腸年齢を若返らせる3つの方法
腸年齢という言葉をご存知でしょうか?
例えば、肌年齢や血管年齢などのように、”なにがし年齢”という単語がつく言葉はいくつかありますが、これらに共通することは、年齢とともに機能が弱くなっているということです。
腸年齢という言葉があるように、腸も同じで、加齢により徐々にですが機能低下していきます。
年とともに、「脂っこい物が苦手になってきた」「少し多めに食べるとお腹の具合がすぐに悪くなるようになってきた」というような経験はありませんか?
腸が加齢により機能低下を起こしますと、腹痛を起こしやすくなるだけでなく、下痢や便秘などの排便の際の異常、そして更には体全体の健康にもさまざまな影響を及ぼします。
そこで、腸の老化を遅らせるために、ひいては若返りを図るために、しっかりと対策をたてて、健康な身体をつくっていきましょう。
腸年齢とは?
腸年齢とは、実年齢と比較したときに、腸の老化がどの程度なのかをあらわすバロメータです。
腸は、身体の他の部分と比べて老化するスピードが速いという特性があります。
しかし、現時点での腸の状態をきちんと把握し、しっかりと対策を講じることで、老化を遅らせることが出来るだけでなく、実年齢と比べて若返らせることもできます。
免疫力という言葉をご存知ですか?
免疫とは、身体が持っている細菌などの異物が体内に侵入してきた時に、それを排除して身体の状態を健康に保つための機構です。
そして免疫力とは、免疫を発揮する能力を意味しています。
腸は、食べ物を消化吸収する働き以外に、この免疫力を発揮するために重要な役割を担っています。
腸年齢が実年齢以上に上がってくると、腸の老化が進んでいることを意味します。
そうした状態になりますと、消化吸収の力が低下し体力が下がるだけでなく、免疫力も減退し、身体全体の不調をきたす原因となってしまいます。
ひいては、生命に関わる様な大きな病気を起こすことにつながってくるような場合もあります。
では、その腸年齢を左右する要素ってなんでしょうか?
実は、腸年齢にはお腹の状態、すなわち腸内環境が密接に関与しています。
例えば、お腹の中には腸内細菌とよばれる細菌が生息しています。
腸内細菌には善玉菌と悪玉菌という分け方をすることが出来るのですが、この善玉菌と悪玉菌のバランスなどが腸内環境に影響しています。
もし、悪玉菌が善玉菌と比べて多くなってくると、腸内環境が悪化し、腸年齢も実年齢以上に上がってしまいます。
腸内細菌以外にも生活習慣や食生活、運動不足、ストレスやたばこなども、腸内環境に悪影響をもたらす要因といわれています。
言い換えれば、これらは腸年齢にも影響を及ぼす要因でもあるわけです。
そして、腸年齢が上がってきますと、腸の中で食べ物を運ぶ機能が低下します。
消化吸収を受けた食べ物の残りが腸の中に停滞しやすくなります。
そうしますと、腸内で腐敗が進行し、有害物質がつくられる元になります。
こうした有害物質は、腸内環境を悪化させ、腸内細菌にも影響してしまいます。
この結果、更に腸年齢が上昇するという悪循環に陥ってしまいます。
腸年齢のチェック方法とは?
腸年齢のチェックシートを用いて判定しましょう。
食事関連の質問
- 朝食をきちんと食べていない
- 食事の時間は、定まっていない
- 食事は短時間で済ませてしまうことが多い。
- 軟らかい物をあまり噛まずに飲み込む様な食事が多い。
- ヨーグルトやチーズなどの発酵性乳製品をあまり食べない
- 肉類中心の食事である
- 脂っこい食事が好き
- 野菜をあまり食べていない
- 外食中心の食事になりがちである。
生活習慣関連の質問
- たばこを吸う
- 運動をあまりしない
- 睡眠不足である
- 寝ている途中で目が覚める
- おならがくさい
- ストレスを多く感じる
- 吹き出物が出やすい、または肌が荒れやすい
- 年の割に老けてみられることが多い
トイレ関連の質問
- 便秘である
- 排便しても残っている感じがしてすっきりしない
- 下痢っぽい
- 便がくさい
- 便の形が、ころころした球形である
判定方法
チェック数 | 腸年齢 |
---|---|
1〜4個 | 腸年齢と実年齢は等しいです。 |
5〜9個 | 腸年齢は実年齢より10歳上です。 |
10〜14個 | 腸年齢は実年齢より20歳上です。 |
15個〜 | 腸年齢は実年齢より30歳上です。 |
腸年齢の若返る方法とは?
