腸内フローラを調査する方法は3つ
私たちの腸内には、約100兆個もの腸内細菌が棲みついています。
これらの菌は腸の壁に集まり、独自の生態系を形成しており、それを「腸内フローラ(腸内細菌叢)」といいます。
腸内フローラは、私たちの健康に大きな影響を与えています。
ですから、腸内フローラの状態を知ることはとても大切です。
そこで今回は、腸内フローラの状態を調査する方法についてご紹介します。
腸内フローラ調査の意義
具体的な調査方法をご説明する前に、腸内フローラを調査する意義についてご説明します。
冒頭でも述べた通り、腸内フローラは私たちの健康に大きな影響を与えています。
例えば、腸内細菌には、有益性を持つ善玉菌と、有害性を持つ悪玉菌がいますが、腸内の悪玉菌が増殖すると健康に様々な悪影響が出ます。
また、腸内フローラには個人差があり、菌種の多様性や菌量、菌の勢力関係は、人によって異なります。
自分の腸内フローラの状態や特徴を理解しておけば、効率的に腸内フローラを良い状態に保ち、健康に良い影響を与えることができるのです。
調査する方法は3つある
腸内フローラの状態を調査する方法は、主に3つあります。
3つの調査方法
- 医療機関で調査する
- 検査キットで調査する
- セルフチェック
3の方法を比較できるように、それぞれの特徴を簡単にまとめたので、以下の表を参考にしてください。
比較項目としては、費用、結果が分かるまでの所要時間、結果の信頼性、分析できる情報量としました。
医療機関の利用 | 検査キットの利用 | セルフチェック | |
費用 | 40,000円程度 | 1~20,000円程度 | 無料 |
所要時間 | 通院複数回 (結果が出るまで約4週間) |
自宅で調査可能 4~6週間 |
自宅で調査可能 3分程度 |
信頼性 | 専門の調査機関に委託するので信頼性は高い。 | 専門の調査機関に委託するので信頼性は高い。 | セルフチェックのため信頼性は低い。 |
分析できる情報量 | ・腸内細菌のバランス ・特定菌種の有無 ・便のph ・悪玉・善玉物質 |
・腸内細菌のバランス ・特定菌種の有無 ・腸のタイプ等 |
・腸内細菌のバランス (推測できる情報) |
ここからは、各方法ごとに詳しくご紹介します。
医療機関を調査する場合
医療機関で腸内フローラ調査を行う場合には、まず腸内フローラ調査を行っている病院を探す必要があります。
webで「腸内フローラ 調査」と検索していただくと、該当する病院やクリニックの情報が手に入ります。
つづいて、特徴についてご紹介します。
特徴
医療機関で腸内フローラ調査を行う最大のメリットは、分析できる情報量と、調査結果の信頼性です。
調査では便を採取して、その便を専門の調査機関に送ります。
後日、調査結果をもとに、専門医からのアドバイスが受けられます。
(※各病院、クリニックで、専門医からのアドバイスの有無や分析の内容など、調査内容の違いがありますので、詳細については各病院、クリニック等に直接お問い合わせください。)
費用は、他の2つの調査方法と比べると高額で、所要期間は、専門の調査機関からの結果を待つので長めです。
しかし、調査項目が充実しており、結果の信頼性も高いです。
こんな方にオススメ
医療機関での腸内フローラ調査がオススメなのは、腸内フローラにかなりの不安を抱えている方です。
結果の信頼性が高く、専門医からのアドバイスが受けれられるという環境は、そうした方にぴったりです。
ですので、重度の便秘など腸内環境に、不安を抱えている方は、医療機関の利用を検討しても良いでしょう。
ただしデメリットとして、費用が高額なことや、複数回の通院が必要があることを理解しておいてください。
腸内フローラの状態を調べてみたいが、ここまでの費用は掛けられないという方には、検査キットの利用が良いかもしれません。
検査キットで調査する場合
近年、腸内フローラが注目を浴びていることから、その状態を調査できる検査キットが開発されています。
検査キットは、インターネットで購入することができ、自宅で採取した便を、専門機関に送るだけで調査が完結します。
つづいて、特徴についてご紹介します。
特徴
検査キットの最大のメリットは、信頼性のある調査結果を、医療機関での調査より安価に手に入れられることです。
インターネットで検査キットを購入し、自宅で便を採取した後、専用キットに入れて郵送するだけです。
医療機関での調査より20,000~30,000円ほど安いです。
