腸内環境の改善には日常生活のリズムが大事
記事の目次
腸内環境が悪化する仕組み
腸内環境の悪化は、腸内の悪玉菌が増殖し、善玉菌の勢力を上回ることによって起こります。
この状態になると、悪玉菌が腸内でタンパク質を発酵させる有害物質を出しはじめます。
悪玉菌が出した有害物質は、腸内を悪玉菌が増えやすい環境にします。
この連鎖によって、慢性的に腸内環境が悪化した状態になってしまうのです。
この状態から抜け出すためには、悪玉菌の増殖を抑えて、善玉菌の量を悪玉菌よりも多くすることが必要です。
そのために必要なのは、普段から今回紹介する3つのポイントに気をつけながら生活することです。
この3つのポイントを守れば腸内環境を改善することができます。
日常生活の3つのポイントを改善
腸内環境を改善するために、普段の生活から気をつけてほしいポイントは以下の3つです。
腸内環境を改善するための3つのポイント
- 食生活を見直して善玉菌を増やす
- 睡眠とストレス発散で自律神経を整える
- 適度な運動で排便力を鍛える
まず、一番大切なことは普段の食事によって善玉菌を増やすことです。
そして、適度な睡眠とストレスの発散で、腸の調子をととのえることが大切です。
さらに、便秘を防ぐために、排便に必要な筋力を鍛えておくことも重要です。
この3つのポイントを普段の生活から気をつけていれば、腸内環境は改善できます。
ここからは、3つのポイントをそれぞれ詳しくご紹介します。
食生活改善で善玉菌を増やす
なんといってもいちばん大切なことは、食生活を見直し、善玉菌を増やす食事を心がけることです。
善玉菌を増やす食事には、主に3つの種類があります。
善玉菌を増やす3つの食事
- 食物繊維が豊富な食事
- オリゴ糖が豊富な食事
- 善玉菌が豊富な食事
善玉菌が豊富な食事
食物繊維は、腸内で善玉菌のエサになることによって、善玉菌を増やしてくれます。
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がありますが、この2つの違いは文字通り水に溶けやすいかどうかです。
どちらも善玉菌のエサになったり、便のカサ増しをしたりする効果がありますので、違いを気にする必要はないです。
ただし、便秘の人は水溶性食物繊維を、下痢の人は不溶性食物繊維を摂るようにしてください。
なぜなら、水溶性食物繊維は腸で水分を吸収しゲル状になり、便を柔らかくしてしまう可能性があります。
また、便秘の状態だと、便のカサ増しをする不溶性食物繊維は、逆効果になる可能性があるからです。
オリゴ糖が豊富な食事
オリゴ糖は、腸内の善玉菌で最大勢力であるビフィズス菌のエサになります。
腸内にいる最大勢力の善玉菌を増やして効率的に腸内環境を改善できます。
ヨーグルトなど、ビフィズス菌を含んだ食品と一緒に摂取するのがオススメです。
善玉菌が豊富な食事
善玉菌が豊富な食事の代表格が発酵食品です。
和食には味噌や醤油、納豆や漬物など発酵食品が多く使われているのでオススメです。
欧米型の食事は肉類が多く、肉類は腸内の発酵を引き起こす要因になり得ますので注意が必要です。
日頃から和食を中心に、善玉菌の豊富な食事を摂るよう心がけましょう。
食事によって腸内環境を改善したい方は以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
また、腸内環境を改善するためには、食生活とともに、普段の生活リズムに気をつけることも大切です。
生活リズムを整えて腸を元気に
腸の活動を活発にするために欠かせないのが、自律神経に配慮することです。
自律神経とは、人間の生活に欠かせない、消化、呼吸、睡眠などを司る神経で、交感神経と副交感神経に分かれています。
交感神経は日中など身体を活発に動かしている時間帯に作用し、副交感神経は、夜間など安静にしている時間帯に作用します。
腸の働きが活発になるのは、副交感神経が作用する夜間です。
睡眠が不規則になったり、ストレスを溜めてしまうと、自律神経のバランスが崩れます。
その場合、腸のぜん動運動も鈍ってしまい便秘の原因になります。
便秘は、悪玉菌が増殖しやすい腸内環境を作る原因になります。
普段から十分な睡眠を取り、趣味や息抜きでストレスを溜め込まないようにしましょう。
腸と自律神経の関係を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にして下さい。
ストレス発散の方法の一つに運動がありますが、適度な運動も腸内環境の改善に必要です。
生活の中で適度な運動を
悪玉菌が増殖しやすい腸内環境を作る原因になる便秘を防ぐために適度な運動が必要です。
運動不足は、おへその下近くの腹筋力の低下と、腸内の便を肛門側へ送り出す力が低下につながり、便秘になる可能性があります。
ですから、腹筋のトレーニングも含め、定期的な運動は便秘の予防にとても重要です。
激しい運動が必要と言うよりも、普段の生活の中でできるだけウォーキングする時間を増やしたり、体を動かすことを意識的に増やすだけでも便秘の予防、解消には効果的です。
もちろん、腹筋力を維持したり、強化するためには、腹筋運動を行ったり、意識的に腹式呼吸を行う回数を増やしたりすることも必要です。
また、運動はストレス発散にもつながり、さきほどご紹介した自律神経の乱れも防ぐことができます。
運動で腸内環境を整えたい方は、以下の記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
たった3つのポイントでしたが、一度にすべて改善するのは難しいかもしれません。
まとめ:まずは簡単なことから始めよう
腸内環境を改善するために必要なのは、普段の生活からこれら3つのポイントに気を配ることです。
食生活の改善は、一番効果的な方法ですが、それだけでは不十分です。
適度な運動や、十分な睡眠によって自律神経を整え、便秘を防ぐこともとても重要です。
一度にすべてのことを改善するのは難しいでしょうから、まずはできることから始めましょう。
善玉菌を増やす手軽で簡単な方法に、サプリメントの摂取があります。
サプリメントは手軽に摂取でき、効果の有無がはっきり分かるのでオススメです。
以下の記事で、腸内環境を改善するサプリメントを紹介しているので、参考にしてください。
この記事の筆者
腸内細菌博士
1977年生まれ。京都大学・大学院にて分子細胞生物学を専攻。腸による脂質代謝や栄養吸収を細胞レベルで研究、また腸に関連する疾患の予防、治療方法の基礎研究に従事。
ほか、腸の働きと関連性のある自律神経系や免疫システムについては、現在も米国科学雑誌等で最新研究動向をウォッチ中。現在、米国にてMBA留学中。