【鮮血?】便秘で出血、痔の種類と対処法
便秘中にトイレで頑張っていきんだら、便ではなくいきなり肛門から出血してびっくりしたという経験がある方も少なくないのでは?
しかもトイレットペーパーにちょっと付くというレベルではなく、便器の中が真っ赤になってしまったなんてことも。
こんな出血があるとショックですよね。何か重大な病気かもしれないと心配になることでしょう。
排便時に出血がある場合、大腸ガンが疑われることがあります。
しかし、出血の原因は痔であることが大半です。痔には大きく分けて3種類あります。
切れ痔は若い女性の敵
便秘がちな若い女性に一番多いのが切れ痔(裂肛(れっこう))です。
便秘になり大腸の中で便がとどまり続けると、便の水分がすっかり奪われてしまい、その結果、ウサギのふんのようなコロコロうんちになってしまいます。
このコロコロうんちによって肛門が切れたり裂けたりするのが切れ痔です。
症状は主に出血で、トイレットペーパーにわずかに血が付く程度のものから便器の中が真っ赤に染まるほどの出血までさまざまです。
肛門に近い位置で切れているので鮮血(真っ赤な血)であることが特徴です。また、排便時に肛門に激しい痛みを伴います。
この場合、患部に直接薬を塗ったり、座薬を使ったり、便を軟らかくする薬を飲んだりという治療法で症状を改善できます。
切れ痔をそのままにしておくと慢性化し、肛門括約筋が緊張して便が肛門まできているのに肛門がうまく開かなくなり肛門狭窄(きょうさく)を起こすことがあります。
ここまで進むと手術が必要な場合もあるので、早めに治療することが望まれます。
あな痔は便秘と下痢を繰り返す
あな痔(痔ろう)は便秘と下痢を繰り返す人がなりやすいと言われています。
粘膜と皮膚の境界線(歯状線)にある小さなくぼみに便が入り込んでしまうことによって炎症が起こります。
化膿(かのう)した状態(肛門周囲膿瘍)を繰り返すと肛門に膿(うみ)のトンネルができてしまいます。これがあな痔です。
主な症状は、肛門周囲が腫れて激しく痛む、高熱が出る、膿が出るなどです。
化膿した部分を切開し膿を出すと一時的に改善しますが、何度も繰り返して最終的に痔ろうにまで進んでしまうことがあります。
痔ろうの治療は手術になるので、その前段階での完治を目指し、早めに受診することが大切です。
大量出血したら、いぼ痔を疑え
いぼ痔(痔核(じかく))は、痔の中でもっとも多くみられます。
便秘がちな人、長時間座ったままの姿勢で仕事をする人に多いようです。妊娠・出産がきっかけになることもあります。
便秘などが原因で肛門周囲の静脈がうっ血し、こぶのようになってしまうことがあります。
このうち、歯状線(粘膜と皮膚の境界線)より内側にこぶができたものを内痔核、外側にできたものを外痔核といいます。
内痔核が小さいうちはほとんど自覚症状がないのですが、大きくなってくると排便時にこすれて肛門から出血します。
大量に出血して驚くような場合はいぼ痔であることが多いようです。
また、内痔核が肛門の外に飛び出てくるようになることもあります。指で押しても肛門内に戻らなくなると手術が必要です。
長時間座ったままで仕事をしていて便秘がちな人は、どうしても便に押されて静脈がうっ血しやすくなるようです。
便秘解消を目指すとともに1時間に1回は立ち上がって腰を回すなどの運動を心がけましょう。
痔ではないのに排便時に出血があったら
ガン以外の腸疾患が原因の出血
痔以外に、良性の腸疾患が原因となっている便秘・出血があります。多いのは大腸ポリープなどの良性腫瘍、大腸炎などです。
スムーズに排便できたと思ったのに血が出ている、“鮮血がポタポタ”ではなく便そのものに血が付着しているなどの場合は、痔ではなくこれらの腸疾患の可能性があります。
便秘により症状をどんどん悪化させていくことも考えられますので、早めに受診して原因を特定してもらうことが必要です。
うんちに黒い血が付いていたらガンの危険も!
ガンのできた部位にもよりますが、痔の場合よりも便が黒ずんでいることが多いのが特徴です。
それほど大量に出血することはありませんので、軽い切れ痔かなと思いがちですが、便が黒ずんでいるように見える、便自体に血がこびりついた感じがあるときなどはガンを疑ってみることが重要です。
ですが、便秘などが原因で痔になっている人の場合、痔による出血だと思い込んでしまいガンの症状に気付かないことも多いので特に注意が必要です。
便秘をしているから便が黒ずんでいるのか、血が混じっているから黒いのかは見ただけで判断できません。
便の状態が気になったら、すぐに受診しましょう。
重大な疾患を見落とさないためにも、便秘を慢性化させないことがとても重要になります。
便秘で出血しないよう便を軟らかくしよう
もちろん便秘を解消することが1番の解決策です。でも、一気に便秘を解消するのは難しいですよね。
まずは、便秘になっても排便のときに出血しないようにする対策を考えましょう。
便秘をするとコロコロうんちが原因で切れ痔になりやすくなりますから、まずは便を軟らかくすることを心がけましょう。
こまめに水分を補給すること、水溶性食物繊維(寒天やこんにゃく、海藻類)をとること、マグネシウム系の便秘薬を飲むことなどが代表的な対策法になります。
またストレスによる自律神経の乱れもコロコロうんちの原因になります。
食生活だけでなく日頃の生活習慣も見直し、便秘の解消に取り組みましょう。
気を付けたいのは、自己判断で重大な病気の発見を遅らせてしまうことです。
気になる症状があったら早めに病院を受診しましょう。痔の治療も専門医のアドバイスがあるとスムーズです。
この記事の筆者
深山佳代(仮名)
1978年生まれのアラフォー主婦。
若いころから便秘持ちで食事改善、漢方、ツボ押し、薬など、トライした改善方法は数知れず。
便秘に「苦しむ」「悩む」「だから調べる」を繰り返しているうちに、専門家も真っ青な便秘への知見を身につける。
元の趣味はネイルだったが、悲しいかなトイレ周りの環境を快適化させるのが現在の趣味に。
この世からなくなった生きていけないものは「ウオッシュレット」。TOTOの株主。