過敏性腸症候群はカウンセリングで治せる病気!【体験談】

マロン

「過敏性腸症候群」という言葉を聞いたことがある方は、まだまだそれほど多くはないと思います。中には、自分の病名も分からずに悩んでいる方もいると思います。

今回はそんな過敏性腸症候群というメンタル的な病気を自身の実体験を踏まえながら詳しく説明したいと思います。この病気を知らない方や、この病気で悩まれている方はぜひひとつの体験談として参考にされてみてくださいね。

発症のきっかけはストレス!

そもそも過敏性腸症候群とは、心にストレスがかかりすぎると下痢や便秘を頻繁に引き起こしてしまう病気です。中には、便意を感じるだけでなくおなかにガスがたまる感覚があるという方もいます。

私の場合は下痢とガスの交互型で、高校生のときから現れるようになりました。発症のきっかけはほんのささいな思春期特有の悩みから始まりました。

「テストのシーンとした雰囲気の中でおなかが鳴るのが恥ずかしい」

そんな悩みは、きっと誰でも持ったことがあると思いますが、もともと神経質な体質の私はそれを強く悩みすぎてしまいました。

そうなると、「テスト」という空間が、まず初めに怖くなりました。どれだけ一生懸命に勉強をしても、そのシーンとした空間の中では実力の半分も力が出せずに成績も下がっていきました。

こうして、自分でも気づかないうちに負のスパイラルに陥って、余計にストレスをためこんでしまうのが過敏性腸症候群の怖いところでもあります。

そのうちに「テスト」という限られた空間だけでなく、静かな雰囲気自体が苦手になってしまい、授業中でも過敏性腸症候群の症状が出るようになってしまったのです。

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周りの視線と闘う地獄のような毎日

過敏性腸症候群の症状が出ないようにするためには、私の場合「おなかの音が鳴らないように対策を練る」ということが一番大切でした。

そのため、朝ごはんはなるべく多く食べ、昼食前におなかが鳴るのを防ぐためにパンをこっそり食べたりしていました。

しかし、私を悩ませたのは下痢とガスが不定期に症状に表れることでした。

下痢の時はまだなんとか我慢ができ、おなかの音をかき消せれば悪循環に陥らずに済んだのですが、ガスがたまる日はどう頑張っても症状がよくなることはありませんでした。

そのため、腸にたまったガスを我慢していると、まるでおなかが鳴るような音で体外に放出されてしまうのです。

しかもその音は、普段のおなかの音よりもはるかに大きく、周りから痛い視線を浴びるものでした。きっと周りの視線を気にしてしまうのも、過敏性腸症候群の方特有の性格なのかもしれません。

そうなってしまうと自力で気持ちを切り替えることはできず、その授業中の頭の中はずっと「過敏性腸症候群」のことでいっぱいになっていきました。

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メンタルクリニックの救いの手を求めた日々

受験シーズンが近づいてくると、ストレスもより増し、さらに悪循環に陥っておきました。そんな私が頼ったのが、メンタルクリニックと呼ばれるいわゆる「精神科」です。

初めに扉をたたいた精神科は、診療時間が短くてカウンセリングよりも薬で解決しようというスタンスのところでした。

そこで「ブスコパン」という下痢止めのお薬をもらい、試験前に飲むようになりました。すると、いままでよりも確実に症状がでる頻度が減ったのです。

しかし、薬のデメリットは自分が薬の強さになれてしまい、もっと強い薬を欲しくなってしまうところです。

初めのうちでこそほとんど症状が出なかったのですが、3カ月もすると体が薬に慣れ初めてまた同じように静かな空間で症状が出るようになってしまいました。

そんな私に担当医が出したのは「デパス」と呼ばれる抗うつ剤でした。これにより、私の人生はまた大きくゆがんでいくことになったのです。

薬が手放せない異常な受験生

抗うつ剤を飲むとうそのように気持ちが楽になっていきました。あれほど苦痛だった静かな空間にもストレスを感じなくなり、集中して試験を受けられるようにもなりました。

しかし、この薬にはデメリットがありました。それは服用後に眠くなってしまうことと、常用性が強いことです。

試験前にブスコパンと合わせてこっそり飲み、制服のポケットの中にも忍ばせておくのが私のルールでした。そうしておくと「いつでも飲める安心感」があり、つらいときに頼れるものがあると思えて楽になれたのです。

