過敏性腸症候群から学んだこと
「過敏性腸症候群」は、ストレスの溜まりやすい現代人には多くみられる症状の一つです。
ガスが頻繁に出てしまうガス型、お腹を下した状態の続く下痢型、反対に便秘型、そして諸症状が組み合わさった混合型があると言われています。私の場合はガス型でしたが便秘型も混ざっていたような気がします。
高校入学時から浪人時代を経て大学一年生までの5年間、私はこの過敏性腸症候群に悩まされてきました。症状と向き合う中でどう過ごしてきたか、なにを学んだかを体験談としてお話ししたいと思います。
- 体験者の情報
- 名前:もぐまぐろ(仮名)
年齢:21歳
性別:女性
病気歴:約4年6ヶ月
職業:学生
過敏性腸症候群のタイプ:ガス型
見逃しがちな過敏性腸症候群「ガス型」
過敏性腸症候群の中でもガスが出るという症状がメインの「ガス型」は、はじめこうした病気だと気づきにくいのが注意すべきところです。
私も発症時は妙におならが出ることをおかしいと思いつつも、よく噛んで食事をしなかったからだとか炭酸飲料を飲んだからだとか自分で判断し、きちんと向き合っていませんでした。
後から分かったことで、確かにガスがたまりやすいガス型の人は咀嚼や炭酸飲料には十分気をつけなければいけないとのことなのですが、きちんと症状名が付けられた時には薬に頼っても良いものだったのかとほっとしたものです。
お医者さんの処方があればどういう順序で治していくべきなのかが分かりますし、その根本的な原因を集中的に改善することができます。そのため発症しておかしいと感じた時には早めに診てもらうのが良いなと感じました。
またガス型の他にも下痢型などの種類がある過敏性腸症候群ですが、その「混合型」も存在します。さらにガス型の人は呑気症や自律神経系の症状などガスがでるという症状につながるものも実は沢山あります。
正しい診断をしてもらわなければ通院する意味もなくなってしまうので、ガスだけでなく他の症状や生活習慣などもきちんとお医者さんに伝えることを心掛けていました。
根本的な原因と向き合う
先ほど「根本的な原因」と書きましたが、私の場合注目すべきはガスではなくストレスのようでした。高校が勉強熱心な所だったのと、浪人してさらに追い込まれた環境にいたというのが大きなストレスだったと考えられます。
もちろん大学受験そのものへの不安もありましたが、なにより教室という狭く静かでトイレに自由にいけない空間がさらに不安にさせ、最終的には背後に人がいる状況に耐えられなくなるほどでした。
この環境が悪かったのだと確信したのは、大学に入って自由にトイレに行ける環境や席が自由に選べる環境に変わって、大きく症状が改善したからです。
ストレスの原因を改善することができれば、より早く症状を軽くすることができます。
私は学校の先生や友人にもお腹が弱いと打ち明けてトイレに頻繁に行ったり座席を一番隅に固定したりと協力してもらい、受験も別室で受けるなどしていましたが、そうした環境を自分で作っていくとさらに気が楽になりました。
我慢の危険性
ガス型の症状が出た時はやはり一番に「我慢」という行動に出てしまいがちなのですが、ここで我慢の危険性を説明しておきたいと思います。
ガスを出さないように我慢することで、腸がガスを吸収してしまい、身体にとって大きな負担となってしまうのです。最悪の場合癌にもつながると言われています。
また我慢することで有害物質を身体に溜め込むことになり、余計に体内のガスが臭くなってしまいます。そして経験上、我慢の回数を重ねていくうちに、我慢する時の音が鳴ってしまうようになります。
おならの音や下痢の時の音とはまた違った、腸が圧迫されているような音なのですが、これが周囲に聞こえてしまうほどしっかりと鳴ってしまうので、我慢の効果もほとんどありません。
とはいっても臭いで周りに迷惑をかけたくないし、堂々とおならをして恥ずかしい思いもしたくないため、自分に負担をかけながらもその場で少しずつおならをするよりは、頻繁にでもトイレにいって一旦スッキリする方に気を使うよう心がけました。
一度ガスを思いっきり出してしまえば、しばらくは身体的にも気持ち的にもとても楽になりました。
経験上便通がいい時はガスも出にくくスッキリしているので、こまめにトイレに行くことはお腹の調子を把握するのにも役に立つと思います。
試行錯誤の生活が改善の鍵
何かしらの症状が発症したときに治そうと試行錯誤する方は多いと思うのですが、ここで大切だと感じたのはまず処方された薬の見極めです。私はガスコンなどを処方され飲み続けていましたが、全く症状は改善されませんでした。
お医者さんも「一番いいのはストレス解消」と言い、あくまでこの症状にはこの薬を出すのが典型なので試してみる、とのことでした。
何回か薬を少しずつ変えてもらいましたが効かなかったため、市販のガスコンを試してみたところ、かなり即効性と効果がありました。
それからはガスコンを服用するのですが、やはりこうした薬はむやみに飲むと身体への負担が大きくなってしまうようで、ここぞという時は服用していましたがほとんどはお守りとして持ち歩いているだけでした。
しかし試行錯誤のうち自分の症状の原因が「不安」だと分かってきていたので、頼れるものが常にあるというのはとても安心感があって効果がありました。
薬以外にもどんなものを食べれば調子がいいか、便通がいいとガスが出にくくなるかなど、生活の細かなところで試行錯誤をしていました。今ではそれが再発防止や健康のためにも役に立っています。
ガス型の人は打ち明けられず自分の殻に閉じこもってしまう方が多くみられるのですが、治したいからこそ自分から動いてみるのが重要だと感じています。
まとめ:過敏性腸症候群は誰でもなり得る
過敏性腸症候群は、発症してしまうと「自分だけこの症状に悩まされている」と強く感じ、恥ずかしくて我慢してしまう人が多い症状だと思います。
私も初めはガスが出ないよう我慢したり、音が鳴らないように力んでいたりと、ばれないようにする方向にしか考えられませんでした。
しかしこの症状が誰でもなり得るのは事実ですし、そう頭に入れておくだけで大分気持ちが楽になりました。
誰でもなり得るのだから、おかしいと思ったらまず病院へ行くという前向きな考えも重要なのかもしれないなとこの症状を経験して考えさせられました。誰でもなり得るのだから、周りに打ち明けても何にも恥ずかしくないのです。
むしろ居心地の良い環境を作るほうが大切だと感じました。また、私は大学で意外とこの症状の人が多くいることを実感しました。もしかしたら自分が打ち明けることで周りも楽になるかもしれません。
そしてなにより、誰でもなり得るのだからと冷静に自分や生活を見つめ直してみたことが、私の過敏性腸症候群完治に最も役に立った秘訣だと思います。
この記事の筆者
もぐまぐろ(仮名)
1994年生まれで現在大学生。高校1年生の時に過敏性症候群(ガス型)が発症するが、一年間の浪人時代に症状がピークとなり通院、病名が発覚する。大学入学頃から症状が徐々に回復し、現在はほとんど完治している状態。
これを機に自分の身体ときちんと向き合うことを心がけながら、ランサーズなどを通じて過敏性症候群についての記事を作成し経験を活かした情報提供を行なっている。