローラの基礎的な構成は、5歳位で決まってしまいますが、菌量や菌の勢力関係はその後も変化します。
ビフィズス菌などの善玉菌は加齢によって減り、悪玉菌は増える傾向があります。
それぞれの時期で、適切なケアをしていないと、腸内フローラが実年齢に比べて老化します。
腸内フローラの老化は、健康に様々な悪影響を引き起こします。
特に成人期には、食習慣や、生活習慣を見直して腸内フローラを年齢相応の状態に維持してください。