日和見菌とは?

私たちの腸内には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3タイプの腸内細菌がいます。

このうち日和見菌は「ひよりみ菌」と読むのですが、他の2つの菌より知名度が低く、テレビや雑誌でも話題になりません。

しかし、この日和見菌は腸内環境を整える上で、非常に重要な役割を果たしています。

今回は前半で日和見菌の基礎知識を、後半で私たちの腸内環境や健康への働きや、日和見菌を味方につける方法をご紹介します。

日和見菌は味方にも敵にもなる

日和見菌は善玉菌や悪玉菌とともに、大腸の腸内フローラを形成しています。

そして、腸内にいる善玉菌と悪玉菌のどちらが優勢であるかを見極め、優勢であるほうのどちらか一方に加勢します。

つまり、日和見菌は私たちの味方にも敵にもなり得るという特徴があるのです。

「ひよりみ」とは物事の様子を伺うことを意味する言葉で、この菌はこの特徴から「ひよりみ」菌と呼ばれるています。

日和見菌は通常時の腸内では、無害もしくは善玉菌に加勢して有益に働きます。

しかし、免疫力が低下したり、腸内の悪玉菌が増加したりすると、たちまち悪玉菌に加勢して有害に働きます。

知名度が低にも関わらず、このように腸内環境に大きな影響を与えているのはなぜなのでしょうか?

日和見菌は腸内の最大勢力

善玉菌や悪玉菌に比べて知名度の低い日和見菌ですが、実は腸内細菌の7割はこの日和見菌です。

そのため、日和見菌が善玉菌と悪玉菌のどちらの味方をするかはとても重要です。

腸内環境は善玉菌と悪玉菌の勢力争いに加えて、日和見菌がどちらに加勢するかで状況が大きく変化します。

この3タイプの菌は、理想的なバランスのときに腸内環境は良い状態になるのです。

理想のバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7と言われています。

このバランスであれば、善玉菌が悪玉菌よりも優勢で、最大勢力の日和見菌も善玉菌に加勢してくれるのです。

腸内の7割を占める日和見菌は、善玉菌や悪玉菌と同様に、様々な種類の菌がいます。

ここで代表的な3種類の菌と、その特徴をご紹介しようと思います。

主な日和見菌の種類と特徴

ここまでご紹介してきた通り、日和見菌は私たちの腸内環境と健康に有益にも有害にもなり得る菌です。

日和見菌は善玉菌と悪玉菌といった菌よりも知名度で劣るため、代表的な菌でも一般に知られていません。

そこで、ここでは日和見菌の中で代表的な菌について、その有益性と有害性とともにご紹介します。

菌名 有益性 有害性
バクテロイデス  肥満を防ぐ短鎖脂肪酸を生成することで知られており、近年注目されている菌。  ・肺胞内に細菌が繁殖する肺化膿症の原因となる。

・血液内で細菌の毒素が大量に放出されるエンドトキシンショックを引き起こす。

大腸菌(無毒系)  ビタミンの合成を行う。 ・ 有害物質を生成し、下痢や便秘を引き起こす。
嫌気性連鎖球菌  特になし。 ・ 肺炎、咽頭炎などを引き起こす。

日和見菌は、腸内細菌のバランスが整っている限り、基本的には腸内では無害です。

また一部の菌は、私たちの健康に大変良い働きを持っています。

しかし、悪玉菌の勢力が増すと、悪い働きをするので注意が必要です。

関連記事をチェック!

大腸菌とは

数年に一度、ニュースでも取り上げられるほどの流行性の感染症を引き起こす「0-157大腸菌」。みなさんも一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか? 大腸菌と聞くと、なんとなく”バイ菌”のよう...

大腸菌とは

関連記事をチェック!

バクテロイデス菌はいいの?悪いの?

私たちの腸の中 私たちの腸内には数百種類の細菌が100兆個以上、重さにすると1~1・5kgいます。腸内に菌が種類ごとにまとまって生息しています。 その状態を「腸内フローラ」とも言い、この腸内フ...

