腸内環境の改善で免疫力を高める方法
みなさんの体では、病原菌やウィルスから、身を守るために免疫というメカニズムが働いています。
実は、その免疫機能の6割が腸に集まっているのです。
そのため、免疫力を維持するためには、腸内環境のケアが欠かせません。
また、普段体調を崩しやすい方は、腸内環境を改善することで、そうした状態から抜け出せるかもしれません。
今回は、腸と免疫力の関係や、腸内環境を改善することで免疫力をアップさせる方法をご紹介します。
腸内環境と免疫力の関係
私たちの体の中では、日々の健康を維持するために免疫という機能が働いています。
腸の中でも免疫力との関係が深いのは、小腸と大腸です。
小腸と大腸は、それぞれ異なったメカニズムで免疫力に影響しています。
パイエル板にはリンパ球が集まる
免疫機能とは、体外から侵入した病原菌やウィルスを、免疫細胞や免疫物質の力で死滅させることです。
免疫細胞や免疫物質の中でも、中心的な役割を果たしているのはリンパ球です。
そして、全身のリンパ球の6割が、腸内の腸関連リンパ組織に集まっています。
その腸関連リンパ組織の中枢が、小腸にある「パイエル板」です。
パイエル板には、複数種の免疫細胞があり、病原菌やウィルスが腸内に来ると、抗体を生成して攻撃します。
これが、小腸と免疫力が関係している理由です。
腸内細菌のバランスが影響する
いっぽうで、大腸と免疫力の関係は、腸内細菌のバランスが関係しています。
ほとんどの腸内細菌は大腸におり、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類がいます。
これらの腸内細菌のバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7が理想です。
このバランスが整っていると、免疫力が維持できます。
しかし、腸内環境が悪化すると免疫力が低下してしまいます。
そのメカニズムについて、小腸への影響と、大腸への影響に分けてご紹介します。
腸内環境の悪化が免疫力を下げる
腸内環境が悪化すると、免疫力が低下する理由は、大きく分けて2つあります。
免疫力が低下する2つの理由
- 大腸にいる腸内細菌のバランスが崩れる
- 小腸にあるバイエル板のリンパ球が弱る
1つは、腸内環境が悪化することで、大腸の悪玉菌の量が増え免疫力が低下することです。
これは、大腸の腸内細菌のバランスが崩れることが原因です。
もう一つは、小腸のバイエル板にいるリンパ球の働きが弱くなってしまうことです。
このように、腸内環境の悪化が、小腸と大腸に影響し、免疫力を低下させてします。
免疫力が低下すると、様々な健康への悪影響が出ます。
免疫力の低下がもたらす悪影響
腸内環境が悪化し、免疫力が低下することで様々な悪影響が出ます。
具体的には、以下のような悪影響が考えられます。
免疫力の低下が招く悪影響
- 下痢・便秘
- 過敏性腸症候群
- 大腸がん
- アレルギー疾患
- 肌荒れ
- 冷え
- 頭痛
- うつ病
このように、免疫力が低下することで様々な悪影響が出ます。
腸と病気の関係については以下の記事が参考になります。
しかし、逆に言うと腸内環境を改善して、免疫力を高めることができれば、これらの悪影響を受けるリスクを減らせます。
ここからは、腸内環境を改善しながら、免疫力を高める方法についてご紹介します。
食生活を見直す
腸内環境を整え、免疫力を高めるためには、食生活を見直すことが重要です。
具体的には、食事で以下の成分を取るように心がけましょう。
成分 | 効果 | 食品・食材 |
グルタミン | 小腸のエネルギー源になるほか、リンパ球など免疫細胞を活性化させる。 | 生肉、生魚、生卵 |
オレイン酸 | 排便を促す作用がある。 | オリーブオイル、ナッツ類 |
マグネシウム | 便を柔らかくする効果があり、便秘の解消につながる。 | 大豆製品、ナッツ類、海藻、緑の野菜 |
ビタミンC | 排便に必要な腸のぜん動運動を促す効果がある。 | 赤い野菜、緑の野菜、果物 |
乳酸菌 | 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を活性化する。 | 詳しくは以下の記事を参考にしてください。 |
食物繊維 | 善玉菌のエサになったり、便のかさ増し効果がある。 | |
オリゴ糖 | 善玉菌のエサになり、活動を活性化させる。 |
このような食品・食材を普段の食事から、意識的に摂ってください。
また、食生活に気をつけるのと同時に、生活リズムに気をつけることも重要です。
生活リズムを見直す
腸内環境を整える上で、規則正しい生活リズムを心がけることは大切です。
なぜなら、腸の働きには、自律神経が関わっているからです。
自律神経とは、自らの意志とは関係なく、体の機能を働かせている神経のことです。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があります。
交感神経は人間の活動が活発になると働き、副交感神経はリラックスしているときに働きます。
腸の機能を司っているのは、副交感神経です。
副交感神経が最も活発なのは、睡眠後に目覚めてすぐです。
ですので、睡眠時間が不規則であったり、十分な睡眠がとれていなかったりすると腸の機能が弱まってしまいます。
腸の機能が弱まると、便秘になり腸内環境が悪化することで、免疫力が低下する可能性があります。
こうしたことを防ぐためにも、普段から生活リズムを整えるように意識してください。
まとめ:見直すのは食事と生活リズム
今回は、腸と免疫力の関係と、免疫力を高める方法をご紹介しました。
腸内環境が悪化していると、健康に様々な悪影響が出る可能性があります。
そうならないために腸内環境を改善して、免疫力を高めておきましょう。
この記事は「腸管免疫力を高めて病気にならない生き方」を参考にしました。
腸と免疫について詳しく載っているので、ぜひ読んでみてください。
腸内環境を改善して免疫力を高めるためには、まず食事と生活リズムを見直してください。
腸は免疫の要ですので、日頃からしっかりとケアしましょう。