過敏性腸症候群下痢型との付き合い方【体験談】
過敏性腸症候群という病気はご存じでしょうか?
検査で腸に炎症等の症状が無いのに、下痢・便秘・腹痛・ガスがたまる・オナラが頻繁に出るなどの症状があり、症状が重くなると外出できなくなり日常生活に支障をきたします。
現在39歳、下痢型の過敏性腸症候群です。発症したのは24歳の時。症状が悪化し一時期は外出する事もできなくなり、最初は病気と分からずに苦しみから逃れたいあまりに自殺まで考えるまでになりました。
病院に通い投薬を続け15年病気と付き合ってます。現在は治療効果のかいあって症状が3年出ていませんが、万が一のために外出の際はいろいろ対策をして出発してます。
- 体験者の情報
- 名前:立花かおり(仮名)
年齢:39歳
性別:女性
病気歴:15年
職業:主婦
過敏性腸症候群のタイプ:下痢型
最初の発症は24歳の夏
発症したのは24歳の夏の暑い日でした。
その当時メーカーで会社員をしてました、忙しい部署でしたが、やりがいある仕事でしたので毎日楽しかったです。
ある日の朝、少しおなかの調子が悪く駅のトイレに駆け込み、出ようとした時にまた痛くなりを繰り返してるうちに動けなくなり、その日は仕方なく会社を休み病院に行き「胃腸炎か寝冷え」と言われ整腸剤をもらって、その日は帰宅しました。
同じ症状が続き遅刻しながらも通勤する日々が続き、ある日の朝突然家を出ようとした瞬間、腹痛と動悸(どうき)が襲い、その日から家を出る事ができなくなり会社を休む日がスタートしました。
毎日起きて会社に電話して休む連絡をして寝る日々。そんな毎日に嫌気が差し「楽になりたい」そればかり考え気づけば自殺を考えるまでになってました。
ある日の夕方上司が自宅にお見舞いに来てくれ体の症状を全て話したところ「一度心の病院へ行ってみては、どうだろう」と提案してくれ、ダメ元で病院の門をくぐりました。
病院で体の症状を伝えた所、先生は私の行動を知ってたかの様に、こんな場面で腹痛が起きる例を次々と言い当てました。理解してる人がいる、つらさをわかってくれる人がいる、それだけで心が楽になりました。
診断名「パニック障害」その当時は「過敏性腸症候群」という病名は無かったのです。
希望の光
その日から投薬治療がスタートしました。飲んですぐ効くものでもないのですが、単純な性格もあってか飲み出して5日目から症状が収まり翌週から時間をかけながらも会社にたどりつける様になりました。
上司の配慮もあり1週間後には完全に復職する事ができました。電車に乗っても腹痛が襲ってこない、それだけで1日上機嫌になれるのです。
抗うつ剤を飲み出して1年たった日に先生から薬を辞めて行く治療を勧められ、試した所、すぐ振り出しに戻ってしまいまた投薬を続け気づけば12年たってました。
会社を退職し結婚を機に地元を離れ転院したのですが、新しい先生とは息が合わず、電車に乗る機会もなくなったせいか病院に行くことも薬を飲むことも勝手に辞めてしまいました。
症状は出なかったと言えばうそになりますが、どうにかして、やる過ごす術を身につけてしまいごまかしながら過ごしてましたが、ある日用事で電車に乗ったら突然症状が出てしまい腹痛・過呼吸で途中下車。
いろんな事がフラッシュバックしましたが息の合わない病院には行きたくない、けど症状が悪化したら嫌だ・・インターネットで病院を調べて行こうと検索をかけるのですが、少し田舎の地域なので少し足を伸ばさないと行けない病院ばかりなのです。
そんな時に鍼灸治療を勧める書き込みを見つけ、これでダメなら違う病院を探そうと予約をして近所の鍼灸院へ行きました。そこは夫婦で営む小さな診療所。
病気の事を話し治療をしてもらった翌日から症状が出ず、気づけば3年出ていませんでした。
15年間病気と付きあってきて
長い期間こんなにも下痢型と付きあっていると、これをすればマシになるという事が多少あります。心がザワザワする前の予防策です。
1 カイロを使用する
下痢型は時間の猶予無く突然襲ってきます。お尻の筋肉を引き締めても意味がないのです。
多少の冷えも関係してると思うのでカイロをヘソの下とお尻の上にある仙骨と呼ばれる箇所に貼るタイプのカイロを貼ります。多少ぬくめでおなかの動きを穏やかにする方法です。
