腸内環境だけじゃない 免疫力アップで病気知らずフェカリス菌
エンテロコッカスとは
私たちの腸内には数百種類もの細菌が生息しており、数でいうと100兆個以上、重さでは1~1・5kgもあります。
これらの菌は種類ごとにまとまって腸内に生息していますが、この状態がお花畑のようなので「腸内フローラ=腸内細菌叢(そう)」といわれます。
腸内細菌叢(そう)のバランスが私たちの健康を左右します。人に良い働きをする善玉菌、悪影響を与える悪玉菌、そして中間の立場でいる日和見菌です。
ベストバランスは善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7です。ただし日和見菌は中間の立場に存在しているため、善玉菌が優位になれば善玉菌、悪玉菌が優位になれば悪玉菌へと傾いてしまいます。
腸内の数百種類もの菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分類されますが、全ての菌がわかっているわけではないので、未知の菌もたくさんいます。
乳酸菌は分類学上では12属以上に分かれており、菌の存在する場所や形状で名前が決まり〇〇属と大きく分かれます。
さらに各菌の特徴から同じ〇〇属に存在していても、いろいろな菌がいるため〇〇菌となり、さらに特徴ごと〇〇株と細かく分かれます。
ひとことで乳酸菌やビフィズス菌といってもたくさんある菌の総称なので、菌や菌株によって体内で存在しやすい場所や働きが異なってきます。
エンテロコッカスとはエンテロが腸内、コッカスが球状という意味なので腸球菌とも言われます。エンテロコッカスはもともと人由来の菌で特に空腸、回腸、大腸の下降結腸に存在しています。
十二指腸、空腸、回腸を合わせて小腸といいますが、長さは約6mです。十二指腸は約12本分の長さでたとえられるので、エンテロコッカスはほぼ小腸に存在するともいえます。
小腸は消化された食べ物から私たちの体にとって必要な栄養素を吸収する働きをしています。
そのため、とても細かいひだ状になっており広げるとテニスコート1面分といわれます。それだけ細かいひだ状になっているので大きな粒子のままだと吸収されにくいです。
フェカリス菌とは
エンテロコッカス属はさらに細かく分類していくとたくさんの菌(種)が存在します。その中の一つがフェカリス種、つまりフェカリス菌です。
フェカリス菌もさらに細かく分類するとEC―12株、EF-2001株、FK-23株、EF-621K株とさまざまです。
フェカリス菌の大きな特徴はとても小さな球状で、しかも死菌であるということです。この特徴が今までの乳酸菌とは異なり、さらに私たちへの免疫力向上に役立ち健康を維持してくれます。
免疫力向上に役立つフェカリス菌のような菌をバイオジェニックスといい、プロバイオティクスとは違った働きをしています。
フェカリス菌のサイズは500ナノメートル(1/2000mm)で通常の乳酸菌の1/5の大きさです。
乳酸菌なのになぜここまで小さいかというとフェカリス菌はヨーグルトなどに通常使用されているヨーグルトなどの生菌ではなく死菌のため小さいです。サイズが小さいので小腸の細かいひだ状の中にもしっかり入り込みやすいです。
今までは生菌で生きたまま腸に届かないと意味がない、役立たないと言われてきましたが、実は腸内の免疫に働きかけるのは菌の細胞壁にあるペプチドグリカンやリポタイコ酸などの物質です。
そのため生菌でも死菌でも腸の免疫を活性化させるにはどちらでも差がありません。
生菌は胃酸や胆汁酸などで死滅されやすく、たくさん食べると下痢などの副作用があります。
しかし死菌は加熱処理をしているため病原性もなく、酸や熱に安定し、さらに細胞壁だけを抽出できるので体積もへり一度に大量摂取できます。死菌は免疫活性だけではなく、善玉菌のエサにもなるので結果的に腸内環境は改善されます。
フェカリス菌の働き
体内にウイルスや細菌などが入ってもすぐに風邪など病気にならないのは、私たちのからだには免疫機能が備わっているからです。この免疫機能の約70%が腸に集まっています。腸内環境が良ければ病気になりにくいということです。
腸管免疫の総司令部の働きをしているのが、小腸内にあるパイエル板です。パイエル板は病原菌が体内に入らないようにするためブロックの役割をするIgA抗体を分泌させて排除します。
それにより私たちのからだは常に守られています。生菌の乳酸菌もパイエル板に働きかけますが、やや大きいためしっかりは働きかけにくいです。
しかし死菌であるフェカリス菌は生菌の1/5とかなり小さいためしっかりとパイエル板に働きかけることができるので、より免疫力を高められます。
さらに細菌の細胞壁は白血球を活性化させる成分です。すなわちフェカリス菌は白血球も活性化させるので免疫力がかなり高くなる乳酸菌です。
実際にフェカリス菌を摂取し続け抗体を調べると腸粘液からはIgA抗体、血液からは生体防御機能であるIgG抗体が優位に上昇しています。つまり免疫が高まっていることになります。
そのため免疫力が高まれば花粉症などのアレルギー症状が緩和されます。
フェカリス菌の効果
脂質異常を正常に保持、改善
高コレステロールの人の便中にはエンテロコッカスやラクトバチルスが少ないです。フェカリス菌を摂り続けると、便中のエンテロコッカスなどが増え、コレステロールや中性脂肪が下がります。
動脈硬化の予防
コレステロールや中性脂肪が高い状態が続くと血管が硬くなり脂肪がつまりやすくなるため動脈硬化になりやすくなります。フェカリス菌を摂取しコレステロールが減ると動脈硬化の予防になります。
整腸作用
フェカリス菌は定着性がとても高く、腸内にいる間に増殖し活発に活動します。フェカリス菌は死菌のため善玉菌のエサとなり善玉菌を増やします。
善玉菌が増えると乳酸を産生するため、腸内が酸性になるので悪玉菌の増殖が抑えられ、腸へ刺激もいき便通も良くなります。善玉菌のサポートをして腸内環境を整えます。
その他肝臓や腎臓の健康保持、体力増強、血圧低下など私たちの健康づくりには欠かせない役割をしています。
フェカリス菌の選び方
加熱殺菌されているためサプリメントなどあらゆる食品に利用されています。
フェカリス菌単品ではなく、ビフィズス菌や他の乳酸菌、プレバイオティクスであるオリゴ糖や食物繊維など配合されているものを購入し、小腸から大腸までに働きかけることが大切です。
病気を進行させないためには免疫力を低下させないことです。そのためにも腸内環境を整えて腸管免疫を活発にすることです。