腸内環境をリセットするための断食は2種類
腸内環境をリセットするために、断色をすることが流行しています。
そのやり方は様々で、全く食べ物を口にしない方法があれば、ヨーグルト、バナナだけを食べる方法もあります。
腸内環境を整えるための断食と、ダイエットのためにする断食とは何が違うのか。
また、具体的に何日間やればよいのか等、様々な疑問があることでしょう。
腸内環境を整えるために、断色を検討されている方に、方法、メリット、注意点などをご紹介します。
まずは、どうして断食が腸内環境を整えるのかについてご説明します。
記事の目次
断食が腸内環境をリセットする
断食によって腸内環境を整えるとは、腸内の大便をすべて出し切り、リセットしてから、様々な解毒法を試すことを意味します。
そのため厳密に言うと、断食は腸内環境を整える上で、腸内の大便を出し切るリセットの役割を担うものです。
腸の仕事は、日々私たちが食べた食べ物を消化・吸収することです。
この消化・吸収は細かく分けると、さらにたくさんの仕事に分類できます。
その一つが、腸内の大便を排出するという仕事です。
現実の仕事では、仕事の量が減ると、その分一つの仕事に集中できクオリティーが上がります。
腸の場合も同じで、数ある仕事のうち、腸内の大便を排出することに集中できればいいのです。
断食によって、食べ物が腸内に入ってこなくなると、腸は今ある大便を排出するという仕事に集中できます。
腸の仕事を極力減らしてあげて、大便を輩出することに集中させてあげる、これが断食の目的なのです。
腸内環境を整える断食の方法
腸内環境を整えるための断食の方法は大きく分けて2つあります。
腸内環境を整えるための断食の2つの方法
- CR法(カロリー制限法):食事の量を20~30%削減する
- IF法(間歇的絶食法):短期間だけ絶食する
※参考:腸!いい話 伊藤裕 朝日新聞出版 2011年
CR法(カロリー制限法)
まず一つ目は、カロリー制限をするCR法です。
断食と聞くと、一切の食事を断たなくてはいけないかのような印象を受けると思います。
しかし、腸内環境を整えることが目的であれば、食事を完全に我慢する必要はないのです。
CR法は普段の食事量を20~30%削減する、いわゆるカロリー制限型の断食です。
CR法を行った実験では、動物の寿命が1.5倍になったという報告やガン、認知症、糖尿病が抑制されたとの報告があります。
原理としてはまず、食事量を減らすことによって、体が糖や脂質の不足を検知し、「サーチュイン」という遺伝子が活性化します。
「サーチュイン」は「ミトコンドリア」を元気にする作用があるため、結果的にさまざまな面で健康な状態に近づくと考えられています。
生物の細胞内に存在する器官。ミトコンドリアは食事からとった栄養素と、
呼吸によって取り入れた酸素を使ってエネルギーを作り出しています。
私たちの健康や、老化に大きく関係のあるものです。
IF法(間歇的絶食法)
もう一つはIF法です。IF法は間歇的絶食法(かんけつてきぜっしょくほう)といい、短期間の間だけ水分以外の一切の食事を断つものです。
IF法は、CR法に比べてハイリスクハイリターンです。
現在流行しているプチ断食の多くはこのIF法ですので、適切な方法で行う必要があります。
IF法を行うと、インスリンや成長ホルモンの分泌が抑制されます。
この状態でタンパク質が不足すると、古い細胞を分解して新たな物を作り出す「オートファージ」という機能が働きだします。
それによって健康面で様々な効果が得られるのだと考えられています。
腸内環境を整える断食のやり方:IF法の一例
ここでは、断食のやり方について具体的な方法をご紹介します。
ネット上には、断食の方法に関する情報が大量にありますが、自己流のものが多く危険です。
ここで紹介するのは、松生恒夫先生の「腸寿 長寿な腸になる77の習慣」を参考にした方法ですので参考にしてください。
1~2日目
絶食期間です。この二日間は朝、昼、晩に固形物を取らず、野菜ジュースなどの最低限の栄養が取れるものを摂取します。
