【専門家が語る】おならを止める(がでない)、抑える方法は○○の解消にあり?

こんにちは。

私は1990年初めから20年間ほど腸内細菌と腸の粘膜免疫に関して研究してきました

おならの悩みを真剣に聴いてくれる人はあまりいませんよね。おならの問題だけならば、わざわざ病院に行ってお医者さんに相談しようと思う人はそうそういないと思います。

第1自分のおならについて人に話すなんてはずかしいですよね。でも実際のところ、おならの悩みを抱えている人はかなりいるんですね。

日経ウーマンオンラインが行ったアンケート調査(回答者337人、女性、2012年)によると、約半数の女性がおならの悩みを抱えていることがわかっています。

悩みを抱えておられる多くの女性は、おそらく1人で悩まれていることと思われます。

中には専門的な情報を集められずに、放っておいても構わないことや、正常範囲のことなのに悩まれている方もいらっしゃるのではないかと思います。

そこで、今日は、誰もがするおならについて、おならが作られるメカニズムついて考えた後、どのようなときにおなら対策が必要であるかを考えてみたいと思います。

そして、原因別のおなら対策についていくつかご紹介し、ご自身に合わせたおなら対策ができるように説明してきたいお思います。

おなら情報を集めて正しく判断したいのに、世の中のおなら情報は少ない

おならについては、医学的にも専門的な研究者は少なく、医学書の記述や論文数はとても少ないのが現状です。

しかし、冒頭で紹介した通り、おならのお悩みを抱えている方が多数いることを考えるとおならについての研究や専門的な対策(カウンセリングや生活指導、診断・治療方法など)がもっと進んでもいいと思います。

美容的な観点からおならについて書かれた記事や情報は多く見受けますが、ほとんどが断片的であり、おならについての知識を得るには物足りない感じがします。

また、おならの悩みを抱えている方にとって、自分が正常なのか異常なのかの判断ができるようには書かれていないものが大半です。

おならの悩みは「秘め事」として誰にも相談できない場合が多いので、インターネット記事などを読んで、お一人で自分のおならは正常なのか異常なのか、異常な場合は医師に相談すべきなのか、自分の生活習慣をどのように変えることで解決できるのかなどが理解できることが必要でしょう。

その上で、ご自身に合わせた対策が取れるようになることが大切だと思われます。

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おならは1日に5~20回くらいでるのが普通なのです

おならは、肛門から排出されるガスのことです。成人は平均1日に0・5~1・5リットルのおならを5~20回にわたって排出します。男女差はないと言われています。

この範囲を外れていない方は、回数については正常範囲(または異常とは言いにくい)の状態と言えます。ご自身のおならが多いなと感じたら、まずは回数を数えてみることが大切です。

「多いような気がする」と感じている人も、数えてみたら意外と正常範囲に収まっているという方も多くいると思います。

おならは口から入った空気と腸内細菌が作ったガスなのだ

おならのガスは、約90%が口や鼻から胃や腸に入った外の空気です。

残りの10%が腸内の細菌によって産生されたガスで、これが臭いの原因になっています。

前述のような成人のおならの量には大きな差があります。この原因は口や鼻から取り込まれる空気量の差によります。つまり、おならの量が増える原因の第一は口や鼻から取り込まれる空気が多いことなのです。

この場合、おなら臭いは、あまりきつくはなりません。

一方、腸内の細菌が増えている場合にもガスの量は多くなります。

  • ガスを多く産生する発酵菌や腐敗菌(悪玉菌)が多くなっている場合
  • 便秘などで腸内細菌の住み処(か)である大便が腸に停滞している場合

の2通りが考えられます。

この場合、腸内細菌が作るガスが増えるので、回数と共におならの臭いもきつくなります。

便秘は大型のおなら製造機を体の中にも持っているのと同じ

便秘の場合は、長く停滞した大便が腸内に大量にたまっている状態であり、言ってみれば、大型のおなら製造機を体内に持っているのと同じ事ですから、

おならの回数が増えるのは当然で、さらに腐敗した大便の中で作られたガスですから臭いも相当強烈です。

おならを我慢しても臭いは体から染み出てくのだ!

