ストレスからくる「過敏性腸症候群」の治療方法【体験談】
- 体験者の情報
- 名前:齋藤真由美(仮名)
年齢:28歳
性別:女性
病気歴:1年
職業:パート
過敏性腸症候群のタイプ:交代型・ガス型
記事の目次
発症したのは26歳を過ぎた頃
私がおなかに不快感を持つようになったのはちょうど26歳を過ぎたころでした。
初めは何か食べ物を口にした後、食後になるとおなかがパンパンに張るようになり、食べ過ぎておなかが張っているのかと思いましたが、だんだんと症状がエスカレートし、何も食べていない時でもおなかが張るようになってきました。
当時は会社でOLをやっており1日中座り仕事でした。
おなかの張りは気になってはいたものの、なるべく気にしないようにしてそのうち治るだろうと思うようにしていました。
しかしある日のこと、仕事最中に急激におなかがキリキリと痛みだしそのまま座っていることもつらいほど激痛が走ったのです。すぐに上司に状況を説明し、早退して病院へと向かいました。
病院へ到着してレントゲンをとると、腸にガスがたまっているとの診断結果で、もし気になるようであれば後日再検査を勧められました。
その数日後、同じ消化器科で検査を受け、胃カメラも飲みましたが炎症を起こしているところもなく、腸炎などの心配もないとのことでした。
そして、診察結果は「過敏性腸症候群」の可能性が高いとのことでした。その時はじめてこの病名を知ることになったのです。
処方されたお薬とうまく付き合う
当時、私は便秘でも悩まされており、余計にガスをためやすい体質でありました。
便秘でスッキリ排便があれば良いのですが、数日間便秘になるとおなかを下し、また便秘、下痢の繰り返しでした。
便秘の間はもちろんガスがたまりますが、下痢をした後のガスだまりもひどかったです。おなかの不快感がない日を忘れてしまうぐらい頻繁に腹痛、ガスによる膨満感が起こるようになりました。
◆処方された薬
薬の名前 | 効果、効能 | |
便秘対策 | 酸化マグネシウム | お年寄りも服用できる薬で副作用が少なく排便を促します |
おなかのガス対策 | ガスコン | 腸内のガスの泡を破裂させ、ガスを排出させます |
膨満感 | ガスモチン | 食欲不振、胃もたれ、腸を活発に動かすお薬です |
ビオスリーという整腸剤も処方されました。
飲んですぐ劇的に効くといった感じはなかったのですが、おなかにガスがたまった時にガスコンを飲むと、このお薬のおかげでガスだまりが解消される!といった安心感はありました。
日々、膨満感がひどかったのでガスモチンを飲むと食後、おなかが膨れる回数は減ってきましたし、このお薬のせいかはわかりませんが、便秘の頻度が少なくなりました。
副作用を見ると、下痢、軟便とあったのでわたしにはちょうど良かったのかもしれません。(副作用だったのかは定かでありませんが)
あと、便秘が解消された理由には酸化マグネシウムの効果も大きかったと思います。
今までは便秘がひどいと市販の下剤を飲まざるを得なかったのですが、下剤を飲むと効きすぎてしまい結果下痢になり、またガスをためるといった悪循環でした。
過敏性腸症候群が原因で仕事を辞めることに…
それから2週間おきに様子を見ながら通院し1カ月が経過した頃、体重は5キロ痩せていました。
薬を飲みながらうまく付き合っていこうとしたのですが、おなかのガスだまりと、繰り返しやってくる便秘、下痢はなかなか治ってくれませんでした。
身体的にも相当つらかったのですが“良くならない”というストレスから不眠症にも陥り、食欲も減退、体重はズルズル落ちていく一方でした。
消化器科で体重を測定した時に、1カ月で5キロも落ちてしまうのは明らかに正常ではない、一度ゆっくり静養した方が良いと医師から伝えられました。
正直、この頃は体重も減りおなかの不快感で絶食する日もあったので、会社の行き来だけでグッタリしてしまう日も多く体力的に追いついていけていないのを自覚していました。
それから仕事を辞めるか辞めないか本当に迷いましたが、もしこの状態がこのまま続いたら…と思うと恐怖を感じ意を決して会社を辞めることを決断しました。
その時の上司が大変理解ある方で、静養に集中して来いと快く見送ってくれたことは幸いだったと思います。
【心療内科】を勧められる
会社を辞めて過敏性腸症候群について調べる時間もできたので、どうやったら改善できるかあらゆる改善方法や体験談を読みあさりました。
漢方やはりなどの治療も効果的であると読んだので漢方専門医も訪れ、消化器科で処方されている薬と併用して使い始めました。
漢方は飲んですぐ効果が出るものではなく、中には自分には合わず下痢をしてしまうものもあり、自分に合った漢方を探すのがとても大変でした。
ある日、消化器科を受診した時に医師に「一度、心療内科を訪れてみてはいかがでしょうか?」と勧められました。
過敏性腸症候群の人の中には心療内科での薬物治療によって治癒したという体験談ももちろん読んだことはありました。
しかし生まれてこの方、心療内科を受診したことは一度もないですし、自分の中で少し気が引けるところがあったのが本音です。