初日から固形物を取らないのはなかなか辛いかもしれませんが我慢するのは2日間なのでがんばってください。
- 朝 野菜ジュースなど
- 昼 野菜ジュースなど
- 夜 野菜ジュースなど
3~7日目
食事を再開します。朝は野菜ジュース。昼と晩は食物繊維が豊富な食事を心がけてください。
3日目から固形物を食べてもよいのはうれしいですよね。無理なくできそうです。
- 朝 野菜ジュース
- 昼 麦のおにぎり 野菜
- 晩 食物繊維が豊富な食事
7日目以降
通常の食事に戻します。バランス良く適度な量の食事を心がけてください。
- 朝 通常の食事
- 昼 通常の食事
- 晩 通常の食事
より詳しいことは、松生恒夫先生の著書「腸寿」に記載してありますので購読してください。
この症状が出たら即中止!断食中の注意点
断食は、基本的に体に負荷をかける行為ですので、突然体調に変化が出ることがあります。
その場合は、すぐに断色を中止し、通常の食事に戻してください。
断食をやめるべき症状
- めまい
- 手足のしびれ
- 異常な倦怠感
- 吐き気
- 頭痛
これらの症状が出たら断色を中止して下さい。
ネット上には、こうした症状を効果が出ている証拠だと紹介していることがありますが、危険ですので中止を強くオススメします。
また断食中に控えるべきこととして、激しい運動や水分を全く摂らないこと、断食期間の延長、等が挙げられます。
断食に否定的な専門家もいる
ただ腸内細菌研究の第一人者である藤田紘一郎先生は『断食は命を縮める』と断食に反対しております。
腸内細菌研究の第一人者である方が、断食に反対であるというのは注目すべき点です。
藤田先生は、主に2つの理由から断食に反対されています。
断食に反対である2つの理由
- 断食することは無理をすることであり、それがストレスになる。
断食は定期的に行う必要があるので、そのたびごとにストレスがかかってしまう - 断食によって日内リズムが崩れて、NK細胞が十分に働くことができなくなり、ガンにかかりやすくなる。
一つ目に理由は、断食することでストレスを感じてしまい逆効果であるという理由です。
腸は脳についで二番目に神経細胞が多く、「迷走神経」という脳との特殊な経路でつながっています。
ストレスを感じることは、脳や腸に悪影響であることも考えられます。
二つ目の理由は、断食によって生活のリズムが崩れ、NK(ナチュラルキラー)細胞の活動が低下するという理由です。
断食は、少なからず日頃の日内リズムを崩してしまいます。
概日リズムとは、生物が持つ24時間を一周期とする生理現象のこと。
一般的には体内時計という名称で使われることが多い。
概日リズムを感じる現象としては、時差ボケなどがあげられる。
免疫細胞の中でも重要な働きをするNK細胞は、朝の9時前後と夕方の5時頃によく働きますが、日内リズムが崩れることで免疫低下が危惧されます。
断食の是非については、専門家によって意見が大きく別れているのが現状です。
ネット上には、断食に関する情報が大量にありますが、安易に信じ込むのは危険と言えるでしょう。
まとめ:専門家でも意見が分かれる!
断食の是非については、本当に意見が分かれます。
書籍などを読みあさって、いろいろな研究者の方の考えに触れてわかったのですが、意見が全く逆になるのには理由がありました。
・肯定派の意見:断食は腸の動きを促進する。ストレスは多少かかるかもしれないが、全体的見みると便秘解消になる(効果,効能>ストレス 派)
・否定派の意見:断食すると効果効能はあるかもしれないが、それ以上にストレスがかかる。だから逆に便秘になりやすくなる(効果、効能<ストレス 派)
便秘というものが主に腸の働きかストレスで起こるから、このように意見がわかれるんですね。
正直これに関してはそれぞれが自分で考えてやるしかないです。
プチ断食がかなり苦痛であるなら、やめたほうがいいし、
そこまで苦痛でないのなら試してみればいいのかなと私は思っております。
もし、ぷち断食を試されたいという方は、「元気に老いる『腸』健康術」(松生恒夫著)を読むことをおすすめします。