便秘の方はよくおならが出るので、人前などでは我慢する回数も多くなることが想定されます。

無理して我慢したおならは、その時は排せつされなくとも、腸から血中に吸収され呼気や皮膚の汗腺(汗が出るところ)から排出されます。

臭い成分も一緒に排出されますから、おならをいつも我慢しているという人は、からだ全体からおならが染み出ているのと同じことになります。

きちんとしているのに何となく便臭が漂う人がいますが、このような方の中には便秘に苦しんでいる方がいらっしゃるのではないかと思われます。

また、おならをいつも我慢している人は、臭いだけではなく、血中に吸収されたおなら成分が身体に与える影響も考慮しなくてはなりません。

肌や肝機能など全身に悪影響をおよぼす場合があり、長期に亘ると発がんの原因にもなるのではないかという人もいます。

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おなら対策が必要な人はこんな人

ここまで、おならの仕組みや、異常なおならについてお話してきました。ここで、おなら対策が必要な人とはどんな人であるのかを以下にまとめてみました。

  1. おならの回数が1日当たり20回を超える日が多い人
  2. おならの臭いがきつい人
  3. その1とその2の両方が思い当たる人

おならの臭いがきつい人については、判断する数値が容易に手に入りませんので、ご自身の主観での判断となります。

ひとつの目安としては、自分や他人から臭いを指摘された方、便秘がちの方やおなかの具合がいつもよくない方(グルグル鳴る、よく下痢をする、おなかが痛むことが多いなど)があります。

まず、おならをしない人はいないのだと自分自身に言い聞かせる

オナラ対策をする前に、だれもがおならをする、ということを頭に入れておかないといけません。オナラをしない人はいません。

どんなに努力してもおならを「ゼロ」にすることは不可能です。まず、これを知っておいてください。おなら対策の目標は、「おならゼロ」ではなく、「おならの普通化」なのです。

ここまでの記事を読まれて、自分は普通だなと思われたらあえて特別な対策は不要です。

緊急対策は、あらかじめおならを出してしまうことだ!

おならについての緊急対策が必要な場合とは、回数にせよ、臭いにせよ、人前に出る時が大半であろうと思われます。

この場合、人前に出る前に可能な限りおならを出し切ってしまうことが有効です。休み時間にトイレでおしっこやウンチをするのと同じ感覚です。

例えば、会議、通勤電車に乗るときなど、多くの人が集まるところにいく場合は、事前におならを出してしまいましょう。おならは1日に5~20回排せつされます。

多い人でも2倍程度ですから、1回おならを出せば小一時間は次のおならが出ないことになります。

次を催すころには、休み時間が取れたり、別のところに移動できる状態になることが予測されますので、おならを出した直後であれば、人前で失敗したり、我慢のために苦しんだりする可能性はある程度減らすことはできます。

トイレに座れば全てが始まる

おならを出し切るためには、まずトイレで座ることです。この状態は肛門括約筋が緩みやすくなります。

さらに、「おならやウンチを出してもいいんだよ」と脳に指令がいきますので、腸や肛門がリラックス状態になり、おならやウンチが出やすい状態になります。

出にくい時には少し息んでもいいでしょう。ここで、おならやウンチがでれば、しばらくは次は出ないことになります。

また、どう頑張ってもおならが出ない場合は、次のおならは当面出ないことが多いので「しばらくは大丈夫だよ」と自分に言い聞かせましょう。脳の活動である意思と腸の状態は密接であり、このような自己暗示は有効なのです。

次からは、おならの原因ごとの根本的な対策について説明していきたいと思います。

早食い、炭酸飲料が好きな人はおならの回数が多くなる傾向にある

おならの約90%が口や鼻から取り込んだ外からの空気であることを説明しました。おならの回数が多いで、あまり臭いがきつくないという方は、口や鼻から取り込んだ空気が多いことが考えられます。