分析結果は書面で送られてくるほか、インターネット上で閲覧できる場合もあり、忙しい方でも簡単に結果の確認ができます。
調査項目については、各検査キットによって異なりますが、結果の信頼性は医療機関と同等です。
結果をもとにしたフィードバックは、医療機関での調査と比べて劣ってしまいますが、きちんと示してくれます。
検査キットは複数の種類がありますので、主な2つの検査キットについてご紹介します。
主な検査キット
簡単に入手できる主な検査キットには、マイキンソー、ビフィチェックの2つがあります。
いずれも、腸内フローラの状態を確かめるものですが、価格や調査項目に差があります。
2つの調査キットについて、表にまとめましたので比較してみてください。
マイキンソー | ビフィチェック | |
価格 | 20,000円程度 | 13,000円程度 |
所要期間 | 約6週間 (キット到着から) |
約4週間 (キット到着から) |
分析項目 | 太りやすさ 腸のタイプ 菌の多様性 主要な細菌の割合 腸内の菌構成 腸内環境の推移 |
ビイフィズス菌の比率 クロストリジウム菌の比率 |
こんな方にオススメ
検査キットでの腸内フローラ調査がオススメなのは、腸内フローラの状態は知りたいものの、あまりお金は掛けたくないという方です。
検査キットは、10,000~20,000円前後での調査が可能で、結果の信頼性も高いです。
医療機関で高額な費用をかけて調査する必要性を感じない方にはぴったりです。
また、時間に余裕がなく、医療機関に通うことが難しい方にもオススメです。
ただ、決して安価ではないので、ほんの少し腸内フローラに興味があるという方には向かないかもしれません。
そんな方のために、セルフチェックで腸内フローラの状態を調査する方法をご紹介します。
セルフチェックの場合
セルフチェックでの腸内フローラ調査がオススメなのは、少しだけ腸内フローラに興味を持っている方や、日頃から簡易チェックがしたいという方です。
自分でチェックするので、費用はかかりませんし、少ない時間で調査することができます。
具体的な方法としては、複数の質問項目に答える方法と、毎日の便を観察する方法があります。
つづいて、それぞれの方法についてご紹介します。
質問項目に答えてチェックする方法
複数の質問項目に答える方法は、日頃の健康状態や、ライフスタイルから、腸内フローラの状態を推測するものです。
腸内フローラが乱れると、健康に様々な悪影響が出ますので、そうした悪影響が出ていないかチェックします。
また、腸内フローラの状態は、日頃のライフスタイルに影響を受けますので、どのような生活をしているかをチェックするのです。
具体的な方法については以下のページを参考にしてください。
便の状態を観察してチェックする方法
定期的に排便がある場合は、便を流してしまう前に観察することで、腸内フローラの状態を推測することができます。
具体的なチェック項目は、以下のとおりです。
チェックする項目
- 便の形
- 便の重さ
- 便の色
- 便の臭い
これらの項目を観察することで、その時の腸内フローラの状態を推測できます。
これらの項目なら、日々の排便のついでに、簡単にチェックできるでしょう。
具体的な方法については以下のページを参考にしてください。
こんな方にオススメ
セルフチェックでの腸内フローラ調査がオススメなのは、お試し感覚で腸内フローラの状態が知りたいという方です。
さらに、現状で腸内フローラへの不安をあまり抱えておらず、日頃からこまめに状態をチェックしたいと考えている方にもオススメです。
セルフチェックですので、医療機関の調査や、検査キットに比べると信頼性は劣ってしまいます。
しかし、日頃から自分の腸内フローラに関心をもつ習慣を持つことにつながります。
セルフチェックだけでも、有益な情報は得られますので、できれば皆さんに実施してもらいたいです。
まとめ
今回は、腸内フローラの状態を調査する方法についてご紹介しました。
医療機関、検査キット、セルフチェックと、それぞれの特徴を理解した上で、自分にあっている方法を試してください。
医療機関での調査や、検査キットは、決して安価ではありません。
ですので、腸内フローラに興味を持ち始めたばかりという方は、まずセルフチェックから始めてみてください。
そして、さらに詳しく調査してみたいと思うようになったら、検査キットや、医療機関での調査にジャンプアップすればよいでしょう。
自分の腸内フローラの状態を把握して、健康な日々を送れるように、これらの方法を試してみてください。