快便になる方法と効果を紹介
みなさんは、毎朝のようにお通じがあり、スッキリとした気分で1日を過ごせていますか?
一般的には、そのような状態であることを「快便」と表現したりしますね。
しかし、快便が具体的にどのような状態を指すのか、ご存じない方もいらっしゃると思います。
実は排便回数には個人差があり、毎朝のお通じがない方でも快便だといえる場合もあるんですよ。
そこで今回は、快便とはどのような状態なのか?どのような効果があるのか?どうすれば快便になれるのか?などについてご紹介します。
排便のメカニズム
快便のお話に入る前に、食べ物を摂ってからそれが便になって排泄されるまでの過程を理解しておきましょう。
食事によって摂取した食べ物は、胃を通り腸に到達します。
この腸という臓器は、大きく分けると主に栄養の吸収を行う小腸と、主に便を作り出す大腸の2つに分けられます。
小腸で栄養が吸収された食べカスは、大腸へと送られ水分を吸収されて固形の便になっていきます。
固形になった便は、S字結腸に貯まり、腸に刺激が加えられたのを感じると直腸に送られます。
直腸に便が送られると、肛門周辺の筋肉が圧迫され、その情報が脳に送られ便意という形で私達の意識に現れます。
そうして、肛門の筋肉を緩めれば便が排出されるのです。
この一連のプロセスが一般的な排便ですが、では、快便とはどのような状態を指すのでしょうか?
まずは快便の定義や条件について確認してみましょう。
快便の条件
まず、快便の定義についてご紹介しようと思うのですが、実は快便には公的に定められた定義がありません。
便秘や下痢、便通などに関する書籍から情報を収集した結果、概ね以下のような状態を指すようです。
快便とは、定期的で健康的な形の便の排便があり、お腹の違和感や残便感がないような状態です。
具体的に示すと、以下の項目をもとに判断できます。
快便の判断項目
- 排便の回数
- 便の状態
- お腹や排便に関する違和感
以上のような項目をもとに、自分が快便であるかを判断できるでしょう。
ここからは、これらの項目について詳しく見ていきます。
排便の回数と状況
冒頭でもお伝えしましたが、快便と聞くと毎朝の排便があることが条件のように思えますが、これは誤った認識です。
なぜなら、排便の回数や周期にはかなりの個人差があり、食生活等によっても大きな影響を受けるからです。
一般的に、排便回数は1日3回から3日に1回までが、正常であるとされています。
3日に1回だけでも正常値であることを、意外に思われた方も多いのではないでしょうか?
現状で、この正常値から外れてしまっている方は、ご自身が快便ではないと認識したほうが良いでしょう。
さらに、排便の際の状況も重要です。
排便の際に、力んだり時間がかかったりして、スムーズな排便になっていない場合も、改善の必要があります。
また、排便の回数や状況に問題がなくても、便の状態が良くない場合は、注意が必要です。
便の状態
排便回数の次に確認してほしいのは、自分の便の状態です。
便の状態は、お腹の不調や腸内環境の乱れなど、大切な情報を知らせてくれます。
理想的な便の状態を以下の表にまとめました。
チェック項目 | 理想の状態 | 解説 |
形 | バナナ状 | 便の形は、便の内容物や水分量などによって決まります。理想的な便とはバナナの形をしており、便器の中で沈まずに浮いてくるような便です。 |
色 | 黄色・黄褐色 | 黄色は腸内が酸性に保たれていることを示します。その場合便秘や下痢の原因になる悪玉菌の増殖が抑えられます。反対に便の色が黒っぽい場合は、悪玉菌が増えやすいアルカリ性の状態であることを示します。 |
量 | 150g~200g | 日本人の場合、食物繊維を多く含んだ食生活になるため、便の量は欧米人よりも多いです。欧米型の肉中心の食生活である場合、80g~120gが正常値になります。 |
匂い | 気にならない | 便の匂いも重要です。理想的な便の匂いとは、匂いを嗅いでも気にならない程度の匂いです。強い悪臭がして匂いが嗅げないという場合は、腸内環境が乱れている証拠です。 |
排便した際には、便を流す前にこれらの項目についてチェックしてみてください。
ここまで、排便や便の形についてのお話でしたが、残便感やお腹の違和感など、精神的なことも重要なポイントです。
お腹や排便に関する違和感
快便とは、排便やお腹に関する不安がない状態である必要があります。
排便があるにも関わらず、残便感が残ってスッキリしないこともあります。
または、なかなか便意を感じることができないということもあるでしょう。
このような状態では、スッキリとした気分で1日を過ごすことができません。
後述しますが、精神的な負担が過度にある場合は、それが下痢や便秘を引き起こす原因になります。
