腸内環境を整える、疑問に答えてみました
逆に腸内環境が悪い状態と言うのは、腸内に便がとどまり悪玉菌が増殖しているような状態で、便秘に近い状態もしくは便秘そのもの。
食生活の改善や適度な運動などにより腸内環境が改善されれば、便秘状態も解消されることになり、腸内に溜まった不要物が体外に排泄されるため当然体重の減少を期待できます。
つまり腸内環境が整えることで、痩せるということに繋がるのです。
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類がありますが、ヤクルトなどに含まれる乳酸菌は善玉菌の1つ。
腸内環境が悪い時、腸の内部では悪玉菌が増殖し、相対的に善玉菌が減少しています。
ヤクルトなどの乳酸菌飲料を摂取することは、腸内の善玉菌の量を直接増加させ、崩れてしまった腸内細菌のバランスをもとに戻すことで、腸内環境を正常化させる効果があるのです。
またビオフェルミンに含まれる乳酸菌はヒト由来の乳酸菌のため、私たちの身体の腸内で効果を発揮しやすく、服用することで直接腸内の善玉菌を増やすことに繋がります。
このため、ビオフェルミンには悪玉菌が優位となったような腸内細菌のバランスを、もとの正常な状態に戻す効果を期待できるのです。
不規則な生活やストレスにより腸の働きが低下し、本来は腸で行われるべき水分の吸収が上手くできずに、結果的に水分を多く含んだ便(軟便)が排泄されてしまうというものです。
腸を十分に機能させ、軟便や下痢を防ぐためには腸内環境を整えることが重要ですが、特に心がけるべきポイントが2つあります。
1つは食物繊維を十分に摂ること。
海藻や根菜に豊富に含まれる食物繊維は良い便通のために効果的な栄養素です。食物繊維を多く含んだバランスの良い食事を心がけることが軟便を防ぐ重要なポイント。
さらに2つ目は、十分な休息、質の高い睡眠をとること。
休息時や睡眠時に活性化される副交感神経は大腸のぜん動運動と深いかかわりがあります。
しっかり身体を休めることで副交感神経を働かせ、大腸が正常な運動をできるようにすることも、軟便や下痢を起こりにくくする大切なポイントになります。
これは、発酵食品には腸内で善玉菌として働く乳酸菌を豊富に含むものが多いからなのです。
腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優位となった腸内環境に対しては、こういった発酵食品の摂取を通じて善玉菌の量を増やすことが効果的です。
また特に納豆に含まれる納豆菌には腸内の有害菌を殺菌する役割があったり、ナットウキナーゼには血液をサラサラにする効果があるなど、納豆には腸内環境を整える以外の健康効果も期待できるのです。
オリゴ糖には善玉菌の繁殖を促進する効果があり、したがって豆乳や豆腐などを積極的に摂取することで、腸内の善玉菌の量を増加させる効果を期待できます。
ですから、腸内細菌のバランスが崩れてしまい、悪玉菌が増殖してしまったような腸内環境を整えるのに、豆乳は効果的な食品と考えられます。
また、豆乳に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た機能を果たしたり、レシチンは血液内のコレステロールなどの脂質を分解して血液をサラサラにする効果があるなど、腸内環境を整える以外にも健康に役立つ点が多いのが豆乳のメリットです。
中でも、食物繊維を豊富に含む根菜類や豆類、オリゴ糖を豊富に含むバナナなどの果物類は腸内環境を整えるのに非常に効果的。
とは言え、毎日の食事の中で材料を用意したり、調理したりがなかなか大変で、思ったように食事の中で摂取できないという悩みを持つ方も多いはず。
その点、スムージーは材料をそのままミキサーにかけるだけで手軽に必要な栄養素を摂取できるなど、腸内環境を整えるのに手軽で有効な摂取方法と言えます。
例えば、急激に食事量を減少させるようなダイエット。
食事量に比例して便の量も減るため、排便が起こりにくくなり、便秘になる恐れがあります。
便秘になって腸内に便がとどまる時間が長くなると、便が腐敗、悪玉菌の繁殖を促すことに繋がります。
悪玉菌が増殖すると腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化することになるのです。
