長寿の秘訣 健康効果がすごいクレモリス菌
クレモリス菌とは
ブームになったカスピ海ヨーグルトをつくる乳酸菌がクレモリス菌です。
世界三大長寿地域のひとつカスピ海と黒海の間のコーカサス地方から京都大学の家森幸男先生が持ち帰ってきて、友人へと菌株を分けてカスピ海ヨーグルトは広まりました。
クレモリス菌により腸内環境が整うので、偏った食事、不規則な生活、ストレスなどから起こるさまざまな症状を緩和して健康に役立ちます。
クレモリス菌の特徴は乳酸をつくる力が強く、カスピ海ヨーグルトをつくるうえでも必要な菌です。他の乳酸菌と異なり常温で増殖でき、発酵中に粘りのある物質を産生します。
カスピ海ヨーグルトの触感と風味の特徴とも言えるこのとろみ(粘り)成分はEPS(エキソポリサッカライド)といい、私たちの健康効果をもたらしてくれる物質です。
粘りによる健康への働きは免疫細胞を活性化、ストレスによる肌機能の低下を改善、食後の血糖値の上昇を緩やかにする、飲み込みが衰えた方への食品などさまざまです。
粘りができる過程はカスピ海ヨーグルトを発酵するときに牛乳中の乳糖が多糖へと変化し、網目状構造をとりヨーグルトのたんぱく質成分と絡みます。
これが粘り成分の元ですが、人の消化酵素で分解されないため腸まで届きやすき、より健康効果を発揮しやすいです。
乳酸菌の中で唯一大腸まで届くプロバイオティクスであり、クレモリス菌を摂るのをやめてしまっても、2週間後までは便から検出されます。
クレモリス菌の有名な菌株はGCL1176株とFC株です。それぞれの菌株により私たちへの働きかけも異なります。
GCL1176株とは
高い整腸作用で排便習慣を改善
毎日100gずつ4週間食べ続けたところ、摂取前と比べると排便回数、便の量が増えたという結果が出ています。これにより排便習慣の改善や便秘予防や解消に役立つといえます。
便秘はおなかが苦しくなるだけではなく、腸内の有害物質が血液を通って全身に巡るため、ニキビ、肌荒れ、吹き出物など肌トラブルの原因にもなります。便秘が改善されると肌トラブルも良くなります。
コレステロール値を低下
コレステロールが上がる原因は食事などからコレステロールを摂る量が増えるため増加する場合(外因性)と体内の代謝のバランスが崩れることで体外へ排出する量が低下し血清コレステロールが上昇する(内因性)の二つが原因です。
高コレステロール食にクレモリス菌GCL1176株を混ぜて食べたラットはコレステロールが上がりませんでした。GCL1176株にはコレステロール濃度の上昇を抑制する働きがあります。
代謝のバランスが崩れているラットにGCL1176株を与え続けたところ、与えなかったラットに比べて血清コレステロール値が低くなっていました。内因性のコレステロール上昇を抑える働きがあるといえます。
GCL1176株は中性ステロールや総胆汁酸の排出を促進するので、その働きにより血清コレステロール値を低下させます。
悪玉(LDL)コレステロールの上昇は動脈硬化の原因になります。GCL1176株の摂取により悪玉コレステロールの上昇が抑えられているので動脈硬化を予防できます。
アレルギー症状の緩和と予防
GCL1176株がつくる粘り成分が免疫細胞を刺激する働きあります。さらにアレルギーの指標の一つであるIgE抗体濃度の上昇が抑えられました。花粉などの異物が体内に入るとIgE抗体が大量につくられます。
するとヒスタミンなどのアレルギー物質が放出されるのでかゆみや鼻水などがでます。つまりIgE抗体の濃度が高いほどアレルギーの症状がでるので、上昇が抑えられればアレルギー症状の緩和や予防に役立ちます。
FC株
血糖値の急激な上昇を抑える
FC株の粘りのあるヨーグルトを摂ったマウスは、血糖値の上昇が緩やかでした。この粘り成分は人の消化酵素で分解されないので、食物繊維と同じように小腸での糖の吸収が抑制されたと考えられています。
血糖値の上昇が抑えられると、糖尿病の予防だけではなく体脂肪がたまりやすい人や肥満予防にも役立ちます。
血糖値の急激な上昇は血糖値を下げる働きのある膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンがたくさん出てしまいます。
それを繰り返していると糖がエネルギーとして使われないので脂肪として蓄えられていっていまします。FC株により血糖値の上昇が緩やかになれば脂肪もつきにくくなります。
飲み込み機能が低下した方への食品にも適している
年をとると飲み込み機能が低下し、食べ物をかんで飲み込む際に間違って気管に入ってしまうことがあります。これにより誤嚥(ごえん)性肺炎を招きます。
粘り成分は他のヨーグルトと比べると口の中でのばらつきがなく、飲み込んだ後も咽頭への残留が少ないことから、飲み込みが難しい方へもおすすめできる食品です。
ストレスによる肌機能の低下を予防
肌はストレスの影響をとても受けやすく、皮膚の血流量や水分を保つ機能が低下します。FC株の粘り成分を摂り続けたところ皮膚の再生率が上がりました。
インフルエンザ対策に効果
FC株がつくる粘り成分には免疫活性作用があります。免疫機能は自分のからだを守ろうとする働きです。免疫機能が低下してしまうと、風邪やインフルエンザなどさまざま病気になりやすくなります。
免疫活性作用により健康なからだ作りができます。