ですので、排便やお腹のことについて、不安がない状態であることが必要なのです。
では、快便を妨げる原因にはどのようなものがあるか見ていきましょう。
快便になれない原因
快便にならない大きな原因は、以下の4点です。
- 食生活の乱れ
- 自律神経の乱れ
- 運動不足
- 病気の影響
これらの原因によって、下痢や便秘を引き起こすことが、快便になれない理由です。
食生活の乱れ
食生活が乱れると、腸内環境が悪化して、便秘になりやすい状態になります。
すると、排便の回数が減ったり、便の状態が悪くなったりして、快便から遠ざかってしまいます。
具体的には、肉や脂質の摂り過ぎが良くないです。
肉や脂質を取りすぎると、腸内で悪玉金が増殖して、腸内環境が悪化し便秘につながります。
また、食物繊維が少なすぎる食事も、良くないです。
なぜなら食物繊維は、腸内で便を作るのに必要な成分であるほか、腸内の便を送り出すぜん動運動を促してくれるからです。
食事に気を使っているという方は、次に自律神経について振り返ってみてください。
自律神経の乱れ
自律神経とは、腸の働きを左右する神経のことで、交感神経と副交感神経の2つで構成されます。
腸の働きに関わるのは副交感神経で、消化管を収縮させる役割を担っています。
自律神経は、ストレスによる影響を受けるため、過度なストレスを感じている状態では、消化管の収縮が鈍り便秘になります。
また、副交感神経が必要以上に働くことによって、下痢になる可能性もあります。
悩みを抱えながら通勤・通学をしていると、急にお腹が痛くなることを経験したことはありませんか?
これは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れたことで「過敏性腸症候群」に陥っている可能性があります。
このように、ストレスによって自律神経が乱れると、快便になれません。
ストレスのような外部要因以外にも、快便を妨げる原因があります。それは筋力不足です。
運動不足
スムーズな排便ができない理由の1つとして、排便に必要な筋力が低下していることが考えられます。
排便に必要な筋肉とは、腹筋や肛門括約筋といった箇所です。
これは、主に高齢者に考えられる原因で、成人の場合は余程の運動不足でない限り問題ありません。
ただし、運動すること自体は、スムーズな排便につながりますので、年齢に関係なく重要です。
仕事がデスクワーク中心の方だと、なかなか運動する機会がないでしょう。
運動は、腸を刺激してぜん動運動を促したり、ストレスを発散して自律神経のバランスを整えることにもつながります。
その意味で、運動不足であることも、快便になれない原因の一つになります。
多くの方は、以上3つのことが主な原因になると思いますが、最後に例外として病気の影響をうけている場合をご紹介します。
病気の影響
快便を妨げる便秘を引き起こす原因として、病気が原因になっている場合があります。
何らかの原因で大腸の内部が狭くなると、便の通りが悪くなり便秘になります。
そのような症状を引き起こす病気としては以下のものが考えられます。
病名 | 解説 |
大腸ガン | 大腸ガンやポリープは、イボや腫瘍ですので、便の通り道を狭くします。便が細くなったり、便に血液が混じった場合は注意が必要です。 |
ポリープ | |
潰瘍性大腸炎 | 潰瘍性大腸炎やクローン病は、繰り返し大腸の粘膜に炎症を引き起こします。すると腸管を傷つけたり、ポリープが形成されたりして便の通りが悪くなります。 |
クローン病 | |
腸の癒着 | 腸の癒着とは、炎症など何らかの原因で、腸の一部が腸の別の箇所や、他の臓器とくっついてしまうことです。これも便の通り道を狭めるので、便秘などにつながります。 |
結腸過長症 | 結腸過長症とは、生まれつき腸全体やS字結腸が長い人の症状です。このような場合でも便の通りが悪くなります。 |
この表で紹介したものは、代表的な病気であり、実際には更に多くの病気が考えられます。
下痢や便秘でなかなか快便になれない方は、このような原因があることも頭に入れておいてください。
ここまで快便になれない原因について理解したところで、ここからは快便になるための具体的な方法についてご紹介します。
快便になる方法
快便になるために具体的にどのようにな工夫をすればよいかについてご紹介します。
大きく分けると、食事、自律神経を整えること、運動について工夫することが必要です。
すぐにはじめられる簡単な方法も紹介しますので是非参考にしてください。
朝の冷水、水は1日2L摂取しよう
水の摂取は、非常に重要です。
まず、朝起きてすぐに冷水を飲むと、腸が刺激されて排便につながります。
ただし、ストレス型の便秘の方には、逆効果になる場合があるので気をつけてください。
