バクテロイデス菌はいいの?悪いの?
私たちの腸の中
私たちの腸内には数百種類の細菌が100兆個以上、重さにすると1~1・5kgいます。腸内に菌が種類ごとにまとまって生息しています。
その状態を「腸内フローラ」とも言い、この腸内フローラのバランスが私たちの健康を左右しています。
100兆個の細菌は大きく分類するとビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌とウエルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌、そして今話題のバクテロイデスなどの日和見菌です。
健康な人の腸内は善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7の状態を保っています。
日和見菌は普段は中間の立場をとっているので健康なときはおとなしい菌です。
善玉菌が優位になれば善玉菌として働くため糖を発酵して乳酸や酢酸を産生し、悪玉菌が優位になれば悪玉菌へと変わってしまい有害物質であるアンモニア、硫化水素、アミン、フェノールなど産生します。悪玉菌が作り出す有害物質が口臭や体臭、悪臭の原因です。
バクテロイデス菌とは
バクテロイデス菌はもっとも多い菌で便の80%を占めています。私たちにとって良い面、悪い面を出す菌です。バクテロイデス菌が注目をあびている理由の一つとして、バクテロイデス菌が出す短鎖脂肪酸により肥満を防ぐことができるのです。
短鎖脂肪酸とは腸内細菌がつくりだす酪酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸です。
有機酸により腸内が刺激されて腸が活発に動き便通がよくなり便秘改善にも役立ちますが、有機酸は腸内を酸性にするため悪玉菌の増殖を抑制します。その他、腸の粘膜を保護してウイルスや細菌などから私たちのからだを守ってくれます。
なぜバクテロイデス菌が作り出す短鎖脂肪酸により肥満を防ぐことができるかというと、肥満は脂肪細胞が血液の中の脂肪を取り込むことでどんどん大きくなっていきます。
バクテロイデス菌がつくる短鎖脂肪酸は腸内で吸収されて血液を介して全身に巡ります。そのときに短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけるため、脂肪の吸収を抑え、余分な脂肪の蓄積を抑えるので肥満の予防になります。
さらに短鎖脂肪酸は筋肉に働きかけ脂肪を燃焼する役割もあるので肥満予防になります。効率よく肥満を防ぐためには、脂肪の取り込みと消費を同時に行うことです。
痩せている人と比較すると肥満の人はバクテロイデス菌が少ない傾向です。
ダイエットのためにカロリーばかり気を付け偏った食事をしていても、腸内環境が悪ければ血液を通して脂肪は脂肪細胞から吸収されてしまい、たまっている脂肪を燃焼することもできません。
いくら頑張ってもなかなか痩せないのです。偏ったダイエットをしている人は、食事量が少なく便秘になっている人が多いです。便秘になればなるほど食べ物が腸内にたまっている時間が長くなります。
ますます有害物質が増え悪玉菌優位の環境へとなっていきます。脂肪をためない、燃焼させるためにも腸内環境を整える、バランスの良い食事をすることが大切です。
バクテロイデス菌を増やす方法
バクテロイデス菌を増やす方法は善玉菌を増やすことです。バクテロイデス菌は日和見菌なので善玉菌が優位であれば自然に増えていきます。
乳酸菌を含む乳製品や発酵食品と善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂るとバクテロイデス菌のエサでもあるので増やすことができます。
発酵食品はみそ、しょうゆ、キムチ、納豆、ぬか漬けなどです。発酵食品乳酸菌は乳製品の乳酸菌よりも強いため、生きたまま腸にたどりつきやすいです。
オリゴ糖は商品としてオリゴ糖も売っていますが、オリゴ糖はいろいろな種類がありみそ、みりん、しょうゆ、はちみつに含まれるイソマルトオリゴ糖、牛乳に含まれるガラクトオリゴ糖、大豆に含まれる大豆オリゴ糖、アスパラガス、ゴボウ、にんにく、ばなな、玉ねぎに含まれるフラクトオリゴ糖に分けられます。
いずれも善玉菌のエサとなるので、いろいろ組み合わせて摂りいれてみましょう。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに分かれます。不溶性食物繊維はおから、玄米、野菜に多く含まれています。
フラクトオリゴ糖を含むアスパラガス、ごぼう、玉ねぎは不溶性食物繊維も含まれています。水溶性食物繊維はもずく、めかぶなどの海藻類、おくら、山芋などネバネバした食品に多く含まれています。
バクテロイデス菌が増えない生活
お肉中心の高脂肪、高タンパク質、野菜が少ない食事、いわゆる欧米化の食事は日和見菌であるバクテロイデス菌が悪玉菌として働いてしまう食事です。
悪玉菌は脂肪やたんぱく質をエサとして増えます。善玉菌は野菜に含まれる食物繊維やオリゴ糖で増えていくので、偏った食事ばかりしていると、善玉菌が増えようと思っても増えることのできない環境になってしまいます。
ストレスが多い生活も悪玉菌を増やしてしまいます。ストレスにより自律神経が乱れるため胃腸の働きが悪くなり、腸に腐敗したものがたまり悪玉菌が増えていきます。
ストレスを上手に解消しながら、食物繊維やオリゴ糖を摂ってバクテロイデス菌を増やしていきましょう。