そして試験中は必至に眠い目を開けて問題を解き、終わったら本気で寝入るという異常な受験生でした。これではいけないと思ったのは、私自身ではなく私の母でした。

驚くべきことに、異常さに気づかずに自分自身ではこのままでいいやと信じて疑わなかったのです。そんな見かねた母に勧められて、私はクリニックを転院することになりました。

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セカンドオピニオンと他人の言葉に気づかされた

そうして転院した2番目のクリニックは、前のところは違ってカウンセリング重視でした。

もともと自分の中で気持ちを抱えやすい私は、人に愚痴や不満を言うことになれていなかったので、まず心の中の感情を吐き出すことから始めていきました。

そして、前の病院と明らかに違ったのは薬の出し方でした。最初に通っていたクリニックでは「つらいならどれだけでも薬は飲んでいいよ」と言われていました。

しかし、今回はきっちりと一カ月の量が決められていて院長先生との月に1回の面談によって薬の量が増えたり減ったりしていきます。

そんな当たり前のことが私には新鮮でした。そして、カウンセリングで言われた言葉の中に今でも印象に残るものがあります。

「人の心にはおわんみたいな器があって、それに入るだけのストレスしかためられないの。だからいま下痢やガスとなって出ているのはおわんから溢(あふ)れたストレスなの。だから頑張ることを少しやめましょう。」

この言葉を言われて、初めて自分が誰かに理解された気がしました。そして同時に「私だけが変なのではないのだな」と思えたのです。

またその時に付き合っていた恋人にも思い切って話をしたことも治療への近道だったと思います。「私ね、静かな場所だとおなかがなったり、ガスがたまったりしちゃうんだ」といった私に彼はこう言いました。

「なにそれ!静かな場所でも笑わせてくれるとか最高じゃん!」と。その一言にはっとさせられた私がいました。

自分の中では重すぎた考え方をしていたので、人から見たその程度の軽さだということに気づき、そうやって笑い飛ばしてしまえばいいのだなと気持ちの切り替え方を学ぶことができたのです。

誰かに話すことでストレスを減らすのが治療への近道

こうして薬の量を徐々に減らし、カウンセリングを2年ほど繰り返した結果、いまではほとんど過敏性腸症候群の症状がでなくなりました。

治療を体験して思ったことは、薬だけの力で過敏性腸症候群を治すことは難しいということです。

過敏性腸症候群は、繊細で物事を気にしすぎてしまう性格の人がかかりやすい病気でもあると言われています。

私のような特定の場面で症状が現れてしまう方は、そうした場面をできるだけ避けて自分の身を守ることもよいと思います。

そしてなによりも過敏性腸症候群を完治させるのに大切なのが、ストレスを減らすことです。

自分の中にためている思いを人に思い切って話してみるのもよいですし、私のようにカウンセリングで自分と向き合ってみるのもひとつの方法です。

その中で「過敏性腸症候群を抱えている自分」というのを認めて、病気とうまく付き合っていけるようになればいまよりももっと生きやすくなるはずです。

こんな同じ病気で悩まれている方は、恥ずかしくて周りの人にあまり言えないという方も多いと思います。

しかし相手に伝えて自分のことを理解してもらえば、過敏性腸症候群の症状が出ても相手の理解があるので、抱えるストレスは軽減されるはずです。

ぜひこれを機に、あらためて過敏性腸症候群という病気とストレスをためないように向き合っていきましょう。

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この記事の筆者

ゆん
現在は静かな図書館が憩いの場になったアラサー女子。
高校生のときから過敏性腸症候群を発症し、テストや授業中などの静かな場面が地獄のように感じられました。
その後、3年ほど治療を続けて現在はほぼ完治した状態ですが、生理前には時々症状が起こることもあります。
メンタルクリニックの怖さやセカンドオピニオンの大切さ、カウンセリングの需要さを、過敏性腸症候群を通して学ぶことができました。
よいメンタルクリニック選びは、過敏性腸症候群完治への近道になることを身を持って体験しました。

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