おならのにおいを薬で改善?なんとか抑えたい方向け
自分や家族のおならに悩んでいる方は意外と多いことが知られています(日経ウーマンオンラインが行ったアンケート調査、2012年)。
このアンケートでは“回数が多い”と“におい”が、二大お悩みの種となっているようです。ここでは、おならのにおいを抑えるための方法についてお話ししたいと思います。
記事の目次
即効性あり! 困ったときの緊急対策
おならのにおいに緊急に対処したいときにはどうしたらいいの? とお考えのあなたに次の三つをご紹介します。
これらはいずれも即効性が高いのですが、あくまでもその場しのぎの対症療法ですので、根本的な解決にはなりません。やめると振り出しに戻りますが、緊急に対処したいときに試してみてはいかがでしょうか。
1. 浣腸で腸にたまっている大便を強制的に排せつさせる
便秘などで大便が腸に大量に貯留していると、おならが臭くなります。これをすぐに解決するには浣腸を使って排便を促す方法があります。浣腸は薬局などで市販されています。
浣腸は医薬品ですので、購入したら箱の中に入っている説明書をよく読み、用法・用量を守って使用してください。長期の使用は副作用などのリスクを高めますので、あくまでも緊急対策として一時的な使用にとどめましょう。
2. 防臭パンツや防臭パッドでにおいが外に漏れるのを防ぐ
においが外に漏れるのが心配なあなたには、防臭パンツや防臭パッドがおすすめです。インターネット上でも販売されていますので、購入時のプライバシーもある程度たもてます。
多くの製品は活性炭(においを吸収する物質)が繊維に織り込んでいて、パッドの中にも入っているので、おならのにおいを吸収し外に漏れ出るのを防いでくれます。
デザイン性に優れたものもありますので、若い女性でも抵抗感なく使えるのではないでしょうか。
3. においを燃やして消臭する
介護などの現場で、被介護者のおならや大便のにおいが室内にこもってしまうことがあります。このような場合に、おならのにおい自体を燃やしてしまうことができます。
マッチを1~2本擦って、火が自然に消えるのを待ちます。するとにおいの大半がなくなっています。
この方法は火を扱いますので、十分な安全確認(防火対策、やけど対策など)をしながら行う必要があります。場所によってはマッチの煙で防災装置が作動し、おならよりもひどい迷惑を周囲にかけてしまう羽目になることもありますのでくれぐれもご注意ください。
少し時間がかかるけど効果が長続き!:サプリメントや便秘薬を利用しよう
効果を少しでも長続きさせたいというあなたには、サプリメントや便秘薬を利用しながらおならのにおいを和らげていく方法をご紹介します。
これらの方法は少し時間がかかりますが(2週間程度)、いったん効果が確認されれば、比較的長い期間維持することが可能です。
1.サプリメント
おならや大便のにおいを抑えるサプリメントが市販されています。多くは腸内環境を整えるための乳酸菌などの善玉菌、食物繊維、栄養素が配合されています。
なかには香料でにおいを封じ込めるというサプリメントもあるようですが、香料が身体に与える影響がよくわかっていませんので、香料入りのサプリメントを使うときには慎重に検討しましょう。
また、サプリメントの効果は人それぞれです。他人には効いても自分には効かないということもあります。
2.便秘薬
おならのにおいがきついというあなた。便秘ではありませんか。便秘が原因でおならのにおいが気になる人は便秘薬を利用するのもひとつの手段です。
便秘薬とは、腸を刺激して排便を促すものです。便秘薬は頑固な便秘を一時的に解消し、生活習慣を改善して便秘を根本的に解消するまでのつなぎ期間に使用する医薬品です。長期間の使用を目的とした薬ではないことを知っておく必要があります。
初めて便秘薬を使う場合、可能な限り医師や薬剤師に相談してからスタートすることをおすすめします。また、便秘薬を長期に使うと依存性が強くなり、副作用のリスクが高まりますので、長期使用(半年以上)している人も一度相談してみるとよいでしょう。
サプリメントも便秘薬も用法・用量を正確に守って使うことが重要です。1カ月程度使ってみて効果がなければ中止してください。また、使用中に“いつもと違うな”“体調がおかしい”と感じたら、直ちに中止して医師や薬剤師に相談しましょう。
じっくり時間をかけて身体の中から治す:生活習慣を改善しよう
おならはそもそも臭いものですが、他人よりも強烈に臭いという人は腸内環境が乱れている可能性があります。腸内環境を整えるためには生活習慣を改善する必要があり、ある程度の時間と本人の努力が必要です。
ここでは腸内環境を整えるための生活習慣の改善方法を二つご紹介します。
1.野菜とヨーグルトをたくさん食べよう!
野菜(特に根菜類)には多くの食物繊維が含まれています。また、ヨーグルトをはじめとした乳酸菌や発酵食品は腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整えることがよく知られています。
肉食中心の人は野菜やヨーグルトをたくさん食べる人に比べて腸内の悪玉菌が多く、おならのにおいがきつくなる傾向があります。
だからといって、お肉大好き! な人が我慢して肉を食べないと、それがストレスになり腸にも悪影響を与えかねません。
肉を食べても、それ以上に意識的に野菜やヨーグルトをたくさんとるように心がけてください。だいたい2週間で効果が現れてきます。
2.便秘を解消しよう! 便秘薬から解放されるための生活習慣
便秘は腸内に大便が長期間大量に貯留している状態で、高度に腐敗が進んだ大便から発生したガスが臭いおならの原因になります。
においの問題だけでなく便秘は全身へ悪影響を及ぼすので、一刻も早く解消しましょう。重度の便秘は病院での専門的な治療が必要ですが、軽い便秘なら生活習慣の改善により解消することが可能です。安易に便秘薬に頼るのではなく、できることから始めてみましょう。
先にお話しした野菜やヨーグルトをたくさん食べることのほかに、水分を十分にとることも日頃から心がけたいものです。
また、軽くてもいいので運動することを日課にしましょう。寝る前の数分の腹筋体操やおなかまわりをグルグル回す体操だけでも効果があります。
日々の肉体的・精神的ストレスも便秘の原因になります。ストレスはため込まないで解消するようにしましょう。これといってストレス解消法がないという人は、自分に合ったストレス解消法を探すことが便秘解消への近道かもしれません。諦めず前向きに何か新しいことを始めてみてはいかがでしょうか。
よい生活習慣でおならのにおいを少なくしよう!
ここまで、おならのにおいを抑える方法として、困ったときの緊急対策、サプリメントや便秘薬、生活習慣の改善についてお話ししてきました。
早速何か一つやってみよう! というのもいいのですが、これらの中からいくつかを取り入れて並行してやってみることでより効果が上がります。サプリメントや便秘薬に頼らなくてもいいように、毎日のよい生活習慣だけでおならのにおいが少なくなることを目指していきましょう。
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この記事の筆者
仁古里 笑 (経営コンサルタント)
1990年代初めから、病院での臨床医学研究、海外大学での基礎医学研究、製薬会社での創薬研究・開発など、20年近く医学・生物学・薬学の研究・開発に携わる。もともとの専門が粘膜免疫であり、腸内細菌と腸の粘膜免疫との関連、そこからの全身疾患への影響などに精通している。
現在は専門を経営学に転じ、病院経営などの支援をしながら、一般の方に向けて身体の仕組みや病気のこと、薬のことなどをわかりやすく説明している。