便秘でガスがたまったり、下痢をしたりしてしまうのが、自分のメンタルのせいで起こっているとは思いづらかったですし、向精神薬のたぐいを飲むのにも抵抗があったので…。
とは言え会社まで辞めましたし、少しでも良くなりたい!という気持ちでいっぱいだったので、紹介してもらった心療内科へ一度受診する決断をしました。
【心療内科】初受診
心療内科は予約制で初めは問診票や今の症状を書き込む数枚の紙を渡されました。
今の症状、服用している薬を書き込み、診察が始まりました。検査では何も悪いところがないのに常におなかの不快に悩まされているということを告げると、この症状は過敏性腸症候群に最も多いタイプだと言われました。
おなかにガスがたまる、便秘の後また下痢がやってくると思うその不安が症状を引き起こし悪循環にはまってしまうのだそうです。
まずは、その不安と取り除いてあげるために、抗不安薬である「リーゼ」というお薬と胃の働きをよくし、抗うつ作用のある「ドグマチール」、寝つきが悪い時は寝る前に「マイスリー」というお薬を処方されました。
正直、過敏性腸症候群になって安定剤を飲むことになると考えてなかったので不安もありましたが、医師からも「そんなに深く考えないで気を楽にしなさい」と言われたので薬物治療を開始することになりました。
過敏性腸症候群の症状がどんどん改善
安定剤と抗うつ剤の服用を始めての数日はあまり変化は見られませんでした。しかし、1週間を過ぎたころからおなかがゴロゴロすることが少なくなってきたのです。
いつもおなかにガスがたまるとゴロゴロしておなかが風船のように膨れることが多々あったのですが、ガスがたまる回数が不思議と減ってきて、そのせいか食欲もわきご飯を食べられるようになっていきました。
どうしても眠れない時は処方された睡眠薬を服用しましたが、以前よりも眠れない日は少なくなり睡眠の質も高まっていくように感じました。
変化があったのはガスだまりだけでなく、便秘の後は必ず下痢がやってきたのが、驚くほど下痢をしなくなったのです。下痢の回数が減ったのでガスもたまりにくくなり、好循環に向いていくのを実感できました。
おなかの調子が良くなることで、ご飯も食べられ、眠ることもでき、気持ちも前向きに持てるようになりました。
現在の経過と気をつけていること
それから3カ月安定剤と抗うつ剤の投薬を続けて腸の不快感はなくなっていきました。医師の判断の下、薬の減薬を始めています。
自分に自信もついたので今では曜日や時間帯を選べるパートタイムで仕事をしています。
職場でガスだまりの不安は完全には消えませんがOL時代に抱えていた不安と比べると精神的にとても身軽になりました。
食欲が出始めた頃から、食事にも気をつけるようになり、便秘対策にすりおろしたリンゴジュースを朝食に飲んだりヨーグルトを食後に取り入れたり。
おやつに油脂分の多いものは控える、夜分遅くに食べない、飲み物は温かいものを選ぶなど自分なりに気を配って食事をするようになりました。
また、便秘症なのでトイレへ行く機会は少なく、ましてや外でトイレは行くのは好きではなかったのですが、医師からそれも便秘を悪化させると言われ便意が催したら外でもトイレへ行くよう心がけました。
今では外でトイレへ行くことにさほど抵抗はなく家まで我慢することはめったにありません。どこの場所にいてもトイレへ行く習慣をつけるのは便秘改善のためにとても大切なことだと思います。
まとめ:おなかの不調を感じたら早めの受診を
自分が過敏性腸症候群になってみて痛感したのは、この病気はストレスとの関わりが大変大きいことです。
おなかの不調を改善するために胃腸薬や下剤(下痢型の方は下痢止め)や調整剤を飲むことから始まると思います。
しかし、わたしの場合はそれでは治癒できなかったので思い切って心療内科へ通院し始めたら劇的な変化を得られることができました。
自分は人一倍まじめで小さい頃から我慢強いところがありました。
過敏性腸症候群が悪化したのも初めは小さな腹痛、ガスだまりから。そこから身体的な痛み、一向に良くならないプレッシャーが重なってより症状を悪化させていたのだと思います。
思い切って仕事を辞めたことも正しい選択であったと思います。
過敏性腸症候群は発症して治るまで(個人差はありますが)時間がかかる病気です。そこで思い切って環境を変化させることも治癒へのひとつの手段だと思います。
おなかの不調を感じたらまず早めの受診をお勧めします。そしてその要因ともなり得そうな事を少しずつ排除していくイメージを持つと良いでしょう。
心身ともになるべくストレスをかけずに長い目でこの病気と付き合っていけば良いと思えば少し心が楽になります。
現在服用しているお薬は完全には断ち切っていませんが、体の調子を見ながら薬を減らしながらマイペースに毎日を送っております。
この記事の筆者
齋藤真由美(仮名)
現在私は36歳で過敏性腸症候群と診断されたのは1年半前のことです。症状は下痢と便秘を交互に繰り返す「交代型」と「ガス型」です。症状が発症したのは26歳を過ぎてからで、内科、消化器科、心療内科、漢方治療、はり治療、などさまざまな分野において治療を試みました。現在は月1度、通院しながらパートで働いています。