つまり、食事の時に空気も一緒に食べているということなのです。

食事中に口から取り込まれた空気は、食道を経て胃にたまります。胃にたまった空気の一部は「ゲップ」として口から吐き戻されます。

残りが腸へ送られ、おならとして肛門から排せつされます。食事後にゲップが多い人は、食事の最中に取り込まれる空気が多くおならも多く出ると考えられます。

食事の最中の会話、ガツガツとした早食いが空気を取り込んでしまう原因の一つになります。また炭酸飲料はそれ自体に相当なガス(二酸化炭素)を含んでいるので、効率的に胃にガスをためこむ原因になります。

よく、コーラやビールを飲んだ後にゲップが出やすくなるのはこのためです。

この場合落ち着いてよくかんで食べ、炭酸飲料を控えることが、おならの回数を減らす対策になります。

また、呑気症(どんきしょう)と呼ばれる大量の空気を飲み込んでしまう病気がありますが、食事に気を付けて、炭酸飲料を控えても、ゲップやおならの回数が減らないという方は、お医者さまにご相談ください。

おならの臭い人は、腸内環境を改善しよう

おならの臭いの原因は腸内細菌が作ることをお話しました。腸内には無数の細菌がいて、大便全体の半分~1/3が腸内細菌そのものか細菌の死骸が占めています。

腸やその中にある大便が腸内細菌の住み処(か)なのです。この住み処(か)の環境(つまり腸内環境)や住人である腸内細菌の種類によっておならの臭いが変わってきます

近頃、よく「腸内環境」という言葉を聞くことがあります。腸を住み処(か)とする腸内細菌とその住み処(か)である腸や腸の内容物との相互関係性、さまざまな要素、全体の成り立ちのことを言い、人それぞれ異なった腸内環境を持っています。

おならも腸内環境で作られるので、臭くないおならにするためには腸内環境を変化させる必要があります。

長い年月を経て作られた個人の腸内環境を整えるためには、やはり時間がかかりますので、根気よく取り組む必要があります。

生活習慣を見つめなおし、腸内環境に良い生活習慣を身に着けることで、改善させることが可能となります。

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肉食系の人の便は黒っぽくタール状で臭いも大変臭いのが特徴です。一方、野菜を多くとる人の便は黄褐色で1回の便の量も多く酸味がかった臭いであるのが特徴です。

わが国の肉の消費量は1960年代から比較すると2010年代には約14倍も増えています。それに伴い便秘を訴える方の数も、1970年代から比較すると2010年代には約1.8倍に増加しています。

また、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸炎も急速に増加しています。大腸がんの数も急増の一途です。日本人の食事にどんどん肉が増え、その影響で腸にトラブルを抱えてる人が増えていると考えられます。

そして、日本人のおならはどんどん臭くなる一方なのです。

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肉食系から雑食系へ!野菜もたくさん食べよう

肉を止めることはストレスと感じる方も多いでしょう。良い生活習慣を維持するためには無理は禁物です。ですから、肉を止めるとは考えず、野菜を多くとることを考えてください。

日本人に不足している栄養素の一つに食物繊維がありますが、野菜を多くとることで腸内環境を整えることもできますし、不足している栄養素を多くとることもできます。

1日キャベツ1枚でもいいのです。きゅうり1本でもいいので、野菜を増やすことを考えてください。

肉と一緒に野菜も摂る、人間は肉食動物でも草食動物でもありません。バランスとの取れた雑食動物を目指しましょう。

善玉菌に助けてもらおう!乳酸菌食品のすすめ

腸内細菌には腸内の食物を分解して有害なガスを発生させる悪玉菌と呼ばれる細菌がいます。悪玉菌が作るガスこそが臭いおならの元凶なのです。

この悪玉菌は乳酸や酪酸といった酸がある環境では増殖しにくいという特徴があります。

乳酸菌やビフィズス菌といった細菌は善玉菌と呼ばれ、乳酸や酪酸をたくさん作って悪玉菌と戦ってくれます。腸内環境が悪い人には善玉菌が少ないことが知られています。

このような場合、外から食品として善玉菌を摂取する必要があります。

例えば、ヨーグルトや乳酸飲料を毎日少しずつ取る必要があります。

乳酸菌食品のメーカーの試験によると、毎日150グラムずつヨーグルトを食べることで早い人は14日目くらいからお通じが良くなり、便臭も和らいだと言います。当然おならの臭いも和らいだであろうと思われます。

