臭いおならが出る原因と、その対策をまとめてみました!
今回は、おならの臭いの原因と対策を深く掘り下げ、臭いを軽減する方法をご提案します。
おならの臭いの原因を理解することで的確な対策を行い、人との関係が冷却してしまうことを回避するための一助になると思っています。
記事の目次
おならのにおいの原因は3つ:食べ物、腸内環境、便秘
おなら(ガス)の成分の90%は、食事の時に食物と一緒に取り込んだ空気です。
残りの10%が腸内細菌によって発生したガスであり、これが臭いの原因となっています。
つまり、食べ物が腸内で分解・発酵されることによって発生するガスがおならの臭いの元凶なのです。
食べ物が原因である以上、臭いを全て取り去ることは不可能なのですが、ガスの量や発生頻度を減らすことは可能です。
臭いおならの発生環境として、重要な要因には次の3つがあります。
- 腸内環境(腸内細菌の種類)
- 食習慣
- 便秘(便の腸内の滞留時間の長さ)
腐敗菌の退治には、乳酸菌の摂取が必要不可欠!
腐敗ガスを発生させる菌は酸性の環境では生育しにくいという特徴があります。
また、乳酸菌やビフィズス菌などの、乳酸や酪酸を産生する善玉菌が多くいる環境では増殖が抑制されます。
日ごろからおならが特に臭い人や、今までよりおならの臭いが臭くなったと感じる人は、ヨーグルトを積極的に摂ったり、乳酸菌サプリメントの摂取などで体調管理をすることができます。
そして、便秘をしていると糞便が腸内に滞留している時間が長くなるので、腐敗ガスを多く発生させることになります。
便秘の方のおならが臭いと言われているのはこのせいです。
便秘は女性に多いことから、臭いに特に敏感な若い女性には健康にも美容にも対人的なエチケットにも大敵と云えます。
腐敗ガスが発生しにくい食材を食べて臭い軽減
- インドール
- スカトール
- アンモニア
- 硫化水素
などのガスがおならの臭いの元となることが知られています。
これらのガスは、タンパク質を構成するアミノ酸などが分解された結果発生することが知られています。
- 肉類
- ニラ
- ネギ
- にんにく
を多く摂っていると、硫黄を多く含むものが多い食物は腐敗ガスが大量発生し便臭やおならの悪臭が強くなります。
逆に、
- 野菜
- 海藻
- イモ
- 穀物
などの食物繊維を多く含む食物を多く摂ると、メタンガスや水素ガスなどの無臭ガスを発生させます。
また、腸内細菌に腐敗菌(ウェルシュ菌や大腸菌、プロテウス菌など悪玉菌とも呼ばれる)が多く存在すると、腐敗ガスが多く発生します。そのガスが体内に取り込まれ、お腹の調子が悪くなったり、肌が荒れたり、免疫機能が低下したり全身の体調を低下させます。
また、腸内の腐敗菌が多くいる状況が長く続くと、大腸癌のリスクを高める可能性も指摘されています。
なお、悪玉菌を減らす詳しい方法は以下の記事をご覧ください。
次からは、おならの臭いの3つの原因をどのように解消するかについてみていきましょう。
おならの臭いをなくすためには、生活習慣の改善が必須なのだ
おならの臭いの原因である、食事(食習慣)、腸内環境、便秘の3つは、一朝一夕には解消されないことは、ご想像いただけると思います。
これらの問題の解消は一挙には進まず、生活を徐々に改善すること、つまり生活習慣の改善が必要です。では、どのように生活を改善すれば、おならや便臭の臭いが少しずつ臭くなくなるのでしょうか?
まず、原因に沿ってひとつずつ解消法を説明していきますが、これらは同時に進めることが効果的であることをお伝えいたします。
食事についてです。肉食だけを数週間続けたグループと野菜食だけを同期間続けたグループの便の性質を比較した実験の結果です。
肉食だけのグループは排便回数や便の量が少なくなり、便の色が黒みを帯びて悪臭も強くなったのに対して、菜食だけのグループは排便の回数や量が多くなり、黒味の少ない悪臭の少ない(酸っぱい臭い)の便になったという報告があります。
まずは減らすことから始めよう。一番のポイントは、自分が継続できるか
通常私たちの日常の食事は、2つのグループの中間にあると思われます。肉食に傾けば、便臭やおならの臭いがつよくなり、菜食に傾けばその臭いは和らぐと考えていいでしょうね。
自分の大便やおならが強烈に臭いと感じる時には、菜食を心掛けるといいでしょう。
お肉の大好きな方も多いと思われますが、今を基準として考えて、今よりもおならの臭いを軽くするなら、「肉を止めなくてはならない」とは考えずに、「野菜を多くとることだ」と考えてみてください。
おならが臭くて何とかしたいと願っている人であれば、たとえ野菜が嫌いでも、おならの臭いを軽くするためと思えば、野菜も頑張って食べることができるでしょう。
なんだかんだ腸を整えるなら、乳酸菌の摂取が必要不可欠
腸内環境については、先にも述べましたが、悪玉菌をいかに減らすかがポイントです。
腸内の悪玉菌と善玉菌の比率は、既に乳幼児のころに決まっており、悪玉菌優勢の人が善玉菌優勢に変えることはなかなか難しいことが判っています。
このことから、自分のおならや便臭が臭いなあと思っている方は、常に善玉菌を外から取り込み続けることが必要です。
つまり、毎日ヨーグルトや乳酸飲料など乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌を多く含む食品を食べることです。
一日100~150グラム程度(プレーンヨーグルトの1/3程度)を毎日食べ続けると約2週間で便の臭いが酸味のある臭いに変わり、便中の乳酸菌やビフィズス菌の数の増加が確認されるという報告があります。
ヨーグルトや乳酸飲料は苦手だなという方には、乳酸菌やビフィズス菌を含んだサプリメントが販売されていますので、そちらをお試しください。
摂取量は製品によって異なるようですので、製品説明に併せてご使用ください。サプリメントの場合、時として身体に合わない場合がありますので、摂り始めてからおかしいなと感じたら、直ちにご使用を中止してください。
合言葉は、「野菜・運動・低ストレス」。便秘解消に必要なこと
最後に、便秘についてです。便秘はおならや便臭の臭いが悪くなるだけではなく、お腹が張ったり痛くなったり、お肌や全身状態にも影響しますので、解消する意義はとても大きいのです。
とはいえ、便秘にも程度があり、頑固な便秘は個人の努力では治せない場合がありますので、長期間の習慣性の便秘については、きちんと病院にいって医師の指導の下で治療する必要があります。
比較的短期間(数日~一週間以内)の便秘であれば、生活習慣で改善させることができる場合があります。その際の合言葉は、「野菜・運動・低ストレス」です。
野菜については前述の通りです。ここでは、運動と低ストレスについて説明しますね。
腸の内容物がすくないか、腸の動きが悪いか、あなたはどっち?