2 薬を使用する
抗うつ剤の他に完全に腸の動きを止める、とんぷく薬の様なお守り薬を常時携帯しておきます。乱用は駄目ですが今日だけはという日には前もって飲んでおくと飲んだ安心感から下痢を起こしにくくなります。
3 トイレの確保
トイレに行けない状況になった途端に腹痛が起き、重症化すると、いつでも下痢してる状態になる病気。車の運転中でも、それは起きたりするのです。
近くのお店に飛び込んでトイレに行ければラッキーですがトイレがない高速道路やお店が見当たらない道は、この病気にとっての地獄ロードとなります。
運転中なら、いつでも飛び込めるお店を運転しながら探せますが、乗せてもらってる場合は、少しシートを倒し刺激や負担を少しでもなくしておなかの事を考えない様に景色を見つめましょう。寝られる状況なら寝てしまいましょう。
座席が指定できる電車・映画館等は絶対に通路側に座り、目立つ事無く、いつでも脱出してトイレに行き戻ってきやすい座席を選びましょう。いつでも行ける、それだけで心が穏やかになります。
4 最悪の場合
おなかのセーブが効かない、けど外出しないといけない用事がある場合は、恥ずかしいですが大人用のオムツの薄型と尿取りパッド2枚を着用して外出です。
下痢型の場合最悪、漏れてしまうと取り返しがつかないのでオムツを使いますが量があるので尿取りパッドも必要になります。
大半の下痢を吸収してくれますので、万が一トイレに間に合わなくても服を汚す事もなくトイレに着いてから落ち着いてきれいにする事ができますが1回分だけなので連続して腹痛が襲う場合は早めにトイレに向かい出し切りましょう。
5 飲食は控えめに
食事は消化のいい物をなるべく選び外出先では空腹感がありますが控えめに食事をしてください。刺激物・冷たいものはおなかを乱しますので我慢してください。飲み物も常温か温かい物を飲み低刺激にする事が重要です。
キシリトール入りのガムなども気分を紛らすために食べたりしたい所ですが、取りすぎると腹痛の原因になりますので控えめに。
最後に
過敏性腸症候群は立派な病気です。
「トイレに行きたくなったら行ったらいい」病気に掛かった事がない人は言います。
そうじゃないのです。事前に何度も何度もトイレに行き出し切り大丈夫だと思ってても、トイレに行けない環境に飛び込んだ瞬間に襲って来るのです。
常時お尻に便器を、くっつけておきたい程ピンチになるのです。車はトイレ付きのキャンピングカーに乗りたいと思ってるのです。いつも一緒にいる家族・恋人・友達・会社の同僚等には本当の事を言いましょう。
カミングアウトする事で楽になれます。胸張って何度でも何度でもトイレに行けます。どこか生真面目な性格だったり・変なプライドがあったり・心配性だったりとする事で自律神経の乱れから体の不調が出てきます。
いつでも漏らしていい・何を言われてもいい・深く考えない性格だったら病気に悩むことなく明るい人生しかなかったと思います。
15年付き合ってきて、その大半はトイレの心配しかしてない気がします。
他の悩みなんてトイレの心配からしたら、ちっぽけなものにしか思えないほどトイレの心配をするのです。食べなかったら腹痛は無いなんて大間違いです。
食べなくても・飲まなくても出る時は出るのです。ストレスをためるなと言われてもたまる物はたまります。心配な気持ちを大きくしない事が1番重要かと思います。そしてできるならばトイレに行ける環境を自ら選ぶこと。
抗うつ剤を飲んでる期間は深く考えなくてもいいようになりますので腸に神経が行かないのですが、薬で気持ちをごまかしながらになりますので根本(こんぽん)にある悩み・心配事を取り除かないと結局は治らない病気だと心療内科の先生は言います。
たまたま私は鍼灸治療で症状がおさまりましたが長期間心配していた事だったので、心の何処(どこ)かで「おなかが痛くなったら、どうしよう」という気持ちがいまだ片隅にあります。
完全に治すという事は難しい病気かもしれませんが気持ちを楽な方にもっていく事はできると思います。どの状況が自分自身つらいかを書き出して対策を練るのも一つの方法だと思います。