また、健康な便には水分が70~80%含まれており、便を作るためにも水分補給が欠かせません。
1日に摂取する水分量は2Lが目安です。
摂取する水分は、清涼飲料水やカフェインが多く入った飲み物を避けるようにしてください。
朝食を摂って、胃腸を目覚めさせる
1日の始まりである朝に、食事を抜いてしまうことはあまり良いことではありません。
朝食をしっかりと摂ることによって、胃腸の活動がスタートし、排便につながります。
ダイエットなどの目的で、朝食を抜いたりすると便秘につながり、かえって体重が増える可能性もあります。
朝食をとる時間がないという方は、果物やヨーグルトなど手軽な食品だけでも食べるようにしましょう。
果物には便通を整える食物繊維が、ヨーグルトには腸内環境を整える乳酸菌が含まれていますのでおすすめです。
食物繊維をたっぷり摂取する
食物繊維は、消化管の収縮運動を促して、排便につなげる作用があります。
また、便を作るときの材料になって、量をかさ増ししたり、柔らかくしたりする作用もあります。
1点注意していただきたいのは、食物繊維には不溶性のものと水溶性のものがあることです。
便秘のときは水溶性が、下痢のときは不溶性が役立ち、反対の組み合わせは逆効果になります。
さらに、直腸の問題が原因で便が詰まりやすい便秘の場合は、食物繊維が逆効果になりますので気をつけてください。
発酵食品で善玉菌を摂取する
腸内環境を整えることは、便秘や下痢の予防になり、快便につながります。
腸内環境を整えるには、善玉菌の摂取が良いです。
善玉菌は、漬物やヨーグルトなど、発酵食品に多く含まれています。
また、摂取した善玉菌を活性化する成分にオリゴ糖があります。
オリゴ糖も普段の食事から摂取することができますので、工夫してみてください。
寝る前に軽めの運動
先述したとおり、排便には腹筋や肛門括約筋などの筋肉が必要になります。
こうした筋肉を鍛えておくことは、年齢が上がるに連れて衰える排便力を補うことにつながります。
また、運動は腸のぜん動運動を促したり、ストレスを発散したりすることにもつながります。
ストレスを適度に発散することは、自律神経を整えることにつながります。
運動をする場合は、寝る前に軽めに行うことをおすすめします。
あまり激しい運動を行うと、交感神経が活発になり、寝付きが悪くなるので気をつけてください。
このように生活を見直す以外の方法としては、サプリメントや下剤の摂取が考えられます。
サプリや下剤の使用について
快便になることを目的にサプリを摂取したり、便秘の解消に下剤を利用することは、役立ちます。
サプリや下剤は、簡単に摂取できますし、生活の改善に比べてすぐに効果を実感できるでしょう。
しかしながら、サプリや下剤に頼りすぎてしまうことには、危険性も伴います。
サプリメントを使用する際には、あくまでそれを補助的なものと捉えて、普段の食事を疎かにしないでください。
また下剤は、なるべく医師の指導のもとに使用することをおすすめします。
市販の下剤を長期間使用すると、自力で排泄することが難しい体質になってしまう場合があります。
適度に使う分には問題ありませんが、過度の使用は危険なので注意してください。
このように様々な工夫で快便の状態を手に入れると、どのような効果があるのか見てみましょう。
期待できる効果
このように様々な工夫をすることで快便の状態になると、健康にも良い影響がでます。
具体的には、以下のような効果が期待できるでしょう。
快便で期待できる効果
- ダイエットしやすい体になる
- 肌荒れや体臭などが改善する
- ストレスが軽減される
- 病気の予防になる
まず、体重が増える原因として、便秘によって代謝が低下することが挙げられますので、快便はダイエットに良い影響を与えます。
肌荒れや体臭は便秘が原因の場合があるので、快便になることで解消される可能性があります。
さらに、便秘は免疫力を低下させるほか、ガンなどを引き起こす原因になるので、快便は病気の予防にもつながるでしょう。
また、下痢や便秘などお腹の不調に関する不安から開放されることで、ストレスを軽減させることができます。
まとめ
今回は、快便について様々なことを紹介してきました。
まずご自身が快便の状態であるかどうかをチェックすることからはじめてみてください。
快便を妨げる主な原因は、食生活の乱れ、自律神経の乱れ、運動不足、病気の影響の4つです。
普段の生活を見直して、このような点に当てはまっていないか確認してください。
そして、改善にむけて今回ご紹介した改善方法を実践してみてください。
これらの記事は、以下の書籍を参考にしましたので、是非こちらの書籍も購読してみてください。
快便の状態を手に入れ、スッキリした毎日を過ごせるようにがんばってください。