便秘は腸の内容物が長く停滞する現象ですが、この原因には2つあります。
- 腸内の内容物が少なく糞便質が溜まらないこと
- 腸の動きが悪くなること
通常は腸内の内容物が増えると腸の内壁を刺激して腸の運動が活発になり、腸が動いて糞便を肛門の方へ押しやる運動(蠕動(ぜんどう)運動)が活発化し排便されます。
便秘の時には、この活動が停滞してしまいます。腸内の内容物を増やすためには、野菜などの繊維質を多く含む食物を沢山摂ることです。ご存知の通り、植物繊維は消化されないので、糞便質を簡単に増やすことができます。
また、糞便質を増やして腸への刺激を強くしても腸の蠕動運動が起きない場合があります。
この原因には不明なことが多いのですが、日ごろの運動不足(軽いジョギングやお腹をねじる運動などでも効果あります)やストレスが原因している場合が知られています。
このことから、日ごろの運動(軽いジョギングやお腹を回転させる運動など軽いものでもよい)とストレスを軽減することを心掛けてみましょう。
「野菜・運動・低ストレス」、この3つを我慢強く続けることで、徐々に便秘から解放されることが期待できます。そして、あの臭いおならからも解放されるのです。
被介護者にはサプリと消臭剤を併せて使ってみよう
介護施設の飽和により、今後は在宅での介護が中心になりそうですが、その際の問題の一つに「臭い」があります。
この臭いとは、被介護者の大小便やおならの臭いのことであり、ベッド上で下のお世話をする限り多かれ少なかれ臭いが家じゅうに広がってしまうのです。
介護者は、まずこの臭いで参ってしまうと言います。また、介護される方も申し訳ないと感じながらも、如何とともしがたいわが身を呪いながらみじめな気持で介護を受ける場合も多く見られます。
介護の場合は被介護者の制限が多いため、先に述べたような生活習慣を改善することでの便臭やおならの臭いを解消することが困難な場合が多くあります。
このような場合には、便臭を少なくするサプリメントを使うことをお勧めします。サプリメントは薬局や大手百貨店の自然食品売り場などで販売されておりますので、最初のご購入の際には専門家にご相談ください。
介護は長期戦のことが多く、ちょっとした問題も積み重なると大きなストレスとなります。
臭いについては、介護のスタート時点から最期までの問題であり、介護者と被介護者の心の溝を大きくする問題に発展する場合がありますので、早期からきちんとした対応が必要と考えます。
おならの臭いに寛容になろう
おならの臭いについて様々な観点から考えてみました。
一見すると、とるに足りないような問題に見えますがおならの臭いを検討していくと、人間関係上の印象を一瞬で変化させる原因であったり、生活習慣の乱れを反映していたり、介護の問題に触れたりで、とても奥行きの広い問題であることがわかりますね。。
人間は動物の一種ですから、どうしても体臭は発生してしまいます。過度に臭いを嫌うあまり人間付き合いの本質である「優しい心」を見失ってはいけないと感じます。
臭いがあっても許せる寛容な心を持つことも大切なことと思います。その上で、自分の臭いには気を付けるような対策を心がけることが肝要だと思われます。
また、おならを臭くしない対策は、生活習慣を改善する対策そのものです。ご自身のご健康を保つ上でもこのエッセイをお役立て下さるとうれしく存じます。
そして、ここまで拙文を読み進めて下さったあなたには心より感謝申し上げます。おならの臭いを通じて健康や介護、そして心の問題などに一歩踏み込んで思いを馳せていただけましたら幸いです。
仁古里 笑 さんのおならに関する記事一覧
- おなら,ガスがくさい…その原因と対策をまとめてみました
- 【専門家が答える】おなら,ガスが止まらない!原因と対処法について
- 【専門家が語る】おならを止める,抑える,減らす方法
- おならの止め方ベスト3:肛門パワーと意志の力が大切なのだ!
- おならを徹底解明しました
この記事の筆者
仁古里 笑 (経営コンサルタント)
1990年代初めから、病院での臨床医学研究、海外大学での基礎医学研究、製薬会社での創薬研究・開発など、20年近く医学・生物学・薬学の研究・開発に携わる。
元々の専門が粘膜免疫であり、腸内細菌と腸の粘膜免疫との関連、そこからの全身疾患への影響などに精通している。
現在は専門を経営学に転じ、病院経営などの支援をしながら、一般の方に向けて身体の仕組みや病気のこと、薬のことなどをわかりやすく説明している。