バクテロイデス菌はいいの?悪いの?

日和見菌の良い働き・悪い働き

日和見菌には、腸内環境や健康に良い働きをする菌がいます。

具体的には次のような働きを持った菌がいます。

日和見菌の良い働き

  • ビタミンの合成を行う
  • 肥満を予防する

しかし、日和見菌は良い働きよりも、悪い働きをする方が私たちの健康への影響が大きいです。

日和見菌の悪い働き

  • 下痢や便秘を引き起こす
  • 有害物質を生成する
  • 血液に溶け込み全身で炎症を起こす

このように、日和見菌の悪い作用は深刻で、場合によっては人を死に至らしめます。

例を挙げると、日和見菌が血液に溶け込んだ場合、日和見菌が毒素を排出して敗血症という病気を引き起こします。

敗血症を発症し、ショック症状を引き起こした患者の死亡率は25%といわれており、軽視できません。

そうした悪影響を被らないように、日和見菌は善玉菌の味方につけておく事が重要です。

日和見菌を味方にする方法

日和見菌は危険な側面を持っている一方で、通常は無害、さらに善玉菌の味方をしてくれるありがたい菌です。

そうなると、腸内の日和見菌を味方にしておく方法が気になるかと思います。

冒頭でお伝えしましたが、日和見菌は善玉菌が悪玉菌より優勢な状態のときに、善玉菌に味方してくれます。

ですので、善玉菌を活性化して、善玉菌2:悪玉菌1の理想のバランスを保つことが大切です。

食事で善玉菌を活性化させる

基本的には善玉菌を増やしたり、活性化させたりする食事を摂ることが重要です。

善玉菌を活性化させる食事は、食物繊維やオリゴ糖の成分などが含まれています。

そうした成分は発酵食品に多く含まれています。

こうした食事で、善玉菌を優勢にして日和見菌を味方につけましょう。

食事で善玉菌を増やしたり、活動を活発にしたい方はこちらの記事を参考にしてください。

関連記事をチェック!

腸内環境を整える食べ物

プロバイオティクスとプレバイオティクス 良い腸内環境とは、腸内に善玉菌が悪玉菌よりもたくさんいる状態を指します。 腸を食べ物で良くするには、善玉菌が豊富に含まれている食材を日ごろから食べる...

腸内環境を整える食べ物

サプリメントで善玉菌を活性化させる

サプリメントは善玉菌を活性化させたり、増やしたりするために便利です。

日和見菌を増やすためにサプリメントを利用しようと思っていた方には残念ですが、今のところそのようなサプリメントはありません。

ですので、従来の善玉菌の働きを助けるサプリメントを摂取することが、日和見菌を味方につけるために有効です。

善玉菌を活性化させるためのサプリメントはたくさんありますので、自分にあったものを選ぶようにしてください。

関連記事をチェック!

サプリメント

サプリメントとは何かと聞かれて説明できる人は案外多くないかもしれません。ここではそもそもサプリメントとは何かということやその利点について紹介します。 サプリメントとは栄養補助食品のこと サプリメン...

サプリメント

Q&Aコーナー

日和見菌による感染症を防ぐにはどうすればよいですか?

日和見菌による感染症を防ぐためには、免疫力を高い状態に維持しておくことが大切です。

日和見菌は、基本的に無害な菌ですので過度に心配する必要はありません。

普段の生活習慣や、腸内環境に気を使いながら免疫力を高く維持しておきましょう。

日和見菌は腸以外にもいますか?

日和見菌は、腸以外の器官にも存在します。

皮膚や、口腔内などにも日和見菌がおり、腸の細菌と同様で免疫力の低下によって有害作用を引き起こします。

免疫力を高めておくことは、そうした菌への抑止力にもなります。

サブコンテンツ

すっきりする乳酸菌サプリメント

このページの先頭へ