腸年齢は、食生活をはじめとして、日常の生活習慣の影響を受けやすい傾向があります。
言い換えれば、日々の生活習慣を見直すことが出来れば、腸内環境を加齢から守り、若返らせることも夢ではありません。
そこで、腸年齢を若返らせるためのポイントをまとめてみました。
①食生活の見直し
■規則正しく食べる
1日3回の食事の際に、出来るだけ同じ時間に食べるようにすることを心がけましょう。
時間がそろっていないと、排便のリズムが乱れます。
乱れますと、腸の働きも影響されます。
また食事は、軟らかいものよりもかたちのある噛みごたえのあるものを、しっかりと噛んで食べましょう。
■朝食をきちんと食べる
朝食を毎日、きちんと食べましょう。
忙しくても短時間ですませる事なく、ゆっくり噛んで、食べるようにしましょう。
■食べ物にも気を配る
発酵食品や食物繊維の豊富な食べ物を食べることは、腸内環境にとってとても大切なことです。
ヨーグルトやチーズ、納豆などの発酵食品、野菜や果物などの食物繊維の豊富な食品は腸内細菌の善玉菌を増やす効果があります。
積極的に食べるようにしましょう。
インスタント食品や脂っこい食事に偏らないように注意してください。
②生活習慣の見直し
■運動
身体をあまり動かさない人に、特に寝たきりの人は顕著なのですが、便秘の傾向が高くなることはご存知ですか?
一見すると無関係な様ですが、身体を動かすことと、腸の動きは密接につながっているのです。
そこで、日々の生活習慣に運動を取り入れてみることは、町内環境の改善に効果的です。
運動をすることで、腸の動きが良くなってきます。
腸の動きが良くなれば、お腹の中での食べ物の運び出しもスムーズになり、たまりにくくなります。
その結果、腸内環境が改善されます。
ただし、運動量は適切であることが大切です。
無理な運動はかえって身体を悪くします。
体調に見合った適度な運動を続けるように習慣づけて腸年齢を若返らせましょう。
■睡眠
睡眠も腸内環境に関わる要素の一つです。
徹夜で仕事をしたときなど、眠たい時に寝ずに起き続けて何かを頑張っていた時に、お腹の辺りがむずむずとしてきた経験ってありませんか?
このように腸内環境と睡眠は関連性があるのです。
もし、睡眠が不足してくると、それにつれて腸内環境も悪化してきます。
その結果、お腹の動きが悪くなり、便秘がちになったり、反対に下痢を起こしたりしてきます。
睡眠時間を十分に確保し、かつ睡眠の室も高め、身体を休めることで、腸内環境も整え、腸年齢を若返らせていきましょう。
■たばこ
たばこは、腸内環境を悪化させ、腸年齢を上げる要因です。
しかも、腸内環境だけでなく、身体全体の健康にも悪影響を及ぼします。
喫煙の習慣があるなら、禁煙を試みましょう。
③ストレスを軽くする
ストレスも腸内環境に影響を及ぼします。
しかし、ストレスのない生活はありません。
誰もが程度の差はあれどもストレスを感じています。
そこでストレスを感じなくするのではなく、ストレスをためないようにすることが肝要です。
そのために、ストレスを発散する方法を見つけて、適度にストレスを発散させ、腸年齢を下げるようにしましょう。
この記事の筆者
腸内細菌博士
1977年生まれ。京都大学・大学院にて分子細胞生物学を専攻。腸による脂質代謝や栄養吸収を細胞レベルで研究、また腸に関連する疾患の予防、治療方法の基礎研究に従事。
ほか、腸の働きと関連性のある自律神経系や免疫システムについては、現在も米国科学雑誌等で最新研究動向をウォッチ中。現在、米国にてMBA留学中。