少し残念なのは、乳酸菌食品から取り入れた善玉菌は腸には居つきにくいということです。ですから、毎日食品を摂取し続けなくてはなりません

酸っぱいヨーグルトや乳酸菌飲料を毎日摂るのはちょっと厳しいという方は、乳酸菌を含んだサプリメントがありますのでそちらをご利用ください。しかし、いずれにしても、継続摂取が大切です。

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臭いおならの本丸は便秘だ!便秘解消の秘訣(ひけつ)

先にも述べたように便秘は腸内に停滞した大便が大量にたまっている状態です。腸内で大便の腐敗が進んでおり、最悪の腸内環境と言えます。

便秘は臭いおならの大型製造機を持っているようなものです。便秘を解消することが臭いおならから解消される1番の良策です。

頑固な便秘については、お医者さまにご相談いただきたいのですが、比較的軽めな便秘であれば日常生活を見直すことで改善させることが可能です。

便秘を解消させることで、おならだけではなく腸内環境も改善し、前に述べたような腸トラブルのリスクも低くなります。便秘のある方はぜひとも解消のための生活習慣を身に着けていただきたいと思います。

便秘を解消するためには、次の四つを心掛けてください。

  1. ヨーグルトなどの乳酸菌を多く含む食品を毎日摂る
  2. 食物繊維の多い食品はほどほどにする.バランスよく食べる。
  3. 適度な運動をする
  4. ストレスを溜めない生活を心掛ける。

便秘解消の四つのポイントはこれだ!

1の乳酸菌食品については、先に述べた通りです。

2の食物繊維の多い食品はほどほどにするは、先に述べた野菜を増やすことと少し矛盾しますが、野菜の摂り過ぎ、イモ類を摂りすぎると逆に便秘を悪くすることがあります。

食物繊維にも、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維というものがあり、それらをバランスよく食べる必要があるんです。

詳しくは、以下の記事を確認してください。

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次に適度な運動です。運動によって全身が活性化することで代謝が促進され、腸の動きもよくなる場合があります。

高齢になると便秘の方が増えるのは運動不足が大きな原因であると考えられます。

毎日の散歩や寝る前の腹筋運動などほんのわずかな運動でもよいので、継続してみてください。ゆっくりですが必ず効果が表れます。

効果が出始めると、やる気も湧いてくるので、少しずつ運動量を増やすことができるようになります。まずは始めることです。

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おならのことだけど、根本的に解消するには熱意と考え方と継続が大切なのです!

おならの悩みを根元から解消するためには、腸内環境をよくしていくことです。そのためには生活習慣の改善が欠かせません。長年の習慣を変えるには「絶対腸内環境をよくするぞ」という熱意が必要です。

加えて、今までの自分の生活を見つめ直し、考え方をあらためる必要があります。そして、無理なく継続させる方法を自分なりに身に着ける必要があります。

おならの悩みを根本的に解決するためには、熱意と正しい考え方と継続することが大切なのです。今回ご紹介したさまざまな方法や心がけの中から、ご自分に合った方法を一つずつでもよいのでスタートしてみてください。

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この記事の筆者

仁古里 笑 (経営コンサルタント)
1990年代初めから、病院での臨床医学研究、海外大学での基礎医学研究、製薬会社での創薬研究・開発など、20年近く医学・生物学・薬学の研究・開発に携わる。もともとの専門が粘膜免疫であり、腸内細菌と腸の粘膜免疫との関連、そこからの全身疾患への影響などに精通している。
現在は専門を経営学に転じ、病院経営などの支援をしながら、一般の方に向けて身体の仕組みや病気のこと、薬のことなどをわかりやすく説明している。

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