腸内細菌の栄養源
腸内環境を改善するために、善玉の腸内細菌の栄養源を知りたい方がいらっしゃるのではないでしょうか?
また、反対に腸内環境の悪化を防ぐために、悪玉の腸内細菌の栄養源を知りたいという方もいらっしゃると思います。
腸内環境を良い状態に維持するためには、善玉、悪玉それぞれの腸内細菌が、どのような栄養源で活性化するか、について知っておく必要があるでしょう。
そこで今回は、善玉菌、悪玉菌それぞれの腸内細菌にとって栄養源となる成分や、その摂取方法についてご紹介します。
腸内細菌の種類ごとに栄養源が異なる
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の三種類に分けられます。
端的にいうと、善玉菌は、腸内環境を良い状態に維持するために役立つ種類の腸内細菌です。
逆に悪玉菌は、腸内環境を悪化させる作用がある種類の腸内細菌のことを指します。
日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち勢力の強いどちらか一方になびくので今回の話ではあまり重要ではありません。
ですので、ここではとりあえず、善玉菌を活性化させる栄養源と、悪玉菌を活性化させる栄養源が異なるということを頭に入れておいてください。
そうした栄養源は主に食事によって私たちの体の中に取り入れられています。
腸内細菌の栄養源は食事から
私たちは普段、腸内細菌の栄養源となる成分を食事で摂取しています。
腸内細菌も生き物ですから、なにも食べることなく生きることはできません。
ですので腸内細菌は、腸に届いた食べ物から栄養を摂っています。
普段の食事で、どのような成分を摂取しているかあまり気にしない方もいらっしゃると思います。
基本的には、バランスのよい食事を取っていれば、問題ありません。
しかし、知らず知らずのうちに、腸内環境を悪化させる成分を摂取しているかもしれません。
ここからは、腸内細菌にとって栄養源となる成分を、善玉菌と悪玉菌に分けてそれぞれご紹介します。
善玉菌の場合
善玉菌の栄養源として最も重要な成分は、オリゴ糖です。
善玉菌は、糖を分解して乳酸を作り出し、腸内を酸性の状態にすることで悪玉菌の増殖を防いでいます。
オリゴ糖は、腸内へ届きやすく、善玉菌専用の栄養源になるので、効率的に善玉菌を活性化してくれます。
また、オリゴ糖以外の成分では、不溶性の食物繊維も、善玉菌エサになり栄養源としてうってつけの成分です。
続いて、これらの成分は、どのように摂取すればよいかについてご紹介します。
オリゴ糖の摂取方法
オリゴ糖は、自然の食材から摂る方法と、オリゴ糖そのものを摂る方法があります。
オリゴ糖は、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖のように一種類ではなく複数種類あります。
また、腸内細菌の種類によってどのオリゴ糖が適しているかは異なります。
ですので、オリゴ糖を摂取する際は、なるべく複数種のオリゴ糖を摂取するように心がけてください。
オリゴ糖そのものを摂取する場合には、ヨーグルトと一緒に摂取することがおすすめです。
ヨーグルトには、ビフィズス菌をはじめとする乳酸菌などの善玉菌が豊富に含まれているからです。
オリゴ糖について更に詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
食物繊維の摂取方法
オリゴ糖以外で善玉菌の栄養源になる成分に食物繊維があります。
食物繊維は、水分を多く含む水溶性食物繊維と、水分をあまり含まない不溶性食物繊維の二種類に分けられます。
どちらも、腸内環境を整えるという意味では重要ですが、善玉菌の栄養源になるのは、水溶性食物繊維です。
また、水溶性食物繊維は、水分を含んでいるので、腸内の便を柔らかくし、便秘の症状を緩和する作用もあります。
ちなみに、不溶性食物繊維は、便のかさ増し作用があるのですが、あまり水分を含んでいない繊維質なので、便秘には効果的とはいえません。
食物繊維について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
摂取によって期待できる効果
善玉菌の栄養源となる成分を摂取すると、様々な効果が期待できます。
期待できる効果としては以下のようなものが、考えられます。
期待できる効果
- 便通の改善
- 免疫力の向上
- 肌荒れの解消
- アレルギー症状の緩和
- 重大疾病の予防
善玉菌は、糖を乳酸や酢酸に変えて腸内を酸性の状態に維持する役割を担っています。
善玉菌に栄養源が行き届けば、腸内が酸性の状態に維持され、悪玉菌の増殖を防ぐことができます。
腸内環境が良い状態だと、腸のぜん動運動が活発になり、便秘の解消にも繋がります。
また、腸は免疫力に関わりのある器官で、腸の状態を良くすることは、免疫力の向上に繋がります。
悪玉菌の場合
悪玉菌の栄養源になる成分は、悪玉菌に良い働きをさせる成分と、悪い働きをさせる成分の2種類があります。
まず、善玉菌に良い働きをさせる成分は、食物繊維です。
食物繊維に含まれるセルロースは、人間の力だけでは分解できない成分です。
悪玉菌にセルロースを分解させることで、人間に害を与えるような作用をさせにくくします。
一方で、悪玉菌に悪い働きをさせる成分は、肉類などから摂取するタンパク質です。
悪玉菌は、腸内のタンパク質を腐敗させ、有害物質を生成します。
タンパク質は、人間にとって必須の栄養源ではありますが、摂りすぎは悪玉菌に悪い働きをさせる原因になります。
対策すべきはタンパク質の摂取
食物繊維の摂取方法については、善玉菌のところでご紹介したとおりです。
一つ付け加えるとしたら、食物繊維も摂りすぎると、弊害が現れますので注意してください。
対策しなければならないのは、タンパク質の摂取についてです。
食生活が欧米型になっている現代の日本人には、肉類を摂りすぎる傾向があると言われています。
先ほどご紹介したように、肉類を摂り過ぎると、腸内でタンパク質が腐敗し、悪玉菌が増殖します。
普段の食生活では、必要な分だけのタンパク質を、肉、魚、植物からバランス良く摂取するように心がけてください。
タンパク質の摂り過ぎによる影響
肉類などのタンパク質を摂りすぎると、悪玉菌が腸内でタンパク質を分解し、有害物質を生成します。
そうした有害物質は、腸から血液中に溶け込み全身を巡ります。
結果的には、タンパク質の過剰摂取によって、以下のような悪影響が出る可能性があります。
悪影響の例
- 便秘の症状悪化
- 肌荒れ
- 体臭・口臭の悪化
- 免疫力の低下
- 重大疾病の発症リスク増加
有害物質が血液に溶け込んで全身をめぐることで、腸以外の場所にも悪影響が出ます。
また、悪玉菌のなかには、ガンを引き起こす作用を持った種類があることも分かっています。
タンパク質の摂り過ぎで、腸内の腐敗が進むと、腸内がアルカリ性の状態になり、悪玉菌が増殖し易い環境になります。
結果的に、ガンなどの重大疾病にかかるリスクが増加してしまうのです。
まとめ:摂るべき成分はオリゴ糖と食物繊維
今回は、腸内細菌の栄養源について、善玉菌と悪玉菌に分けてご紹介しました。
善玉菌の栄養源になるのは、オリゴ糖と、水溶性食物繊維です。
これらの成分をバランス良く摂取することで、腸内環境を良い状態に保つことができます。
また、肉類などのタンパク質を過剰に摂取することで、悪玉菌が増殖します。
悪玉菌が増殖すると、私たちの健康に様々な悪影響が出ますので、注意してください。
オリゴ糖と食物繊維の摂取を心がけて、腸内の善玉菌を活性化してあげましょう。