また、ダイエットのために偏った栄養の食事内容になることも、腸内環境を悪化させる一因に。
ダイエットのやり方を間違えると腸内環境にとって逆効果をもたらすことになるので注意が必要です。
ダイエットをする場合も、食物繊維やビタミン、オリゴ糖など腸内環境を整えるのに効果的な食品や栄養素の摂取量を極力減らさないようにすることが、腸内環境を悪化させないコツなのです。
「牛乳はお腹を下すことになるから苦手」という方は、バナナや豆乳など、他のオリゴ糖を豊富に含む食品を摂取することで牛乳の代替とすることもできます。
また市販の牛乳は殺菌されているのが一般的で、牛乳には乳酸菌などの善玉菌は存在しません。
善玉菌を直接食事等によって増やそうとするのであれば、ヨーグルトや乳酸菌飲料などを摂取する必要があります。
例えば、摂取した食物の消化を促す消化酵素が減少すれば、当然消化不良を起こし、未消化の食物が長時間に渡って腸内にとどまることになります。
これは便秘に近い状態で、腸内の悪玉菌を増殖させ、腸内環境の悪化に繋がります。
また、酵素に含まれる酵母菌は腸内で善玉菌として働くため、体外から摂取したり、体内で合成すると酵素量が減ると善玉菌が減少して、腸内環境を悪化させる恐れがあります。
このため、酵素を豊富に含む食品を摂取したり、酵素ドリンク等を飲用することは、腸内環境を整えることに効果的と考えられます。
例えば、胃腸薬。胃や腸での食物の消化を促進させたり、胃腸の働きを整えることで、結果的に消化不良などで悪化した腸内環境を改善させる効果を期待できます。
また、ビオフェルミンや太田胃酸など整腸作用のある市販薬には、腸で善玉菌として機能する乳酸菌やビフィズス菌が含まれています。
服用することで腸内の善玉菌の量を増やすことに繋がり、こちらも腸内環境の改善を期待できる市販薬の1つと考えられます。
自身の身体や腸内環境の状態に適した漢方薬を服用することで腸内環境を整えることができると言えるでしょう。
これらのアトピー反応はIgE抗体と呼ばれる免疫物質が過剰に生産され、その結果、かゆみを引き起こす成分・ヒスタミンが過剰に分泌されてしまうことが原因です。
このアトピー反応のメカニズムにかかわるIgE抗体はその多くが腸で産生されており、腸内環境の悪化により、IgE抗体が過剰に生み出されてしまうことが知られています。
つまり腸内環境の悪化はアトピーの悪化を引き起こし、逆に腸内環境を整えることでアトピー症状を軽減する効果を期待できるのです。
このIgE抗体は腸で産生される免疫物質の1つで、腸内環境が悪化すると通常以上に産生されてしまうことが分かっています。
つまり腸内環境が悪化すると花粉症の症状も悪化する可能性があります。
逆に、腸内環境を整えることは必要以上にIgE抗体を作り出さないように制御することに繋がり、花粉症の重い症状を防ぐ効果があると考えられます。
これは人間の体内にある免疫細胞のうち、約7割が腸で産生されるためです。
腸内環境が悪化して腸の働きが低下すると、免疫細胞の産生が低下、私たちの身体の免疫力までも低下させてしまうのです。
腸内環境が悪化すると体調が悪く感じたり、疲れやすくなるのはこのため。
腸内環境を良い状態に保つことは、安定的な免疫細胞の産生に繋がり、免疫力の維持には欠かせないことなのです。
赤ちゃんにとっては、腸内細菌の中に悪玉菌が存在することでそれと戦うための抵抗力を身に付けられるなど、悪玉菌が必要悪的な存在としてその役割を果たしています。
そのような状況で無理に善玉菌を増やそうとすると、相対的に悪玉菌が減少し、細菌やウィルスに対する抵抗力が低い身体になってしまう恐れがあります。
実際、生まれながらにしてアトピーを発症している赤ちゃんの腸内細菌を検査したところ50%以上が善玉菌だったそう。
抵抗力を身に付け、強い身体に成長していくためには、悪玉菌も必要な存在であることを覚えておく必要があります。
この記事の筆者
腸内細菌博士
1977年生まれ。京都大学・大学院にて分子細胞生物学を専攻。腸による脂質代謝や栄養吸収を細胞レベルで研究、また腸に関連する疾患の予防、治療方法の基礎研究に従事。
ほか、腸の働きと関連性のある自律神経系や免疫システムについては、現在も米国科学雑誌等で最新研究動向をウォッチ中。現在、米国にてMBA留学中。